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「NIKE FC選抜チーム」が対外試合初勝利、暁星高に14-0の大勝

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 ユース世代のフットボールプレーヤーをサポートするナイキジャパンが育成年代に向けて行っている特別強化プログラム「NIKE FC」の選抜チームは16日、さいたま市のレッズランドで暁星高と練習試合(30分3本)を行い、14-0で大勝した。トップチームの選手が不在の相手だったとはいえ、NIKE FCとして記念すべき対外試合初勝利となった。

 今年8月には、全国高校総体東京都予選で優勝し、全国高校選手権東京A代表の座も勝ち取った修徳高に0-7の大敗を喫したNIKE FC。11月に行ったセレクション通過者15人を加えた新チーム計21選手で試合に臨んだ。

 試合前、リー・マンソンヘッドコーチは「ピッチに立ったら100%でプレーすること。だれよりも走って、ボールにチャレンジすること。そして勝者になること」を選手に要求。「今日のテーマはボールを失ったときに自陣まで全員が下がり、コンパクトにチームで守ること。一つひとつのタックル、一つひとつの競り合いに勝つこと」とゲキを飛ばした。

 修徳との練習試合を踏まえ、まずは守備の再構築を図った。システムも3-5-2に変更。むやみに高い位置からプレッシャーをかけるのではなく、いったんリトリートして相手がゾーンに入ってきてから厳しくディフェンスすることを求めた。選手はこの指示を忠実にこなした。立ち上がりこそ2トップのポジショニングに対し、ベンチからしきりに修正する指示が飛んだが、徐々に落ち着き、10人がコンパクトな陣形を保って相手を追い込んだ。

 安定したディフェンスが攻撃にもつながった。1本目の3分、中央でボールを持ったMF高田啓伍(神奈川大附高2年)がPA手前から右足でミドルシュート。チームのファーストシュートが豪快にゴール右上に突き刺さった。追い風に乗った弾丸ミドルに高田は「まぐれです」と照れ笑いを浮かべながらも「コーチから『どんどん打っていけ』と言われていたので。1点取ろうと思っていた」と、積極的な姿勢が先制点を生んだ。

 トップ下に入った高田はその後もバイタルエリアで体を張って起点となり、パスを散らして攻撃を組み立てた。「パスを回していけという指示だったので、チームで攻撃をつくっていった」と、ゲームメイカーとなったキャプテンが次々とチャンスをつくり出す。24分には左CKから正確なキックでDF北村大輔(藤沢西高2年)の追加点をアシスト。27分には北村の自陣からのロングフィードに自ら反応し、PA内に走り込んだ。相手GKも飛び出し、シュートは打てなかったが、冷静に横に流し、FW渕野大介(神奈川大附高1年)が無人のゴールにシュート。3-0とリードを広げ、1本目を終えた。

 MF橋本賢人(並木高2年)とMF菊池大輔(矢板東高2年)のダブルボランチが中盤で体を張り、攻守に奮闘。両サイドハーフのMF根市凌(横浜市立東高2年)とFW和田健二(大森学園高2年)も豊富な運動量で上下動を繰り返し、チームを活性化した。3バックも北村、DF岩井匠(熊谷高1年)、DF小宮淳嗣(熊谷高1年)という11月のセレクションで合格した3人で構成されていたが、岩井や北村が積極的に声を出してコーチング。「声を出すことで前も動いてくれて、いい感じでディフェンスができた。引いて守るというところでみんなの息が合っていた」と北村が話すとおり、急造チームとは思えない一体感があった。

 風下に回った2本目もNIKE FCが得点を重ねた。メンバーは高田、北村、小宮を除く8人が1本目から入れ替わったが、4分にMF石積玲央(橘高2年)のシュートをGKが弾いたところをFW山口和樹(日本ウエルネス高2年)が押し込み、4点目。直後の5分には、高い位置でボールを奪った高田の折り返しにMF検本裕也(立川国際中等教育学校2年)が左足で合わせた。

 トップ下の高田は好パスを連発し、アシストを積み上げる。10分、14分とスルーパスからFW犬飼元氣(東京23FCセカンド)のゴールを連続アシスト。7-0と突き放すと、23分には検本のスルーパスに抜け出した犬飼がハットトリック達成となるゴールを奪った。「点を取ることが目標だった。ハットトリックはうれしいけど、もっと決められる場面もあった。そういうミスをなくしていきたい」と貪欲に話す犬飼。2本目は5-0。合計8-0とし、3本目に入った。

 ハットトリックの犬飼に代わってFW舞田大輝(大泉高1年)が入った3本目。6分には高田の左CKに再びCBの北村が頭で合わせ、自身2点目を決めた。攻守に大活躍を見せた北村はCKからの2得点に「セットプレーは得意。チームでもいつもゴール前に上がっているので」と胸を張る。11月のセレクションで合格し、この日がNIKE FCでは初の実戦だったが、「刺激になるプレーが多かった」。小宮とともに2人だけが90分フル出場だったが、「時間もすぐに感じたし、楽しかった。点も決められたし、失点がなかったのは強みになる」と笑顔を見せた。

 3本目の15分からは7人を交代。1本目にプレーした選手が再出場し、システムも攻撃的な3-4-3に変更した。1ゴール6アシストを記録した高田はここで交代。キャプテンマークは北村が巻いた。21分、FW末永毅(神奈川大附高2年)のゴールで10-0と得点を2ケタに乗せると、24分にはCKからこぼれ球を和田が蹴り込んだ。1分後の25分には渕野のスルーパスに舞田がスピードを生かして追いつき、GKもかわして12-0。さらに29分、ゴール前に飛び出した橋本の折り返しを根市が押し込むと、30分には高い位置でインターセプトした橋本がそのまま自ら持ち込み、14-0のゴールラッシュを締めくくった。

 記念すべき対外試合初勝利を14得点の圧勝劇で飾ったNIKE FC。リー・マンソンヘッドコーチは「こういう練習試合をしっかり有効活用してほしい。プレッシャーの中でも蹴らずにつないだことはよかった」と選手をねぎらう一方、「もっと体力を付けないといけない。最後は中盤にスペースが空いていた」と注文も付けた。「これからもっと強いチームとも試合をやっていく。今日はやろうとしていたことの80%はできた。この前と比べたらよくなっているが、もっともっと期待している」。この日の勝利に満足することなく、高い意識を持ち続けることを求めた。

 NIKE FC立ち上げからのメンバーでもある高田は「勝利がほしかったのでよかった」と初勝利に満面の笑みを見せた。「最初のときより一人ひとりの間の壁がなくなってきた。コミュニケーションも取れているし、パスが出しやすかったし、もらいやすかった」とコンビネーションに手応えを口にした。犬飼も「今日は最初からいるメンバーは6人だけだったけど、そのメンバーが中心になってうまくまとめられた」と指摘。「だんだんよくなってきているし、次はもっと上のレベルのチームと対戦して、自分が点を取って勝ちたい」と力を込めた。「修徳にリベンジしたい」と話す高田。NIKE FCは今後もトレーニングと実戦を通じて継続的に強化を図りながら、チームとともに選手個々のレベルアップを目指していく。

【NIKE FC出場メンバー】
GK広保友樹(海城高1年)
MF橋本賢人(並木高2年)
FW犬飼元氣(東京23FCセカンド)
MF高田啓伍(神奈川大附高2年)
DF/MF石田優輝(大東文化大一高2年)
MF菊池大輔(矢板東高2年)
MF石積玲央(橘高2年)
MF石田秀(神奈川大附高2年)
FW舞田大輝(大泉高1年)
FW山口和樹(日本ウエルネス高2年)
DF北村大輔(藤沢西高2年)
FW末永毅(神奈川大附高2年)
FW渕野大介(神奈川大附高1年)
FW和田健二(大森学園高2年)
MF根市凌(横浜市立東高2年)
GK片山淳介(神奈川大附中3年)
GK松本優太(船橋北高3年)
DF小宮淳嗣(熊谷高1年)
DF岩井匠(熊谷高1年)
MF細谷慶太郎(熊谷高1年)
MF/FW検本裕也(立川国際中等教育学校2年)

【1本目】
[得]高田啓伍(3分)、北村大輔(24分)、渕野大介(27分)

 末永  渕野
   高田
根市    和田
 橋本  菊池
小宮 岩井 北村
   松本

【2本目】
[得]山口和樹(4分)、検本裕也(5分)、犬飼元氣3(10分、14分、23分)

 山口  犬飼
   高田
検本   石田秀
 細谷  石積
小宮 石田優 北村
   広保

【3本目】
[得]北村大輔(6分)、末永毅(21分)、和田健二(24分)、舞田大輝(25分)、根市凌(29分)、橋本賢人(30分)

(~15分)
 山口  舞田
   高田
検本   石田秀
 細谷  石積
小宮 石田優 北村
   片山

(15分~)
舞田 末永 渕野
   橋本
根市    和田
   菊池
小宮 岩井 北村
   片山

(取材・文 西山紘平)

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