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選手権準決勝でスーパーFKの四中工・中田、悔しさをバネに新リーダーとして飛躍を

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[2.23 ジャパンユーススーパーリーグ 流通経済大柏高6-2四日市中央工高 流通経済大柏高G]

 今年の四日市中央工高の命運を握る存在だ。DF中田永一主将(2年)は、1月の全国高校選手権準決勝で左サイドからスーパーFKを決めるなど、全国舞台で存在感を示した180cmの大型左SB。加えて、91年度の全国高校選手権優勝メンバーで元日本代表のFW小倉隆史氏、MF中西永輔氏とともに「四中工三羽烏」と謳われた中田一三氏を叔父に持つなど、注目が集まっている。だが、2試合連続で6失点を喫したこの日の試合後は「守備はボク中心にやらないといけないのに、声もかけられていないし、中心にならないといけない選手が足を引っ張っていて、FWの選手には申し訳ないと思っている。自分がもっと変われば、このチームはもっと強くなると思う。チームが強くなるにはリーダーがしっかりしないといけない」と唇を噛んだ。

 樋口士郎監督は「あの子に逞しさとか出てくれば、あの子自身もチームとしても大きいと思います。(今年のキーマンは)中田だと思います」と期待を寄せる。だが、現在はチームの“怒られ役”。この日はチームに的確な指示を出すことができず、前半チームの守備は混乱した。自身の動きにも遅れが生じ、周囲から「中田!」と声が飛ぶ回数は少なくなかった。

 これまではチームリーダーで守備の柱だったCB坂圭祐主将(3年)がカバーしてくれていたため、思い切った攻撃ができ、守備もその指示どおりに動けばよかった。爆発的な左足と対人の強さを発揮してきたが、現在は「守りながら自分の良さ(攻撃面)を出していくことが難しい。(チーム内には)ボクより上手い選手がいっぱいいて、プレーで引っ張れなくて、気持ちで引っ張っていこうかなと思っていたんですけど、こういう試合になったり。もっと気持ちで引っ張っていける選手になりたい」と感じている。リーダーとして、「もっと変わっていかないといけない」と力を込めた。

「チームが強くなるにはリーダーがしっかりしないといけない。今は無理でも坂さんも言ってくれていたんですけど、『自分のなりたい姿を想像してやれ』と言われていて、今は無理でも徐々にやっていって認められていきたいです」という。「自分のなりたい姿」は先輩GK中村研吾(3年)だ。中村は1年時に正守護神として全国高校選手権準優勝に貢献し、日本高校選抜候補にも選出された注目GK。3年夏までは不動の存在だったが、その後ポジションをGK高田勝至(2年)に譲り、今冬の高校選手権は控えメンバーだった。「でも自主練とか一番していましたし、(今後の大学生活へ向けて)高校から自主練とかして積み上げてきていた。普通、3年生でポジション取れていなかったりしたら投げやりになったりすると思うんですけど、あの人は楽しく(前向きに)やっていた。そういうのを見て、ああいうリーダーになりたいと思った」。どんな状況でもチームを引っ張っていく決意でいる。

 個人としても将来が期待される中田。「(叔父の中田)一三さんは『オマエはどこが足りない』とか言ってくれているんですけど、改善できていない。でも『改善できれば(大学など上のステージでも)通用していくから』と言われている。今は走っている時期なんですけど、この時期でもっと足腰とか強くしていきたい」と課題の走力向上などに意欲的に取り組んでいる。リーダーとして、選手としてより逞しさが出てくれば、チームにも好影響を与えられる存在。まだまだ自身のプレーに不甲斐なさを感じてしまうことが多いが、3か月、半年後の「変化」のために前を向いてトレーニングに取り組む。

(取材・文 吉田太郎)

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