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激アツの攻防戦はドロー決着。8位死守の三菱養和、9位・桐光学園のプリンス関東残留はプレミアプレーオフの結果次第に

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残留争いする8位・三菱養和SCユースと9位・桐光学園高との熱戦はドロー決着に

[12.9 高円宮杯プリンスリーグ関東第18節 三菱養和SCユース 1-1 桐光学園高 三菱養和会 巣鴨スポーツセンターG]

 9日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2018関東最終節が各地で行われ、8位・三菱養和SCユース(東京)と9位・桐光学園高(神奈川)との一戦は1-1で引き分けた。両チームの順位は変わらず。三菱養和、桐光学園ともに来季のプリンスリーグ関東残留は、プリンスリーグ関東上位3チームが出場するプレミアリーグプレーオフ(12月14、16日)の結果に委ねられることになった。

 試合終了直後、両チームの選手に笑顔は見られなかった。この日、プレミアリーグEAST9位・FC東京U-18のプリンスリーグ関東降格が決まったため、プリンスリーグ関東は8位~10位までの3チームが都県リーグへの降格圏に。プレミアリーグプレーオフに出場する矢板中央高(栃木)、横浜FMユース(神奈川)、大宮ユース(埼玉)の3チームのうち、1チーム以上がプレミアリーグ昇格を決めれば、三菱養和のプリンスリーグ関東残留が決まり、2チーム以上が昇格を決めれば桐光学園も来季、プリンスリーグに残留することができる。

 三菱養和はこの日、勝ち点18で並ぶ桐光学園に追いついてのドロー。結果的に、三菱養和は勝っても順位は変わらなかったため、前向きな8位キープだった。プリンスリーグ残留は“他力”であるものの、3年生中心に意地の勝ち点1獲得。MF冨久田和真(3年)が「ここで負けて後輩たちがT(東京都1部リーグ)とかあってはならないと思っていた」と語っていたが、ラストゲームに懸ける3年生は後輩たちがプリンスリーグでプレーできる可能性を可能な限り残した。

 先制したのは、勝って三菱養和との順位を逆転したい桐光学園だった。前半3分、U-19日本代表ブラジル遠征メンバーに選出されたエースFW西川潤(2年)が前線で相手DFと身体を入れ替えてボールキープ。そして、左前方のスペースへボールを送ると、左MF佐々木ムライヨセフ(2年)がエンドライン際から左足で柔らかいクロスを上げる。GKを越えて中央へ到達したボールをFW敷野智大(3年)が頭で合わせて1-0とした。

 先制した桐光学園が畳み掛けようとする。自らシュートへ持ち込むだけでなく、周囲を活用したプレーでチャンスメークもする西川に佐々木やMF阿部龍聖(3年)が絡んでPA、コーナー付近までボールを運んだ。だが、ここでクロスの精度を欠いたり、シュートの判断がわずかに遅れたほか、ゴール前で冷静にカバーしながら守る三菱養和から2点目を奪うことができない。

 対して、三菱養和は後方から正確にボールを繋いで攻撃を組み立て、190cmFW栗原イブラヒムジュニア(2年)と180cmFW竹内駿斗(2年)の2本のターゲットを活用。余裕を持ってボールを収めていた栗原のポストプレーからサイドへ展開し、「きょうはいつも以上に点獲りたくて、点獲る気満々だった」という冨久田やMF宮本康生(3年)が仕掛ける。桐光学園はFKやCKを与えてしまうシーンが増加。MF今野息吹(2年)のロングスローも交えて攻める三菱養和は宮本のシュートなどで桐光学園の守りを脅かしていた。

 そして後半3分、三菱養和は前半から高精度のキックを見せていた左SB廣川虎太郎(3年)の右CKから中央のCB渡辺大貴(3年)がヘディングシュートを決めて同点。大声を出して盛り上げていたサブ組の下へ駆け寄った渡辺を中心に養和イレブンが喜びを爆発させた。

 プリンスリーグ関東残留をかけた一戦は非常にアツく、拮抗した展開に。ホームの三菱養和が攻め込むたびに会場は盛り上がったが、桐光学園も責任感強いプレーを続けるCB望月駿介主将(3年)やCB内田拓寿(3年)を中心に1対1、カバーリングの部分などで踏ん張って見せる。そしてカウンター、サイド攻撃からセットプレーを獲得。突き放すチャンスを作り出した。

 1-1のまま迎えた後半40分、三菱養和が決定機を作る。寄せの甘くなった相手の隙を突いてボールを動かすと、左サイドの廣川からパスを受けた冨久田が右足シュート。だが、ゴール右隅を突いた一撃は桐光学園GK北村公平(1年)がファインセーブで逃れる。三菱養和は直後の右CKをファーサイドで折り返し、廣川がゴール至近距離から左足を振り抜く。だが、これもGK北村がビッグセーブ。マジメで着実に成長してきているという1年生守護神の好守でピンチを逃れた桐光学園は、逆に阿部の突破から西川がチャンスを迎えるなど1点と勝利を目指した。そして、終了間際にもチャンスを作ったが、ゲーム主将のCB遠藤光(3年)を筆頭に全員でシュートコースを消し続けた三菱養和がゴールを死守。1-1で最終節を終えた。

 桐光学園は9位に終わったものの、選手権予選後の3試合を無敗。鈴木勝大監督は「踏ん張れるようになった」ことを認めていた。ここから切り替えて12月30日開幕の選手権全国大会に集中。屈指の好カードと目される大津高(熊本)との1回戦から全国制覇への挑戦をスタートする。

 一方、三菱養和の3年生にとってはこの試合がラストゲーム。今年は関東クラブユース選手権(U-18)大会で優勝した一方、プリンスリーグでは良いゲームをしながらも勝ち切れない試合が続いた。それでも、最後に意地を見せた3年生たち。増子亘彦監督は「いいゲームしているけれど勝てなくなったり、弱さは出ていたかなと思います。でも、そういうことを経験して最後は歯を食いしばって……、失敗してきましたけれども最後まとまってよくやったなという話はしました」と目を細めていた。

 冨久田は「今年の3年生は悪いところも良いところもあって、本当に100か0でメンタル的にも悪いところが出ることが多かった、でも、こうやって最後1点取られたけれども1点取り返して(良い部分の)養和らしさが出せて良かった」。やれることは最大限に表現した。関東勢のプレミアリーグ参入戦勝利を期待し、後輩たちとともに吉報を待つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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