今年こそ、「やらなければいけない」と考えている。MF高木大輝(京都橘高新3年)はスピードを活かした縦突破と左足キックを武器とする俊足レフティー。昨年は“史上最速選手”を目指してプレミアムクリニック「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」を阪南大高FW和田育(現筑波大)とともに受講し、MF倉田秋(G大阪)や名古屋FW玉田圭司の指導を受けたり、J1で首位に立っていた広島に練習参加したりするなど他の選手にはできない経験をしてきた。

　同じ左利きのドリブラーである玉田から「相手へ向かってドリブルして、ボールに角度をつけて緩急で抜く」というアドバイスを受け、感覚を掴んだ。本人も「縦は行けるので、そこは自信がついている」と成長を実感している。

　だが、その成果を披露する舞台となるはずだった全国大会に昨年は出場することができず。チームメートや関係者のサポートに応えることができなかった。今年はその悔しさをピッチでぶつける意気込みだ。

　今年は3-6-1システムの左WBに加え、4-4-2の右SHにも挑戦中。チームが戦術の幅を広げる上でのチャレンジだが、それは高木の可能性を広げることにも繋がっている。第24回船橋招待U-18大会の市立船橋高戦ではカットインからクロスバーを叩く豪快な左足シュート。右サイドでの起用によって得点力や右足キックの向上も期待される。

　現在の課題はプレーの波があることだ。米澤一成監督は「スピードに乗って唸らせるようなプレーと素人かな?というプレーとの差がある」と指摘する。「良くしようと思いすぎて空回りしてしまう」(高木)ことがしばしば。本人はコンスタントに活躍できるように、「前向きに」自分をコントロールしながらプレーするつもりでいる。

　広島に練習参加した際、プロで活躍するためには足りないものが多いことを学んだ。球際、ボールスピード……Jリーガーには隙もなかった。当時、プロとの差を「衝撃的」と語っていた高木は、体感したことから自身の基準をどこまで高めてきたか、試される一年でもある。

　目標は全国制覇、そしてプロ入りすることだ。そのために「やらないとダメです」と高木。まずは4月7日に開幕するプリンスリーグ関西で、スカウトの目に留まるような活躍を目指す。

(取材・文　吉田太郎)