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苦戦の中で磨かれた守備力。我慢強く戦った大阪桐蔭が興國を下し、プリンス関西初勝利

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先制点をマークしたDF岡田真知が大阪桐蔭高イレブンからの祝福を受ける

[7.17 高円宮プレミアリーグ関西第7節 大阪桐蔭高 2-1 興國高 大阪桐蔭高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2019関西は17日、延期となっていた第7節の9位・大阪桐蔭高(大阪)対4位・興國高(大阪)戦を行い、後半の2得点によって大阪桐蔭が2-1で勝利した。

 春休みのフェスティバルでは好成績を残した大阪桐蔭だが、プリンスリーグ関西では開幕から白星が奪えず4分4敗と苦しみ、この日が念願の初勝利。試合後、永野悦次郎監督は「これだけ勝てなかったのは初めて」と安堵の表情を浮かべた。

 これまでの試合ではチームの底上げを狙いなるべく多くの選手を起用したが、出場機会を得た選手がチャンスを活かせず得点はリーグワーストタイの5得点。一方で耐える時間が長かったため、「点が入らないけど段々守備力が身についていった」(永野監督)。

 プリンス初参戦ながらも上位につける興國をホームに迎えたこの日は苦しみながら掴んだ我慢の産物が活きた。出だしから、金沢内定のDF田路耀介(3年)やMF芝山和輝(3年)らを起点に後方でボールを動かした興國のペースで時間が進んだが、ゲームキャプテンを務めるDF永野将大(3年)を中心としたDF陣がきっちりと跳ね返し、相手に決定機を与えない。

 一方で守備ブロックを低い位置に設定したため、攻撃の迫力は低下したが、DF武田晴人(3年)は、「点を獲りたい気持ちはあったけど前に出て行ったら、背後を狙いたい相手の思う通りになってしまう。まず前半は無失点に抑えようと話していた」と振り返る。粘り強い守備を徹底した大阪桐蔭に苦しんだ興國は高い位置をとる右SBの高安孝幸(3年、金沢内定)ら右サイドからの攻撃を狙っていたが、「大阪桐蔭の守備の立ち位置が良かった」(内野智章監督)ため、シュート2本で前半を終えた。

 スコアレスで迎えた後半は、両チームともゴールを奪うため交代カードを切った。U-17日本代表から戻ったばかりのFW杉浦力斗(2年)を投入して攻勢を強めた興國に対し、大阪桐蔭はハーフタイムに選手が話し合い、ブロックを敷いた守備から高い位置での守備に変更した。大阪桐蔭の狙いはすぐさま機能し、高い位置でのボール奪取から攻撃を仕掛ける機会が増えると、後半3分に右CKを獲得。DF杉山雄亮(3年)が上げたクロスをDF岡田真知(3年)が頭で合わせて、大阪桐蔭が先制した。

 10分には、高安のクロスから興國FW野勢日向太(2年)にヘディング弾を決められ、試合は振り出しとなったが、大阪桐蔭に気落ちした様子は見られない。以前は「1点を獲られたら、(気持ちが)下がっていくチームだった」(武田)が、この日は失点後も前を向きチャンスを伺った。すると25分、相手守備の対応ミスを逃さずに拾うと、右サイドのMF才木陽太(3年)がゴール前にパスを入れる。中央で反応した途中出場のMF森野航(2年)が冷静に決勝点を決め、大阪桐蔭が勝利した。

 大阪桐蔭は初勝利を掴むと共に開幕戦の神戸弘陵高以来となる複数得点となったが、指揮官が 「攻撃はまだまだ雑。シュートは力んでしまうし、仕掛けないといけない場面で横パスをしていた」と口にする通り、攻撃面での課題は残る。守備も後半のような高い位置でのボール奪取を増やすことが目標だ。

 まだまだ成長の余地を残しており、武田は「1勝しただけなので、全員が現状に満足していない。後期勝てるように夏の遠征で成長したい」と口にする。永野監督も「後期が始まるまでの間にいっぱい良いチームと対戦できる。そこで成長し、強豪となって選手権予選をぶっちぎって優勝できるチームになりたい」と続けた。苦しんだ末に手にした初勝利を無駄にせず、後期の反撃と2年ぶりの選手権出場に繋げるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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