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“JY育ち”のニューカマー。帝京長岡DF内山開翔が見つめる近くの課題と遠くの景色

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帝京長岡高期待のルーキー、DF内山開翔(1年)

 この黄緑色のユニフォームを纏って、埼玉スタジアム2002の表彰台に立つことは、もう中学生の頃からしっかりとイメージできている。その目標に到達するための努力に、年齢なんて関係ない。「まずはインターハイで全国に出ることが目標ですけど、選手権で日本一を獲れるように日々の練習で努力していきたいですし、今のままでは自分も全然足りないと思うので、もっともっとみんなで高め合っていきたいと思います」。帝京長岡高に出現した新たな有望株。DF内山開翔(1年=長岡JY FC出身)の視線は、目の前の課題を見つめながら、さらに遠くまでの景色を同時に見据えている。

 新潟は三条市の出身。「最初に長岡JYに入った時は、帝京長岡のことはよくわかっていませんでした」と笑って当時を振り返るが、チームメイトと共に訪れた高校選手権の舞台で、躍動する黄緑色のユニフォームを見て、自分の中でスイッチが入る。

「中1の頃に選手権へ応援に行っていて、その時のサッカーが凄く面白くて、それで自分も帝京長岡を意識し始めましたし、自分がプレーするイメージもありました。メッチャ長く続いたPK戦はスタジアムで見ていましたよ。超楽しかったです(笑)」。

 中学2年生の頃から、帝京長岡の練習にも参加。「自分が初めて練習参加した時に、今の高校3年生が1年生で、結構距離も近くていろいろ話してくれていたので、自分も凄くやりやすかったですし、今も思い切りプレーができる感じです」。既に顔見知りの“先輩”たちの輪の中にも自然と溶け込み、今年も入学直後から左サイドバックの定位置を掴む。

 ただ、いきなりピッチに送り出されたプリンスリーグ北信越の開幕戦では、今までに味わったことのない感覚に襲われたという。「『試合に出られるかな』とは思っていたんですけど、ゲームの入り方も上級生はわかっていて、『公式戦はみんな違うな』ということが伝わってきました。緊張しましたし、自分としては全然納得できるプレーができなくて、かなり悔しい想いをしたので、次に繋げられるように今は練習を頑張っています」。貴重な経験を糧に、さらなる成長を遂げるべく、日々の練習に励んでいる。

 自らの特徴を語る視点も冷静だ。「自分は運動量が多いサイドバックを目指していますし、左足のキックが武器だと捉えているので、そういう所を生かしながら、守備でも相手にがっつり行けるように、気持ちの部分を誰よりも強く持ったプレーで見せようと思っています」。

「自分の中では、バイエルンのアルフォンソ・デイビスが圧倒的にスピードがあるので、プレーを見て走り方を研究したり、足の回転の速さも『自分も真似できたらいいな』と思っていますし、やっぱり攻撃的なサイドバックになりたいので、バルセロナのジョルディ・アルバも見ていて、ああいう抜け出しのタイミングを参考にできればなと考えています」。アルフォンソ・デイビスとジョルディ・アルバのハイブリッドを念頭に置きつつ、左サイドバックとしての基礎を見つめ直している。

 これからの目標を問うと、力強い答えが返ってくる。「自分はまだわからないことだらけなので、先輩の背中を見て学ぶことで成長して、来年後輩たちが入ってきたら、先輩たちが見せてくれた姿を自分が見せられるように、頑張っていきたいです」。

「あとは、世代別の代表に入るのも目標ですし、自分は高校を卒業したらすぐプロに行って、海外でもプレーして、A代表に定着できるようになって、ワールドカップに出たいですね」。帝京長岡からもたらされるものと、帝京長岡にもたらせるものを同時に考えながら、大きな野望に向かって一歩ずつ歩みを進めていく。

 その左足が秘める可能性は無限大。内山開翔がこれから踏みしめていく未来への階段には、常に注視しておく必要がありそうだ。

(取材・文 土屋雅史)

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