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互いの3年生が表現した思い。市立船橋vs流経大柏の千葉名門校対決は1-1ドロー!

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市立船橋高流通経済大柏高の千葉名門対決は1-1で引き分けた

[5.23 プレミアリーグEAST第7節 市立船橋高 1-1 流通経済大柏高 グラスポ]

 3年生たちが奮闘した千葉名門対決は、ドロー決着――。23日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2021 EAST第7節で市立船橋高(千葉)と流通経済大柏高(千葉)が対戦し、1-1で引き分けた。

 ここまで1勝1分4敗で9位の市立船橋は、波多秀吾監督が「一週間振り返ってみて、今週、流経戦が控えていることがあるかは分からないですけれども、3年生のパフォーマンスが良かった。(トレーニングで)強度の高いものが続いていて、気持ちが見受けられた」という理由などによって前節から1人増やす形で3年生9人をスタメン起用。右膝の怪我から復調した新DFリーダー・CB針谷奎人(3年)が今季初先発し、主将のFW平良碧規(3年)が3試合ぶりに先発復帰した。

 一方、開幕2連勝後に3試合白星の無い流経大柏の榎本雅大監督は、3年生の奮起を促す一方で「(彼らが気持ちを表現する)チャンスを十分に与えられていなかった」。前節は2年生4人が先発していたが、この日はオール3年生の先発メンバーで宿敵対決に臨むことを決断し、万能型FWの渋谷諒太主将(3年)をCBとして起用する。

 序盤はその渋谷が跳ね返しやビルドアップで健闘。一方、一際落ち着いてプレーする針谷が最終ラインに加わった市立船橋も、課題の立ち上がりで崩れること無く試合を進める。そして15分、市立船橋がファーストチャンスをモノにした。

 15分、針谷が自陣から蹴り込んだFKがDFラインの背後でバウンドする。これに勇気を持って走り込んだ平良が、GKと接触しながらも今季初得点となるヘディングシュートをねじ込んだ。主将の待望の初ゴールに沸く市船イレブン。その市立船橋は、針谷とCB小笠原広将(3年)を中心に相手の攻撃を弾き返すと、徹底的にDF背後を狙った攻撃で追加点を目指す。また、先発のチャンスを得た平良が縦横無尽に走り回るなど、3年生中心に気持ちの込もった戦いを見せた。

 対する流経大柏は、空中戦の応酬となっていた序盤から失点後は狙いとするグラウンダーで繋ぐ時間を増加。だが、36分、渋谷が激しい接触で頭部を負傷し、そのまま交代してしまう。不安が募る中、FW石川裕雅(3年)が抜け出しからシュートを放つなど同点を目指すが、逆に前半終了間際は押し込まれ、セットプレーなどのピンチが続いてしまう。

 市立船橋は平良の折り返しからFW芦沢颯太(2年)が決定的な右足シュートを放つが、これは流経大柏DFが身体を張ってブロック。逆に後半立ち上がりは流経大柏が押し込み、FW川畑優翔(3年)らが立て続けにシュートを打ち込む。渋谷からキャプテンマークを受け継いだCB田口空我(3年)がリーダーシップを取りながらチームを好転させていた。

 前半からボールを握られる時間帯の続いた市立船橋だが、波多監督が「巧さだったり、ボールの主導権を握ることは向こうが上だろうと。(その中で)自分たちは何が強みなのか、と意識して戦う」と語ったように、ゴール前での競り合いで必ず相手よりも先にボールに触れるなど集中したディフェンスを継続。MF坪谷至祐(3年)やMF武藤寛(3年)が最後の一歩を出してブロックするなど簡単にはシュートやラストパスを許さない。そして、右SB金子光汰(3年)の攻撃参加から決定的なシーンも作り出した。

 ただし、相手の攻撃を良く跳ね返してはいたものの、セカンドボールを連続で支配されていたことで流経大柏の連続攻撃を受ける状況となった。流経大柏は両SBも加わって次々とアタッキングサードの崩しにチャレンジ。セットプレーの本数を増やし、交代出場の2年生たちが決定的なシュートを打ち込む。榎本監督が「堅いですよ、やっぱり守りが。ビビらないもんね、(セットプレーが)何本来ても」と評した市立船橋の堅守に阻まれ、シュート精度をわずかに欠いていたものの、3年生が意地の同点ゴールを奪った。

 後半45分、流経大柏は左サイドでMF松本洋汰(3年)がボールをキープすると、味方とスイッチする形で足裏パス。これでエンドライン際へ切れ込んだ左SB長谷部陽也(2年)がクロスを上げると、ファーサイドのMF廣谷瑠己(3年)が左足ダイレクトシュートをゴールに突き刺した。この日、流経大柏は11人の3年生が先発した一方、ベンチスタートの3年生は廣谷1人だけ。その3年生の執念の一撃で流経大柏が追いつき、引き分けに持ち込んだ。

 廣谷は「自分たち3年生は、2年生に頼ってしまっているところが多かった。3年生の意地を持ってできた」と頷く。一方の市立船橋の平良は「(最後の失点は課題だが、)球際とか運動量の勝負になると思っていたので、そこは全員が強度高くできたと思います。流経は特別な存在。特別な思いも少しありつつ、全員が気合を入れてできたと思います」と振り返った。

 ライバルとの一戦の前にコーチから言われなくとも自然と気持ちが入り、強度が高まっていたという市立船橋の3年生と、大黒柱の負傷交代で奮起した選手も多かった流経大柏の3年生。ともにまだ本調子ではないかもしれないが、悩みながら着実に成長している両校がプレミアリーグ序盤戦の戦いやライバルとの好勝負で得た力を今後の戦いで示す。

(取材・文 吉田太郎)
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