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ハマブルーを支えたキャプテン。横浜FCユースDF増田健昇は感謝を胸に新たな未来へ向かう

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横浜FCユースのキャプテンを務めるDF増田健昇

[12.12 プレミアリーグEAST第12節 横浜FCユース 0-4 青森山田高 横浜FC・LEOCトレーニングセンター]

 6年間に渡って袖を通してきた、ハマブルーのユニフォームで戦うラストゲーム。結果はもちろん残念だったけれど、やっぱりこの仲間と一緒にボールを蹴るのは、最高に楽しかった。

「僕は大学に進学するんですけど、ユースと同じように1年から出ることを目標にして、2年生以降はチームの中心としてプレーしたいですし、大学を卒業したらプロの内定をもらって、Jリーグのステージで自分もサッカーをしたいなと思っています」。

 横浜FCユース(神奈川)を束ねてきたキャプテン。DF増田健昇(3年=横浜FCジュニアユース出身)は大きな感謝を胸に、新たな未来へと一歩を踏み出していく。

 12月12日。本来の予定より1週間延びた、リーグ最終戦。やはり1週間延びた試合に向けてのトレーニングが、逆に残された時間の少なさを実感させる。相手は青森山田高(青森)。優勝を懸けて乗り込んできた強豪をホームグラウンドに迎え、気持ちを入れてピッチへ飛び出す。

「そんなに飲み込まれるところはなかったんですけど、対人だったり、個のところで負けてしまった部分はありましたね。チーム全体の雰囲気としてはそんなに悪いものではなかったですけど……」。前半3分に先制点を許すと、なかなか相手に傾いた流れを押し戻すことができない。二度訪れた決定機も生かせず、逆に前半だけで4失点。苦しい展開を余儀なくされる。

「失点がだいたいセットプレーやセカンドボールを拾われたところからだったので、そういう場面で集中を切らさないようにという話はしていました」(増田)。普段は穏やかな重田征紀監督からも、激しい“ゲキ”が飛ぶ。この仲間と戦える最後の45分間。このまま終わっていいはずがない。懸命に気持ちを切り替える。

 毎日のトレーニングで積み重ねてきたビルドアップから、何度もチャンスは作った。相手の攻撃にも、ディフェンス陣が身体を張り続けた。「前半はなかなか自分たちの思い通りのプレーができなくて、相手のプレーに圧倒された時間が多かったんですけど、後半は自分たちの持ち味のビルドアップだったり、ボールを大事にしながら前進していくというところは見せられたので、そこは良かったかなと思います」。ゴールは奪えなかったが、ゴールも奪われなかった。ホームチームの意地は、確かに見せた。

 昨年は中止になったことで、今シーズンは横浜FCユースにとっても初めてのプレミアリーグ挑戦。1年間を戦い抜いて、増田には強く感じた想いがあったという。「去年はプレミアリーグ関東で先輩たちが優勝という凄い結果を残したので、『自分たちの代でもやってやろう』という気持ちは強かったんですけど、やっぱり去年のリーグにはいなかった青森山田やエスパルスは強くて、自分たちがそのレベルまでは及んでいなかったのかなと思います。特に青森山田とやってみて、足元だけじゃなくて、フィジカルだったり、スピードだったり、球際だったり、そういうのをもっと突き詰めていかなきゃいけないなと感じました」。特にこの日の敗戦は、下級生も多くピッチに立ったチームにとって、大きな財産になるはずだ。

 プレミアの舞台では、かつてのチームメイトとの再会もあった。7月。アウェイの流通経済大柏高(千葉)戦では、ジュニアユース時代の3年間を共に過ごしたDF橋本清太郎(3年)と対峙。セットプレーではマッチアップする機会もあり、お互いにバチバチのバトルを繰り広げた。

「僕もセットプレーでマークしていたんですけど、『ああ、清太郎はニアに行きたがっているな』って(笑)。あの試合は1回も競り合いで負けなかったと思います。清太郎は昔から仲が良かったので、目を見て何がしたいかを読んでいました。昔仲間だった人が相手になって、離れている間にお互い上手くなっていて、一緒にやっていた時よりも、もっと高いレベルでサッカーできたことに喜びを感じたというか、『やっていて楽しいな』という感じはしました」。

 最高学年となった今年はキャプテンも経験した。「1年から試合に出させてもらっていて、そこでチームを引っ張っていく力が付きましたし、今年はキャプテンをやらせてもらったんですけど、2年間の経験でどういうところで勝負が決まるかとかも分かるので、チームメイトが試合中に怖がっているシーンがあったら、こっちから声を掛けるようにして、みんなが自信を持てるような声掛けを意識してやっていました」。黄色い腕章を付けたキャプテンの存在感が、チームの大きな柱になっていたことは間違いない。

「今回は悔しい結果に終わってしまったんですけど、来年以降はプレミアで優勝する姿を見たいと思っていますし、後輩たちには頑張ってほしいです」。

 みんなで集合写真を撮り、スタッフも含めた最後の円陣が解けた後も、選手たちはいつまでもグラウンドに残っていた。ここからは、またそれぞれが自分の道を進んでいく。今度は“相手”として彼らとピッチで再会できる日まで、増田は今まで通りに自分自身と向き合っていくはずだ。

(取材・文 土屋雅史)
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