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「メンタリティーは面白いものがある」。明桜は東北新人3位、プリンス東北参戦も糧にインハイ、選手権へ

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責任感が芽生えてきたという10番MFMF小野亮輔明桜高の選手達は意識高く上を目指す

[1.31 東北高校新人選手権準決勝 尚志高 2-1 明桜高 Jヴィレッジ]

 明桜高(秋田)は昨年末のプリンスリーグ東北参入戦を制し、22年はプリンスリーグ東北に参戦する。昨年は期待されながらもインターハイ予選、選手権予選の決勝でいずれもPK戦の末に敗戦。それでも、後輩たちのために何かを残そうと奮闘した3年生が勝ち取ってくれた大きな、大きなプリンスリーグ昇格だった。

 新チームは東北新人戦で3位。八戸学院野辺地西高(青森)との初戦をFW藤山成弥(2年)の2得点によって2-0で制すと、専修大北上高(岩手)との準々決勝では残り5分まで1-3という逆境を跳ね返し、4-3で逆転勝ちした。

 そして、準決勝では、昨年のプリンスリーグ東北優勝校・尚志高(福島)と激突。序盤、右サイドのMF畠山昴琉(2年)のクロスからゴール前のシーンを作り出し、久米颯(2年)、菅野琉空(1年)の急造CBコンビやフィジカル能力高いMF小笠原義斗(2年)を中心に守備陣も踏ん張っていた。

 不要なPKなどで2点を追う展開に。それでも、後半24分に期待のゲームメーカー、MF小野亮輔(2年)の散らしから畠山がクロスを上げ切り、最後はMF佐藤拓海主将(2年)がDFと競りながら頭で決めて1点を返した。さらにセカンドボールを回収しながらサイド攻撃を繰り返していたが、2点目を奪うことはできず、惜敗。それでも、原美彦監督は「細かいところの差が秋田県では気づけなかった部分が大きかったのかなと。(面白い存在もいるので、)もっと成熟度を高めていければ」と前向きに捉えていた。

 名門・国見高(長崎)のコーチとして選手権優勝などを経験している原監督が18年3月に就任。秋田経法大付高時代の93年度を最後に全国舞台から遠ざかっていた古豪は、新体制となってからすぐに秋田の覇権を争う存在となり、20年度には選手権出場も勝ち取った。サッカーの原理原則を大事に、チームの土台を固めながら、一歩ずつ前進。昨年、力がありながらも勝ち切れずに学んだこと、それでもプリンスリーグへの切符を勝ち取ったことをまた次の飛躍への礎にしている。

 原監督は「(今年)メンタリティーは面白いものがある。佐藤拓海を中心に、(練習の雰囲気、強度など)これではダメでしょ、というところがあるから、過信がないという部分に関して今年はもっと伸びしろがあるのかなと思います」。現2年生は1年生チームの時になかなか結果が出ないという苦しさも経験。1年時から選手権のピッチに立っている佐藤や、サッカーIQの高さに加えて責任感が芽生えてきたという小野らが、悔しさも力に成長を続けてきた。

 東北新人戦の準々決勝で2点差をひっくり返し、また尚志と真剣勝負できたことも良い経験に。勝つための術、したたかさなども学ぶ大会となった。プリンスリーグに参戦する今年、より高いステージで揉まれ、日常が変わることは間違いない。佐藤は「今年はインターハイ奪還と選手権奪還」と宣言。秋田、東北の勢力図を変えつつある明桜はこれまで以上に意識高く成長を続け、今年、新たな歴史を築く。

(取材・文 吉田太郎)

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