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[J-VILLAGE CUP U18]第101回選手権の主役候補たちが躍動!U-17日本高校選抜が特長発揮し続けて頂点に

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「第4回 J-VILLAGE CUP U18」はU-17日本高校選抜が優勝

[3.21 J-VILLAGE CUP U18決勝 U-17日本高校選抜 2-0 履正社高 Jヴィレッジスタジアム]

 第101回選手権の主役候補たちが、特長を発揮しながら頂点へ――。「第4回 J-VILLAGE CUP U18」(福島・Jヴィレッジ)は21日にJヴィレッジスタジアムで決勝を行い、U-17日本高校選抜が優勝した。決勝で履正社高(大阪)と対戦したU-17日本高校選抜は、MF阪田澪哉(東山高2年)とFW小林俊瑛(大津高2年)のゴールによって2-0で勝利。参加20チームの頂点に立った。なお、大会MVPは4試合で7得点の小林が獲得している。

 第100回選手権で活躍した高校2年生を中心に構成されたU-17高校選抜にとって、この「J-VILLAGE CUP」は集大成の大会。4戦全勝で優勝したチームに対し、蒲原晶昭監督(佐賀東高)は「選手が本当に良く頑張りますね。嬉しかったのは終わった後も、個性が出るチームであることを何人かの人に言ってもらえたんですね。私の考えるサッカースタイルにはめ込むよりも個人の特長が出た、出やすかったというところを言ってもらえたのはやって良かったなと思いました」。各選手がハードワークすることを徹底する“高体連らしさ”を表現しながら、特長を出し合った彼らの見事な優勝だった。

 毎試合先発メンバーを入れ替えたU-17高校選抜は決勝も前の試合から4人をチェンジ。4-4-2システムのGKは藤澤芭琉(徳島市立高2年)で4バックは右SB鈴木大翔(尚志高2年)、キャプテンのCB新谷陸斗(東山高2年)、CB宝納拓斗(佐賀東高2年)、左SB保田成琉(阪南大高2年)、中盤は白井柚希(静岡学園高2年)と真田蓮司(東山高2年)のダブルボランチで右SH田原瑠衣(大津高2年)、左SH篠田翼(昌平高2年)、2トップは小林とFW福田秀人(米子北高2年)がコンビを組んだ。

 一方、富山一高(富山)、関東一高(東京)、横浜FCユース(神奈川)相手に無失点の3連勝で決勝進出した履正社は、これまでの4-4-2から3-4-3システムへ変化させてU-17高校選抜に挑戦。GK湯地駿介(2年)、3バックは東尾大空(2年)、平井佑亮(2年)、加藤日向(2年)で右WB河野朔也(1年)、左WBがU-17代表歴を持つ西坂斗和(2年)、ダブルボランチは中鉢大翔(1年)と小田切優希(2年)、3トップは古田和之介(2年)、川端元(2年)、寺地健心(2年)が構えた。

 履正社はハイラインを敷いて前からのプレッシング。ボールを奪うと高い位置で起点を作り、そこからの仕掛けでCKやFKを獲得する。U-17高校選抜はやや後ろに重い展開となったが、SB保田が篠田とのワンツーからPAへ。15分には小林とのパス交換で抜け出した篠田が右足を振り抜く。だが、履正社は163cmのGK湯地がビッグセーブ。U-17高校選抜は宝納の対角のパスから随所でかわす力を示していた田原が仕掛けたほか、白井や新谷が前に出てパスワークに係るなど攻めたが、なかなかチャンスの数を増やすことができない。

 相手のハイラインの背後を狙うも、オフサイドの数が増える展開に。逆に履正社は29分、32分と決定機を作るが、いずれも古田の決定的なシュートをU-17高校選抜GK藤澤が止める。また、U-17高校選抜は新谷がスライディングタックルを決めるなど、思うようにいかない展開の中でもピンチを凌いで行く。

 U-17高校選抜は34分、白井に代えてMF徳永涼(前橋育英高2年)を投入する。履正社は直後にロングスローで平井が競り勝ち、シュート。徳永投入で攻撃のテンポを変えたU-17高校選抜も徳永の縦パスから小林が決的的なシュートを撃ち込む。

 前半は0-0で終了。U-17高校選抜は後半開始からGK佐藤安悟(帝京長岡高2年)、左SB都築駿太(流通経済大柏高2年)、右SH阪田、左SH名願斗哉(履正社高2年)をピッチへ送り出す。すると6分に個の力で先制点をもぎ取る。右サイドへの展開から鈴木が判断良くWB背後へスルーパス。これで一気に抜け出した阪田がPAでの切り返しでDFを外し、先制点を押し込んだ。

 ベンチの選手たちが飛び出して待望の1点を祝福。履正社の平野直樹監督は「前半は(前からのディフェンスなど)プラン通り。後半は切れるなよと言ったんだけど。あの(立ち上がりの)5分は良くなかった」と残念がる。履正社は8分にFW大田睦月(2年)を送り出すが、試合の流れはU-17高校選抜へ傾いた。14分、前線を追い越す動きを見せた真田がシュート。18分には後半抜群の動きを見せていたSB都築が、左のスペースを突く動きからDFのマークを外してポスト直撃の右足シュートを撃ち込む。

 21分には都築の見事なインターセプトから徳永のパスで小林が右を抜け出し、シュート性のラストパスに福田が飛び込んだ。また、名願がドリブルでチームメートである履正社DF攻略にチャレンジ。履正社は右WB森田夢生(1年)、FW中村成那(1年)、MF張山拓夢(2年)をピッチへ送り出し、U-17高校選抜はCB津久井佳祐(昌平高2年)、FW澤田佳憲(瀬戸内高2年)投入でこの日出場可能な18人全員がピッチに立った。

 この後、履正社のDF背後への攻撃を都築や津久井、徳永が好カバー。相手WB西坂の鋭い仕掛けでゴールを脅かされるシーンもあったが、U-17高校選抜はGK佐藤やCB新谷が落ち着いた対応を見せて1-0を継続する。

 迎えた45分、右中間から仕掛けた澤田が横パス。DFから上手く遠ざかりながら受けた小林が、左足シュートを決めた。4戦連発の小林は笑顔でベンチのチームメートの下へ。そのまま2-0で優勝を果たした。

 震災からの復旧・復興を目指す福島のJヴィレッジでの4日間。震災の伝承館も見学した徳永は、「このような良い大会が行われていることは当たり前のことではないと思うし、サッカーできない時期も自分たちは経験しているのでこうやってやれること、まさに福島でやれることを感謝して、やってきました」という。

 1年後の第101回選手権の主役候補たちがU-17高校選抜という新たな活動をチャンスと捉え、プレーヤーとしても、人間としても成長した活動はこれで終了。蒲原監督は「(最後のミーティングでゃ)客観的に見て、できないこともあるからそこはちゃんと修正して、特長は今回やったようにどんどん出せば大丈夫だから、そのバランスで4月からチームで活躍してくれ」と送り出したという。新谷は「この経験って大事だと思います。(全員が)自チームに帰って、成長してくると思うので負けないように自分らもやっていきたい」。貴重な経験をした新高校3年生たちがさらに特長を磨いて22年シーズン、そして第101回選手権で活躍する。

(取材・文 吉田太郎)

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