[3.27 船橋招待U-18大会 市立船橋高 0-1 帝京長岡高]

　選手権の悔しさを忘れず、目標達成への力にする――。帝京長岡高(新潟)は「自分が持てば、基本抜けるという自信がある」というFW松山北斗(新3年=京都FC長岡京出身)が、左サイドで存在感。高校1年時に50m走6秒ジャストを記録しているというスピードキングは、立ち上がりから縦へ仕掛けてDFを振り切り、クロスの本数を増やしていた。

「前半は味方が上手く右へ寄せてくれて、左のスペースが空いていたので、自分はスピードのドリブルが武器で活かすことができた」。父親譲りだという圧倒的なスピードを発揮。選手権でも左サイドで先発している松山は、その経験も活かし、自分の強みをより発揮できるようになっている。

　帝京長岡の谷口哲朗総監督も「あのスピードはなかなかいない。カットインからのミドルシュートもパンチがある」と期待する存在。この日は強豪・市立船橋高を苦しめた松山だが、今冬の選手権では悔しい敗戦を経験している。

　3回戦の桐光学園高戦では後半開始直後、PAのルーズボールに追いつき、目の前のGKを外す形で右足シュート。だが、ボールは乾いた衝撃音とともにポストを叩き、ゴール外へ跳ね返った。この決定機で2点目を奪えなかった帝京長岡はその後セットプレーから追いつかれ、PK戦の末に敗退。松山は神村学園高との初戦でも豪快な右足ミドルをポストに阻まれるなど、無得点で大会を終えた。

　松山は「(自分が決めていれば、)チームも勝っただろうし、自分も(高校選抜など)もっと良いところに行けたと思う。(選手権のシーンは)夢とかにも出てくるので……桐光のポスト当てたやつもそうですし、神村戦のポスト当てたやつのそうですし……」。飛躍の大会にすることができず、チームも目標の全国制覇に届かなかった。　
　
　臥薪嘗胆。新チームでの活動をスタートした松山は、「練習前は自分のせいで負けたという思いを持って、練習に入るようにしています」。あの敗戦を忘れることなく日常を過ごし、自分自身、チームを成長させる覚悟だ。

　現在は1タッチ目からスピードに乗る形のドリブルを習得中だ。特長を磨き、よりチームのゴール、勝利をに貢献すること。「自分がこのチームを勝たせられたら良い。欠かせない存在になりたい」と誓う快足アタッカーが、強烈な突破とシュートで今年、帝京長岡を日本一へ導き、自身の将来も切り開く。

(取材・文　吉田太郎)