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より献身性、粘り強さ加え、市立船橋は今年も守れるチームへ変化。DF懸樋開「自分がDFリーダーとして…」

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市立船橋高のゲーム主将、DFリーダーを務めるDF懸樋開

[10.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 市立船橋高 1-1 川崎F U-18 船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]

 春からの成長を自分たちで実感している。市立船橋高は、首位・川崎F U-18を相手に守備重視の戦い。ほとんどの時間帯でボールを保持されたが、隙を見せず、決定打を打たせなかった。

 後半14分にセットプレーから1点を失ったものの、ゲーム主将のDF懸樋開(3年)が「(気持ちが)落ちないようにこだわっていた」と振り返ったように、崩れない。3バックの中央に位置する懸樋は声でDFラインやボランチラインの選手を動かし、最後の局面では自らインターセプトしていた。

「個人としては結構(周囲に)助けられているなという感じです。自分がどれだけ楽に守れるか、という感じでやっているので。自分はカバーリングのところはしっかり意識して、ゴール前はしっかり身体投げ出したり、自分がDFリーダーとして最後守ろうという意識はありますね」

 全てにおいて狙い通りに守れた訳では無い。だが、前線、中盤の選手たちが運動量多くプレーしてくれたこともあり、流れの中からの失点は最後まで許さず。これが後半アディショナルタイムのFW丸山侑吾(3年)の劇的な同点ゴールに繋がった。

 懸樋は特に守備面での成長を口にする。この日は怪我のMF太田隼剛(2年)やDF北川礁(3年)が不在。それでも、ゴール前では集中、我慢して守り続け、数人がかりのインターセプトでショートカウンターに結びつけるシーンもあった。

 今年も伝統の堅守を発揮できるようになってきた。7月までは3失点以上の試合が5試合あったが、9月以降の4試合は全て1失点以下だ。「凄く成長というか、守れているという感じはしていて、人が結構代わったりするんですけれども、一人ひとりが守ろうという意識が特にDFラインのみんなとか出ていると思うし、一緒にやっていて楽しい」と懸樋。波多秀吾監督も「単純に粘り強くなったなと思います」と頷いていた。

 この日、市立船橋の先発11人は全て2桁の背番号。怪我や試験などもあり、大きな番号の選手たちがピッチに立っていた。個としての特長も持って台頭してきた彼らがチャンスを掴んでいる理由について、波多監督は「献身性ですね。チームのことを最優先に考えてできる選手」と説明。プレミアリーグEASTの順位は11位と低迷しているが、この日首位から勝ち点1をもぎ取ったように、より献身性の高まった市立船橋のチーム力、試合内容は着実にレベルアップしてきている。

 守備面だけでなく、現在は攻撃面にも手応え。エースFW郡司璃来(2年)の存在の大きさは変わらないものの、波多監督は「先制されて慌てずに取り返すとか、そういう感じがある」と変化を口にする。厳しい戦いはまだまだ続くが、リーグ上位相手にも紙一重の戦いを続けているチームは、課題を改善しながらもっともっと自分たちの力を高めていくつもりだ。

 懸樋は「順位、自分気になっちゃうんですけれども、(今日)監督からも試合前に『順位は関係ない』『気にせずに』と言われたので、ちょっとリラックスしてできたと思います。これから負けられない試合が続くと思う。チームが良い方向に向かっていく感じがあるので、しっかり来週も、再来週も火曜日からテンション高くチームを盛り上げていきたい」と意気込んだ。

 鳥取市立東中出身の懸樋は名門・市船で挑戦中。最近の試合でキャプテンマークを巻くことが続いていることについて、地元の反響も大きいようだ。「米子北に同級生が多いんですけれども、自分が取材されているのを見ると結構反応とかしてくれる」。弟・GK懸樋優(1年)は別の道を歩み、岡山U-18で奮闘中。鳥取出身のDFリーダーは堅守・市船の中心としてプレミアリーグ、選手権で活躍、白星を続け、成長した姿を多くの人々に示す。

(取材・文 吉田太郎)
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