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先輩MF、そして守田英正に続く存在へ。川崎F U-18のMF由井航太は2年生でも「一番存在感を出せるような選手に」

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川崎フロンターレU-18の2年生MF由井航太がボールを奪い取る

[10.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 市立船橋 1-1 川崎F U-18 船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]

“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグEAST初参戦ながら、首位。川崎フロンターレU-18は、厳しいリーグ戦で8連勝を記録するなどチーム力の高さを示してきた。それを支えるのが、個性的な選手たちだ。

 今年、CB松長根悠仁(3年)、CB高井幸大(3年)、MF大関友翔(3年)の3年生3選手がトップチーム昇格。高井は1歳年上のU-19日本代表の一員としてU20アジアカップ予選で本大会進出に貢献し、大関はU-17日本代表の10番を背負って「HiFA 平和祈念 2022 Balcom BMW CUP 広島ユースサッカー」(8月)で優勝へ導き、大会MVPを獲得している。

 その大関をU-17日本代表、川崎F U-18で支えてきたのが、180cmMF由井航太(2年)だ。大関は、Balcom BMW CUP終了直後に「チームでも由井がいるから自分が前に出て行けますし、由井のお陰で自分は好きにやらせてもらっている部分が多いので。自分が中心として見られがちですけれども、由井があっての自分だと思っています。陰のところで由井が活躍してくれているというのがあるんですけれども、凄い感謝していますし、一番やりやすいボランチだと思っています」と語っていた。
 
 由井のボールを奪う力は抜群。相手の身体の向き、ボールの置きどころを見て予測し、強烈なアプローチでボールを奪い取る。国際大会でもその奪い返しの速さ、インターセプトする力を発揮していた。この市立船橋戦でも中盤の底の位置でビルドアップに係わりながら、相手の攻撃の芽を摘み、決定的なラストパスをインターセプト。チームを攻守でサポートし、主導権を握らせていた。

 由井は「守備のところやセカンド回収のところは意識してやっているので、相方が攻撃的な大関さんや(大瀧)螢さんがやることが多いので、そこのバランスを見ながら取ることは意識していたので、そこを評価してもらえるのは嬉しいです」と語る。

 中学2年、3年時はCB。「(中学生までは)守備しかやってこなかったので、その感覚だったりというのは、CBやっていたお陰なのかなと思います」。当時養ったボールを奪う力を現在、ボランチとして存分に発揮し、周囲からの評価にも繋げている。

 川崎F U-18の長橋康弘監督が、「守備のところでボールをシンプルに奪える力というのはかなりあるというか、彼の持っているものがあるので、そこは引き続き磨きながらもボールを持った時も落ち着いてボールを握るというか、起点になるようなプレーを何回も見せてくれているので、守備プラス攻撃のところも凄く成長してくれていると思います」と認める成長株。ただし、本人は現時点でのパフォーマンスに満足はしていない。

「前期は自分でも自信がついていたんですけれども、最近はあんまり良いパフォーマンスが出来ていないので、反省点が多いと思っています」とコメント。その理由について、「簡単にボールを失うところだったり、イージーなミスが多いのが反省点かなと思います」と説明する。

 プレミアリーグEAST首位・川崎F U-18は、前期よりも対戦相手に分析、警戒される中での戦いの連続。当然、対戦相手のプレッシャーも厳しくなってきている。その中でもプレーの質を上げ、勝利に貢献していかなければならない。

「自分の目標はトップ昇格ですし、今は周りの人たちからの評価を上げないといけないと思うので、2年生だからと言って甘えるんじゃなく、チームでも一番存在感を出せるような選手になりたいです」。2年生ボランチはこの日、ボランチの位置から崩しに係わり、こぼれ球を狙って惜しいシュートも。チームの得点力が低下している中、ゴールへ向かい、試合を決めようとしていた。その由井は、一番存在感を出せるような選手、先輩のように質の高いパフォーマンスを続ける選手を目指している。

「大関さんと比べると、自分のパフォーマンスは低いので、自分も大関さんみたいになれればと思っています。(大関は)個人で打開したり、背後へ決定的なパスを出したり、自分でもゴールを狙えるし、守備もちゃんとサボらずにできるし、何も悪いところがないというか。(ちょっと)上からですけれども『凄いな』と。全部の分野が『凄いな』と思います」

 大関に続く形でトップチーム昇格へ、そして将来は川崎Fで活躍し、日本代表、世界へ羽ばたいて行ったMFに続く存在へ。「やっぱり自分の特長は守備なので、守田(英正)さんとかみたいに、アンカーとかダブルボランチで守備はもちろん上手いけれど攻撃もできるみたいな選手になっていきたい」と意気込んだ。

 まずはチームのため、目の前の一戦一戦、リーグ制覇にチャレンジする。「もう勝ち点差が詰まってきているので、負けられない試合が続くと思いますし、自分たち追われる立場だからと言って受けて入るのではなくて、チャレンジャーの気持ちで残り全試合勝利して、優勝したいと思います」。川崎F U-18の歴史を変え、来季、将来の飛躍に繋げる。


(取材・文 吉田太郎)
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