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昇格即V、残留のため、ともに課題はゴール。首位・川崎F U-18先制も後半45+3分に市立船橋が追いつきドロー

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後半45+3分、市立船橋高が交代出場FW丸山侑吾(7番)の同点ゴールを喜ぶ

[10.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第17節 市立船橋高 1-1 川崎F U-18 船橋市法典公園(グラスポ) 球技場]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 EASTは9日、第17節2日目を行い、11位・市立船橋高(千葉)と首位・川崎フロンターレU-18(神奈川)との一戦は、1-1で引き分け。勝ち点1を分け合った。

 U-19日本代表CB高井幸大(3年)、21年U-17日本代表候補CB松長根悠仁(3年)、U-17日本代表MF大関友翔主将(3年)のトップチーム昇格トリオも先発した川崎F U-18が、立ち上がりから圧倒的にボールを支配する。だが、最初の決定機は市立船橋。13分、右サイドでオーバーラップしたWB佐藤凛音(2年)のクロスにU-17日本代表FW郡司璃来(2年)が飛び込む。

 市立船橋にとって、WBの攻め上がりを活用した攻撃は狙いとする形だったが、「もっと増やしたかった」(波多秀吾監督)。中盤でボールを奪い取り、郡司が浮き球を活用した突破などで相手の守りに穴を開けていたが、川崎F U-18に押し込まれていたチームはどうしても攻撃のスタート位置が低く、なかなか決定的なシーンを作るまでは至らない。

 一方の川崎F U-18は、ボールを保持しながら幅を使った攻撃を続け、大関のアイディアあるパスがゴール前に入ってくる。前半30分頃には川崎F U-18のパスワークが市立船橋のスライドの速さを上回ってきていた。だが、川崎F U-18はゴール前でチャレンジする姿勢が不足。前半のシュートはこぼれ球をMF由井航太(2年)が左足で狙った1本のみだった。

 川崎F U-18は由井のアプローチ鋭い守備などで相手のビルドアップを封鎖。だが、攻撃面では、パス能力の高い松長根をケアされていたこともあって、外中心になり、ラストパスをGK佐々木海翔(3年)ら市立船橋DF陣に対応されてしまっていた。。

 一方の市立船橋は自信を持って後半も守備。特に波多監督が「彼なくては守れないという選手になりましたね」と評するDF懸樋開(3年)は、10cm以上高い相手FW五木田季晋(3年)に苦戦しながらも渡り合い、また幅広いカバーリングで危険なボールを拾い続ける。

 加えて、指揮官が「足下が結構あってボールを引き出せる。そして、ハードワーク。今までは全然ダメだったけれど」という成長株・MF足立陽(2年)ら中盤、前線の選手たちもプレスバックを徹底する。後半7分には大関らのコンビネーションで崩されかけたが、枠にシュートを打たせない。リスクを負うことなくクリアし、良い形でボールを奪った際にはカウンター攻撃を繰り出した。

 それでも、川崎F U-18はセットプレーで先制する。後半14分、大関の左CKを中央へ飛び込んだ左SB元木湊大(2年)が頭で合わせてゴール。長橋康弘監督が、「(元木は)これまで得点なかったんですけれども、守備のところとボール持ったところも成長してくれていて。彼は本来、得点感覚のある選手で右も左もできるというところと、今日得点できたのでまた期待したいなと思います」と評した左SBのプレミアリーグ初得点に、川崎F U-18は喜びを爆発させた。

 長橋監督も「(崩し切っての得点だけでなあく、)セットプレーも一つチームの武器にして行こう、というところで一つ獲れたことは一つ進歩かなと思います」と頷いた1点で、川崎F U-18が優位に立った。対して、市立船橋はカウンター攻撃でピッチサイドのチームメートを沸かせる回数を増やしていただけに痛恨の失点。それでも、チームの雰囲気は落ちない。

 後半23分、佐藤の右クロスにMF内川遼(2年)が決定的な形で飛び込み、24分にはスルーパスで巧みに相手CBの前へ潜った郡司が独走する。そのまま右足を振り抜こうとしたが、直前で川崎F U-18CB高井がブロックするビッグプレー。川崎F U-18もボールを保持しながら追加点を目指したが、市立船橋DF陣はシュートを打たせない。

 試合終盤、勢いのある攻守を続けた市立船橋はハイサイドを突き、セットプレーを獲得。そして、45+3分には右サイドから郡司がロングスローを放り込む。このこぼれ球をFW丸山侑吾(3年)が頭でプッシュ。交代出場FWの値千金のゴールによって追いつき、引き分けに持ち込んだ。

 川崎F U-18は初参戦のプレミアリーグEASTで8連勝を記録するなど、前期の11試合を10勝1分。その間、33得点を叩き出していた。だが、第12節以降の5試合は計3得点で1勝2分2敗。一方の市立船橋は前節までの14試合でリーグ最少の10得点と得点力不足に苦しんできた。ここへ来て苦戦の続く川崎F U-18、降格圏を抜け出したい市立船橋ともに欲しているのはゴールだ。

 川崎F U-18の長橋監督は「(今日は)最後入れられてしまって勝ち点2を失ってしまった印象ではありますけれども、そんな簡単に行くはずがないと私も、選手も思っています。課題は2点目、3点目を獲れなかったこと。そこで試合を決めれるチームが川崎フロンターレだと思いますので、何とかできるだけ早く改善してフロンターレらしいサッカーをまた展開したいと思います」とコメントした。

 一方の市立船橋・波多監督は守備での手応えを口にした一方、攻撃面を指摘。「自分たちでも分かっていると思います。最後点数を獲るところの質。それを一個上げないと勝ち点3を獲ることは難しい。守備は自信を持ってやれるようになってきているし、逞しくなってきてはいるんですけれども、勝ち点3を本気で獲るとなったら、相手を上回る質が必要だと選手たちもよく分かっていると思う」。昇格1年目で初優勝を狙う川崎F U-18、残留へ勝ち続けることが求められる市立船橋ともに課題となっているゴール。両チームは変わらず守備の部分の成長も求めながら、獲り切るところによりフォーカスして改善し、一つひとつゴールを積み重ねて目標達成に繋げる。

後半14分、川崎フロンターレU-18左SB元木湊大が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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