[12.11 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 米子北高 2-1 帝京高 バルコム]

　最激戦区からプレミアリーグ昇格の切符をつかんだのは、米子北だった。プレミアリーグ2022プレーオフは11日に2回戦を行い、米子北高(中国1/鳥取)は2-1で帝京高(関東2/東京)を破り、2018年以来となるプレミアリーグ復帰を決めた。中村真吾監督は「本当に応援のおかげ」と部員130人全員で会場に乗り込み、声出し応援可能となったバックスタンドから今季初の大声援を送った登録外選手たちに感謝を示した。
　
　前半の頭にハイプレス。押し込まれれば、国内屈指の守備組織からカウンター。米子北の持ち味は存分に発揮された一戦だった。最初のチャンスは、試合開始30秒。相手のクリアミスを突いてMF中井唯斗(3年)が左から送った低いクロスをFW福田秀人(3年)が狙ったが枠の上に外れた。

　しかし、勢いは止まらず、その50秒後、左サイドのスローインをFW森田尚人(2年)がバックヘッドで反らすと、FW福田がバイタルエリアへ頭で落とし、走り込んだMF仲田堅信(2年)が豪快にゴール右上に蹴り込み、わずか80秒で先制に成功。仲田は「福田君にボールが入ったら、僕を見てくれていると思った。前にスペースが空いていたので、思い切って入って、振り抜くだけでした」と手応えを振り返った。前半6分にも右MF浅野颯真(3年)のクロスのこぼれ球をFW森田がシュート。押し込んだFW福田がオフサイドで得点にならなかったが、怒とうの攻撃を見せた。

　しかし、前半7分からは個々のスキルで上回る帝京が主導権を奪った。前半14分、右MF前野翔平(3年)がドリブルシュート。直後にも押し込む場面があったが、米子北はゴール前で体を張り、白い壁となって相手の攻撃を阻んだ。

　守備のリーダーであるDF森川和軌(3年)は、帝京のエースFW齋藤慈斗(3年)と中学時代(バディーSC)のチームメート。「最初は正直(相手に上手い選手が多く)怖くて、負けるかもと思うところもあったけど、ウォーミングアップで応援の声を聞いて、やるぞという感じになった。あっち(齋藤)も負けねえって感じでしたけど、自分も押し返した。声援で背中を押してもらっていると感じられたので、応援団に感謝」と気持ちを奮い立たせ、力強い守備を見せた。

　押し込む帝京と、守る米子北の攻防が続く中、前半35分、帝京はMF押川優希(3年)が中盤で相手をかわして左へ展開すると、左MF山下凛(3年)がゴール前へパス。MF前野が飛び込んだがGKに止められた。帝京は前半終盤にFW齊藤のポストプレーからトップ下のMF伊藤聡太(3年)がシュートを放ったが、ゴール右に外れた。

　米子北は、後半からMF石倉亜連(2年)をボランチに投入し、MF仲田を右サイドへ移した。すると後半8分、相手ボールを奪ったDF森川が前進。相手に阻まれたが、こぼれ球をMF上原颯太(2年)がすかさず右前方へ大きく蹴り出してカウンター攻撃へ移行した。FW森田のバックパスを右MFに移った仲田が迷わず対角へフィード。相手にカットされたが、左MF中井がボールを奪ってラストパス。正面やや右寄りで受けたFW福田がゴール右上に蹴り込んで追加点を奪った。

　2点差にされた帝京だが、足下でしっかりつなぎながら反撃。米子北は3バックに変更して対応した。後半40分、米子北は相手FKの跳ね返りを受けたFW福田がMF上原との大きなワンツーでカウンターを仕掛け、出てきたGKをかわしてシュートを放ったが、ゴール右に外れた。その直後、米子北DF森川が帝京FW齋藤との競り合いで出血によりピッチ外へ。帝京は、数的優位の時間を逃さず、ショートパスをつなぎ続けて揺さぶりをかけると、MF土本瑶留(2年)の縦パスに反応したMF山崎湘太(2年)が倒されてPKを獲得。途中出場の2年生コンビが生み出した好機をFW齋藤がきっちりと決めて1点差に追い上げた。

　しかし、帝京の猛攻を米子北はシャットアウト。2-1で逃げ切った。勝った米子北は、5年ぶりのプレミア復帰を決めるとともに、28日に開幕する全国高校選手権に弾みをつけた。夏のインターハイはベスト4。優勝した前橋育英高(群馬)との試合は、0-0でのPK戦負け。この試合でインターハイ準優勝の帝京を破り、頂点に近い力を持っていることをあらためて証明した。主将を務めるDF野田徹生(3年)は「選手権に向けての一歩を踏み出せた。優勝を目指して頑張りたい」と次なるターゲット、悲願の日本一に目を向けた。

(取材・文　平野貴也)

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