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[新人戦]MF志賀が延長終了間際に決勝点!課題の多い内容も静岡学園が磐田東に勝ち切り、静岡決勝進出

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延長後半9分、静岡学園高MF志賀小政が右足で劇的な決勝点

[1.28 静岡県高校新人大会準決勝 磐田東高 1-2(延長)静岡学園高 愛鷹]

 令和4年度静岡県高校新人大会サッカー競技準決勝が28日に行われた。22年プレミアリーグWEST4位の静岡学園高と同インターハイ県予選優勝校の磐田東高が激突。延長後半9分にMF志賀小政(2年)が決勝点を決め、静岡学園が2-1で競り勝った。

 約2か月後に開幕するプレミアリーグへ向けてやるべきことは、「めちゃくちゃあると思う」(宮本佳宣監督代行)。静岡学園は磐田東の強度の高い攻守に苦戦。ミスも増え、苦しい戦いだった。

 現在は、チーム作りよりも多くの選手を起用し、色々なポジションをテストしている段階。とは言え、この試合は宮本監督代行も「前半は球際が緩かった。切り替えも相手の方が速かったし、どうしても受け身になってしまっていたところがあったのが内容の悪さかなと思います」と首を振る内容だった。

 立ち上がりからビルドアップのボールを狙われてロストが増加。磐田東は新チームになってよりパワーが増したという右SH瀧井空主将(2年)が、一際目立つ動きを見せていた。左の10番FW徳増倭(2年)とともに推進力のある攻守で強敵に対抗。だが、16分、静岡学園は志賀が左サイドから中央のスペースへドリブルで駆け上がる。最後はMF泉光太郎(2年)がGKをかわしながら右足シュート。先制点をもぎ取った。

 だが、磐田東は20分、瀧井の奪い返しから1年生レフティーのFW伊藤悠陽が決定的なラストパス。25分にはMF杉山充希(2年)の展開から初先発の右SB赤堀豪哉(2年)がPAへ絶妙なパスを通す。これに走り込んだ杉山充が右足ループシュートを決めて1-1とした。

 静岡学園は左利きの10番MF高田優(2年)や大型パサーMF眞井礁伍(2年)、スケール感のある1年生CB矢澤怜士がボールを前進させるが、球際の局面でことごとく劣勢に。33分に右CKから注目MF福地瑠伊(2年)の放ったヘッドがクロスバーを叩くなど1-1で前半を折り返した。

 後半も山田智章監督が「人が動きながらボールを動かすとか、突破、守備の意識づけはだいぶできてきた」という磐田東が健闘。この日はいずれも本職は中盤という4バックだったが、各選手のカバーリング意識が高い。決定的なシーンも幾度か作られたものの、GK岡村虹輝(2年)のビッグセーブやDFのゴールカバーで1-1を維持する。

 逆に28分には、伊藤が右サイド後方から蹴り込んだ左足FKがゴール前の混戦を抜ける。これはJ1クラブへの練習参加から復帰した静岡学園GK中村圭佑(2年)が反応してかき出す。磐田東は、PK戦で静岡学園に勝利した昨年のインターハイ予選準決勝よりもボール保持を高め、押し返す。だが、大事に攻めすぎて流れを変えるようなシュートがなかったことを山田監督は残念がっていた。

 積極的に声を発するGK中村や運動量を増やした福地を中心に2点目を許さなかった静岡学園は、1-1で突入した延長戦前半、福地やエースFW神田奏真(2年)が決定機を迎える。決め切ることができなかったものの、ボールを繋ぎ、攻めどころになっていた左の志賀や神田がゴールを目指し続けると、延長後半終了間際に決勝点を挙げた。

「今週の練習で気持ち入っていた。良かったので使った」(宮本監督代行)という交代出場MF田嶋旦陽(2年)が右サイドから鋭くポケットへ侵入。マイナスのラストパスを志賀が右足ダイレクトで決め、昨夏のリベンジを果たした。

 静岡学園は世代屈指のドリブラー、MF高橋隆大(3年、G大阪→奈良)と得点力を備えた大型CB行徳瑛(3年、名古屋)らを擁した昨年、プレミアリーグWESTで高体連勢トップの4位。だが、夏冬の県予選を勝ち抜くことができなかった。昨年も先発を務めていた福地は「去年、あれだけのタレントがいて行けなかった。今年は(個々の力は)負けていないと思うので、さらに今年は全体としてのチーム力を上げていきたい」。また率先して発言し、チームが呼応することを求める中村は「勝負にこだわって、選手権で日本一を取れるようにやっていきたいと思います」と誓う。

 内容面で課題が多かったことは間違いない。それでも、苦しみながらも最後に静岡学園らしく崩して2点目を挙げたこと、勝ち切ったことは今後の自信に繋がるはずだ。29日の決勝では浜名高と対戦。準決勝から学んだことも活かし、まずは県のタイトルを一つ獲得する。

(取材・文 吉田太郎)

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