[3.5 静岡県ヤングフェスU-16男子の部 U-16静岡選抜 1-2 U-16東京選抜 草薙陸]
　
　台頭してきたレフティーが結果を残した。U-16静岡選抜は後半15分、右サイドから仕掛けてMF川合亜門(浜松開誠館中)が左足シュート。中央のこぼれ球をMF石塚蓮歩(磐田U-15)が跳躍しながらトラップする。ゴール前に敵味方がいる状況だったが、「感覚的に行けるなと思った」という石塚は、左前方へドリブルで持ち出すと左足一閃。対角の一撃をゴール右隅に決めた。

　チームでは主にトップ下やボランチ。右サイドからのカットインシュートを得意とするが、県選抜では前日の練習試合、この日と左サイドでのプレーだったため、左サイドでプレーするイメージを植え付けていた。

「右足苦手なので、利き足同サイドで戦っている選手の動画とか見て、どのタイミングで仕掛けて打つのかなみたいなところで、あんま抜き切らずに打つとか運ばずに打つというのがあったので、やりました」。得点シーンでは“予習”していたことを表現。見事なゴールに結びつけた。

　この日はボールを持つと連続での切り返しから右足シュートを放つなど、独特の動きを見せていた。「全然選抜とか選ばれたことがなくて。なんならチームでも試合に出ていなかったくらいで。(中学では)初めて選んでもらって、自分の中でだいぶ自信になりました」。所属チームでの練習試合で名門・流通経済大柏高相手に通用する、仕掛けて良いんだ、と手応えに。この日の敗戦はもちろん悔しかったが、結果が出たことを素直に喜んでいた。

「相手の東京メンバーは日本代表とか自分も知っている名前が多くて、自分の年代でもトップの選手が多いと思っていて、その中で自分がどれだけできるか楽しみにしていて、チームとして勝つことはできなかったんですけれども、ゴールを決められたことは良かったと思います」

　小学生時代は県選抜に選ばれていたというが、選手層の厚い磐田U-15ではなかなか出場機会を得られなかったという。同学年の選手が昇格して不在の際や、「けが人いたら(先発で)出るくらい。最後の大会も途中出場でした」。最終学年では、磐田U-15としても全国大会に出場することができなかった。それでも素材感のある長身レフティーはU-18チームに昇格。練習会でアピールして県選抜に選ばれ、自信をつけて今回の活動を終えた。

　大塚智紀監督(焼津中央高)も「左利きで、攻撃で見ているところも良いですし、置き所も良くて、思い切りも良い。ポジションはチームと少し違うところでやっていますけれども、非常に相手を見て、立ち位置が良くて、昨日(の練習試合)もそうですけれども良いプレーをしてくれた」と評価する楽しみな存在。今後は、磐田U-18や県選抜でも常に目立つプレーをし、チームを勝たせることが目標だ。

「(今回は欠場したが、)FW宇山桂介がエスパの10番で、僕も小学生の頃は選抜とか選ばれていて、普通に仲もよくて、(彼は)昔から一歩前にいる感じ。いたらきょうも目立っていたと思う。いても自分が目立てるようなプレーをしたい。(今回も含めて) 負けた試合で1点取るとかが多いので、勝たせられるゴールを決めれる選手になりたい」。サッカー王国・静岡の代表選手として国体で「優勝したい」と宣言。7か月後の国体では静岡を勝たせてヒーローになる。

(取材・文　吉田太郎)