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武南が3-0で関東大会出場権獲得。チームが循環した終盤に公立校・浦和東を突き放す:埼玉

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前半28分、武南高MF川上旺祐が右足ループシュートで先制点

[4.26 関東高校大会埼玉県予選準決勝 武南高 3-0 浦和東高 駒場]

 令和5年度 関東高等学校サッカー大会 埼玉県予選は26日に、準決勝を行い、武南高が19、21、22年大会に続く4大会連続の関東大会出場を決めた(20年大会は中止)。4強で唯一の公立校、浦和東高と対戦した武南は3-0で快勝。30日の決勝で埼玉平成高と戦う。

 平日開催の準決勝。バス13台で全校応援の浦和東が、同級生たちの後押しを力にして新人戦王者・武南に食い下がる。雨中で立ち上がりから相手にボールを握られる展開だったが、187cmの大型レフティーCB小山紘輝主将(3年)を中心にゴール前に入って来るボールを一本一本跳ね返していた。

 武南は11分、DFと入れ替わったFW戸上和貴(3年)が右足を振り抜くも、浦和東GK中村真也(3年)が阻止。14分には右クロスを戸上が頭で狙うが、ボールは左ポストを叩いた。

 一方の浦和東は左SH田中涼賀(2年)のサイドチェンジなどでオープンスペースを狙う。ロストが増え、攻撃機会をなかなか増やせずにいたが、右SH富岡璃音(3年)の右クロスに田中が飛び込むなど幾度か攻め切っていた。

 武南は引いて守る相手に対して意図的にサイドを活用。MF高橋秀太(3年)の展開などからドリブル、コンビネーションで仕掛けてチャンスを作り出そうとする。だが、普段に比べて選手の距離間が開いてしまい、セカンドボールを回収されて蹴り返されてしまう。それでも、トップ下の注目エースMF松原史季(3年)とMF川上旺祐(3年)のポジションを入れ替え、左へ移った松原のクロスなどから相手にプレッシャーをかける。

 そして28分、流れの中で右中間にいた松原がヒールでの絶妙なスルーパス。これで抜け出した川上が右足ループシュートでゴールネットを揺らした。川上は「練習からあそこはやっていることなので、史季に入った時に『あ、来るな』と思っていましたし、GKが出てきたのでしっかり浮かせて流し込みました」。松原、川上のアイディアとテクニックがリンクし、浦和東ゴールをこじ開けた。
 
 ただし、浦和東にとって1点差は想定内。後半、FW櫻井康太郎(3年)を投入して勝負を仕掛け、セットプレーやゴール前のシーンを増やすことに成功する。小山のロングスローが2度3度とPAへ。また、田中や櫻井の縦へのドリブルが武南DF陣を脅かす。

 武南は後半もボールを保持し、ロングボールも交えて相手を揺さぶる。だが、攻撃が単発になってしまっていた。それでも、CB小金井遥斗(3年)が空中戦で圧倒し、川上やMF宮里丞(3年)がセカンドボールを回収するなど、相手に飲み込まれない。そして、29分にFW文元一稀(3年)を最前線へ投入。右サイドへ移った戸上が内寄りのポジションを取ったことで攻守が循環していく。

 37分、武南は松原が左サイドから右足クロス。これをファーサイドの戸上が左足ダイレクトで合わせて右隅へ決めた。内野慎一郎監督が「周りを巻き込む力がある」と評する松原は突破力と1タッチパスやクロスの質の高さを示して2アシスト。さらに40+1分、武南はPA内右で粘った文元が左足シュートを決め、3-0で関東大会出場を決めた。

 浦和東の平尾信之監督は「後半勝負掛けに行って、ゴールに迫ったシーンもあったんですけれども、そこで決めきれずに2点目、3点目取られてまだ力の差を感じました」。一方で、ピッチ外の行動をピッチ内に繋げて県立で唯一の埼玉4強。「ここまで来る中ですごく成長しました」と選手たちを讃えていた。

 一方、武南の内野監督は「最後の方は上手い循環になった。(時間はかかったが、)そういう雰囲気に持っていけたので良かった。(次の試合に持ち越すのではなく、この試合で)行き着けたのが良かった」と頷く。その上で、「全部俯瞰して見れるようになってくると本物になってくるのかなと。まだまだですね」と指摘。技術ミスもあっただけに、自分たちで判断する力を含めて、トレーニングから改善していく。

 武南はは埼玉1位を勝ち取り、各都県1位が出場する関東大会Aグループで優勝することが目標。川上は「決勝勝って1位で関東に行くためにトレーニングしていきたい」と語り、小金井は「決勝勝って、他の県の強い高校と勝負して絶対に勝つ」と意気込んだ。今年、武南が掲げる目標は県内4冠。まずは2つめのタイトルを獲得し、関東大会での経験をインターハイ予選に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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