[5.3 球蹴男児U-16リーグD2第1節 佐賀商高 0-5 宮崎日大高 大津町運動公園多目的A]

　ウォーミングアップの時から遠くまで響いていた声は、「2023球蹴男児U-16リーグ」に懸ける気合いの表れ。主将を務めるDF四本和輝(1年=宮崎日大中出身)が、「アップの時から、自分たちはどこのチームよりも声を出せていました。良い雰囲気で試合に入れたのが良かった」と胸を張った通り、宮崎日大高(宮崎)はスムーズに試合に入った。前半2分、FW井上大誠がドリブルでゴール前に侵入。「GKと1対1になった時に奪われるかなと思ったのですが、最後は足を伸ばせたのが良かった」と振り返る通り、執念で放ったシュートが決まり、宮崎日大が素早く均衡を崩した。

　幸先の良いスタートを切った宮崎日大は身のこなしの軽さが目を惹くMF櫻井優空や独特のリズムで刻むドリブルが印象的なMF太田原夢空を中心に見せ場を作ると、22分には井上が追加点をマーク。守備も「後ろは相手が結構蹴ってくるので、チャレンジ&カバーをしっかりやろうと意識していました」(四本)と隙を与えず、2-0で試合を折り返した。

　後半1分に櫻井が追加点を挙げたが、後半は佐賀商高(佐賀)のFW中村拓未にボールの入る場面が増えた。ただ、「90分の試合は初めて。後半は足が止まってくる時間帯なので、キャプテンとして奪われた後のリアクションを徹底しようと考えていました」と振り返る四本を中心に落ち着いて対応すると、試合終盤に再び見せ場を作る。38分、相手のクリアボールを回収し、MF樫本成生が左を突破。中に入れたボールをMF中城昌士が決めると、40分にも樫本がゴールを奪った。
　
　5-0の快勝を収めた宮崎日大を牽引したのは、キャプテンマークを託された四本。「自分は左足が武器。守備では身体の強さでは絶対に負けない自信があるので、相手に強く行っています」と話すように、172cmの身長はCBとして小柄だが、対人の強さと展開力で違いを見せる選手だ。すでに県1部リーグにも出場しており、1年生チームには2日前に合流となったが、高いレベルを経験しているため、プレーに余裕を感じた。

　4つ上の兄・真輝も中学と高校で宮崎日大に所属し、宮崎日大が選手権初出場を果たした20年度と2度目の出場となった21年度に全国大会のメンバー入りを果たしている。「自分も宮崎日大で選手権に出たいなと思いました」と高校でも兄と同じ進路を選択。「FWとCBでポジションは逆なのですが、お兄ちゃんの結果を超えられるように頑張っています」と兄が3年生の時に記録した3回戦を超えて、ベスト8へと進むのが高校3年間での目標だ。

　達成するためにはリーダーとして期待される四本の活躍は欠かせない。本人も自覚十分で、「どんどん上の試合に絡んで、チームに還元していきたい。チームとまとめられるキャプテン、センターバックになっていきたい」と意気込んだ。

(取材・文　森田将義)