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[球蹴男児U-16]長身レフティーCB佐野遥斗は悔し涙。佐賀東とドローの東福岡は「ここから全部勝っていきたい」

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東福岡高の長身レフティー・CB佐野遥斗(1年=BUDDY.FC出身)は対角の左足キックとで高さで存在感

[5.4 球蹴男児U-16リーグD1第1節佐賀東高 1-1東福岡高 大津町公園球技場]

 九州地域のU-16の年代において、長期のリーグ戦を通じて選手の育成及び指導者のレベルアップを図る「2023球蹴男児U-16リーグ」は4日、前日のDivision2に続き、Division1が開幕。連覇を狙う東福岡高(福岡)と昇格組の佐賀東高(佐賀)が激突し、1-1で引き分けた。

 王者・東福岡はドロー発進となった。183cmの長身レフティー・CB佐野遥斗は、「みんな冷静にできずに焦って、ずっといつものプレーができなかったです。きょうはセカンドをしっかり拾えなかったのが引き分けた原因だったなと思います」。責任感の強いDFは「個人としても、チームとしても結果が全てなので……」と語ると悔し涙が溢れ、言葉が続かなかった。

 試合は立ち上がりから東福岡ペースで進んだ。野瀨大熙コーチが「パフォーマンスが上がってきた」と認め、先発チャンスを掴んだMF長岡観太がセカンドボールの回収と正確な配球。左サイドで鋭い動きを連発したMF剛崎瑠碧と右のレフティー・MF北橋佑理の両翼が仕掛けてゴール前のシーンを創出する。

 そして、AチームのMF西田頼主将(3年)を兄に持つMF西田煌や10番MF杉谷俊哉がゴール前の狭いエリアを個、グループで仕掛けて強引に足を振る。だが、佐賀東は押し込まれ、幾度もアタックされながらもCB持永陽輝が的確なカバーリング。決定的なピンチでGK鶴丸蓮やCB柴田陽太郎がシュートをブロックするなど食い下がる。

 東福岡は前半34分、サイドからの折り返しを西田が決めて先制点。だが、開幕2試合を見据えたメンバー構成の東福岡はこの後、安定感を増した佐賀東の堅い守りに苦しむことになる。

 東福岡は佐野と190cmCB長谷川莉玖の2CBの高さが特長の一つ。相手の攻撃を弾き返していたほか、佐野は対角の左足キックでチャンスの起点にもなっていた。「一応武器ではあるので。ただ、それで点が決まらなかったのは自分の力不足」。得点に結び付けられなかったことをまた悔しがった。

 一方の佐賀東は、MF藤戸翔汰が攻撃の起点に。また、前半半ばに投入されて巧さを見せたMF中山遥翔やFW石川僚祐が軸になって反撃する。1点が遠かったものの、2点目を失わずに戦い続けたことが勝ち点1を引き寄せた。

 後半40分、交代出場DF高倉龍晨が右サイドからのドリブルでDFを剥がす。中へ持ち込んだところでボールがこぼれたが、これを狙っていた藤戸が右足ダイレクトでロングシュート。これが約35m先のゴールネットに吸い込まれるスーパーゴールとなった。

 1-1。東福岡はもう一度ギアを上げるが、佐賀東の守りをこじ開けることができず、勝ち点1を獲得するに留まった。佐賀東の藤戸は「(東福岡は)スピードもフィジカルとかも全然違って強かった。でも、チームとしての一体感は上回っていたかなと思っています」。一方、東福岡の佐野は「無失点優勝を目指していたんですけれども、できないのでここから全部勝っていきたいです。(目標の先輩はAチームのCB)保科鉄さん。1対1では絶対に負けないので。そこを目指していきたいです。チームを勝たせられるようなCBになっていきたい」と誓っていた。

 公立の強豪・佐賀東の粘り強い戦いの前に王者・東福岡は悔しいドロー。ただし、リーグ戦はまだ始まったばかりだ。個性的な選手の多い今年の“赤い彗星”は、初戦を糧に勝ち続けて連覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)

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