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前半だけで3発の大活躍もPK戦で敗退…東海大相模の大型FW櫛田和夢はより個の力を磨いてインハイへ

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前半40分、東海大相模高FW櫛田和夢(3年=SC相模原U-15出身)が3得点目を決め、ハットトリックを達成

[5.6 関東高校大会神奈川県予選準決勝 湘南工科大附高 3-3(PK6-5)東海大相模高 レモンS]

 前半だけで圧巻のハットトリック。だが、決勝進出と関東大会出場を果たすことはできなかった。東海大相模高FW櫛田和夢(3年=SC相模原U-15出身)は190cm近い高さを持つ大型ストライカー。1月の“裏選手権”で強豪校を苦しめたFWは、課題だったシュートや裏抜けの仕方など、関東1部、2部の強豪大学への練習参加で学んできた成果を発揮した。

 前半4分、左SB菅谷怜(3年)の縦パスに反応。トラップを決めて一気に抜け出し、GKとの1対1を右足シュートで制して勢いに乗った。「1点取ってからノリノリになるタイプなので、前半で畳み掛けようと思った」という櫛田は、前半17分にもカウンターからMF関根裕真主将(3年)のパスで抜け出して2点目を奪った。

 さらに2-1の前半40分には、CKの折り返しを左足で沈め、シュート3本でハットトリック達成。関東大会出場をかけた大一番で輝きを放った。前線でボールを収める部分でも貢献。だが、チームは後半に1点差とされると、アディショナルタイムに追いつかれてしまう。

 櫛田は4点目を奪うチャンスがあったものの、決めることができず、PK戦で敗退。「3点取っても負けているので、あそこで、自分でもう一回取れるような選手になっていきたい」と誓っていた。

 目指しているのは、毎試合コンスタントに得点できる、また個の力でもゴールを奪えるストライカーだ。最近は対戦相手が2人、3人がかりで潰しに来ることも。「それで点を取れないのは言い訳にすぎない」と語る櫛田は、徹底マークを跳ね返す個の力を身に着けようとしている。

 前線でのポストワークから味方のパスで決める形が得点パターン。収めるだけでなく、ターンして前を向いたり、DF2人相手でも突破して決めなければならないと感じている。「(色々なことができるようになって、)相手にやることを当てられないように。相手の裏をかきたい」。動きのバリエーションは増えており、この日は数か月前にはなかったような裏抜けから2ゴールを決めた。

「(今年に入って)ここまで色々な大学の練習会に行って、FWの人に裏抜けの仕方とか、収め方、前の向き方とかシュートの仕方とか教えてもらって、それが今日に繋がった」。まだまだ細身でDFを圧倒するような力はない。だが、意識して食事を増やし、体つきも少しずつ向上。貪欲に成長を目指し、高校生相手であれば、ねじ伏せて決めるような力を求めていく。

 その櫛田には、ライバルであり、成長に欠かせない存在がいる。兄のFW櫛田和渡だ。兄は東海大相模のOBで現在、強豪・大阪体育大の4年生。今年の関西学生1部リーグで先発出場もしている大型FWだ。

「兄弟でライバル視していて、どっちがプロに行くかとか、どっちが上手くなるかと競っていて。でも、毎回試合の動画送るとアドバイスくれていて、自分の成長にはお兄ちゃんは欠かせない」。兄よりも上手く、兄よりも点を決め、兄よりも大舞台で活躍するFWに。「ここで関東出れなかったので、次はインターハイで全国出れるように」。この日の敗戦を糧にまずは4年前に兄が出場したインターハイ出場権を獲得すること。そして、活躍してその名を全国に広める。

(取材・文 吉田太郎)

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