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走って、仕掛けて、また走って…湘南工科大附の2年生FW成田梨甫が反撃加速させるゴール

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湘南工科大附高FW成田梨甫(2年=横浜FCジュニアユース戸塚出身)はその運動量とスピードで相手を苦しめた

[5.6 関東高校大会神奈川県予選準決勝 湘南工科大附高 3-3(PK6-5)東海大相模高 レモンS]

 流れの悪かった後半、湘南工科大附高の7番のスプリント本数が増えていった。20本、30本と走っても、求められている本数はまだまだ多いもの。その中で「走ることしかできない」というFW成田梨甫(2年=横浜FCジュニアユース戸塚出身)は、足を攣らせるまで走り続けてゴールも決めた。

 1-3の後半33分、相手のカウンター攻撃を阻止した湘南工大附はGK安田廉志朗(2年)がすぐさまパントキック。成田が一気にDF背後へ抜け出し、右足で追撃ゴールを決めた。

「GKの廉ちゃん(安田)に練習から『空いていたら蹴れ』といつも言っているんで、それで良いボールが来たので決められて良かったです」と成田。このゴールで勢いづいたチームは後半終了間際に追いつき、PK戦を制して関東大会進出を決めた。

 168cm、53kgと軽量級だが、50m走6秒2の俊足は東海大相模守備陣を大いに苦しめていた。前半から相手の背後を狙い続け、鋭い切り返しで注目CB根岸優汰(3年)のマークを外しかけるシーンも。根岸の壁は厚く、突破することはできなかったが、クロスに迷わず飛び込んで触るなど、相手の脅威となる動きを続けていた印象だ。

 それでも、成田は「(根岸は)めっちゃ強かったです」。また、シュート本数を増やしたり、PK獲得ができなかったこと、そして延長前半に足を攣らせて交代したことを悔しがっていた。

 成田は1年生だった昨年、インターハイ予選の代表決定戦にも出場した俊英アタッカー。だが、自分からボールを引き出すことが課題となり、今年3月はBチームの遠征に参加していたという。

 だが、室井雅志監督は「マジメでサッカーにストイックな子。Bでそこをずっと取り組んで、取り組んで、3月の遠征もBチームでやっていたけれど、そこで自分で引き出せるようになった。あれだけ走る。成田の成長はデカいですね」と評価。前線にけが人が出たこともあってチャンスを掴み、現在は特に走ることでチームに好影響をもたらしている。

 強度などまだまだ通用していない部分もあるが、武器である裏抜けは自信に。今後は「裏抜けてチームが苦しい時に点を取って、勝たせられる選手になりたいです」と誓う。飛躍の可能性を秘めた2年生は食事の量を増やすなど肉体強化にも挑戦中。課題を改善し、より走って、決めて、チームを勝たせる。

後半33分、成田が追撃ゴール


(取材・文 吉田太郎)

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