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「性格がかなり良い」世代が苦しい時期に成長。けが人も復帰して噛み合う流経大柏が5-0で2勝目

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前半23分、流通経済大柏高FW柚木創が先制ゴール

[5.21 高円宮杯プレミアリーグEAST第7節 流通経済大柏高 5-0 旭川実高 流通経済大柏高G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは21日、第7節2日目を行い、流通経済大柏高(千葉)が旭川実高(北海道)に5-0で快勝。今季2勝目を挙げた。

 流経大柏は第7節を終えて5失点でリーグ最少。一方で得点力が課題となっていた。だが、この日は退場者を出した相手にシュート31本を浴びせ、5得点。今後へ向けて弾みをつける一戦となった。
 
 流経大柏はワンツーなどシンプルにボールを動かしながら前進。その中で好パフォーマンスを続けているFW柚木創(2年)や左SH道白優斗(3年)、右SH亀田歩夢(2年)というドリブルを得意とする選手が良いアクセントになっていた。榎本雅大監督が「(彼らがボールを運べるので相手は)もう一人かけないといけないから、柚木とかがまた浮いてくる」。ドリブルも交えた攻撃でミドルゾーンを突破し、マークの外れた選手がシュートを打ち込んでいった。

 旭川実はこの日、エースFW和嶋陽佳(3年)ら主軸3人が欠場。だが、開始直後にFW柴田龍牙(3年)がドリブルシュートを打ち込むと、相手をやや引き込む形からスペースを狙って攻め返す。「(流経大柏は)縦への速さで来るチームだということは分かっていたので、前にパワー掛けてくれば後ろが空くのでそのところは狙いながらサッカーをしていた」(富居徹雄監督)。GK越後紀一(3年)を中心に集中した守りを継続し、決定打を打たせない。また、敵陣でセットプレーを獲得し、CB岡本染太郎(3年)のロングスローなどを交えて先制点を目指した。

 だが、流経大柏は中盤で起用されたU-17日本高校選抜MF塩川桜道(3年)が抜群の高さで相手の攻撃を跳ね返し、ゲーム主将のCB高橋力也(3年)が的確なカバーリングで封じるなど隙を見せない。そして前半23分、前線へボールを入れると、柚木が相手の連係ミスを逃さずにボール奪取。最後は右足シュートをゴールに沈めてスコアを動かした。

 流経大柏は畳み掛ける。セットプレーからCB富樫龍暉(2年)の右足シュートがクロスバーをヒット。ドリブルに加えて距離の長いスルーパスなど抜群の動きを見せる柚木や、塩川との連係から左SB渡邊和之(2年)が攻め上がり、クロスへ持ち込んでいた。

 また、右SB田中ショーン涼太(3年)がヒールリフトでゴールライン際を突破しようとするなど多彩な攻撃。だが、旭川実は越後のファインセーブや、カバーリング意識の高い右SB庄子羽琉主将(3年)のクリアなど2点目を許さない。富居監督は防げた1失点を残念がっていたが、それでも良く食い下がり、1点差で前半を折り返して見せる。

 だが、後半立ち上がり、旭川実は窮地に陥ることになった。5分、流経大柏はグラウンダーの右CKから田中が右足シュート。ニアのゴールライン上で守る岡本がブロックしたが、それが手にも当たったという判定で流経大柏にPKが与えられ、岡本にはレッドカードが提示された。

 流経大柏はこのPKをFW中村大翔(3年)が右足で右隅に流し込んで2-0。旭川実は直後に柴田のスルーパスからFW清水彪雅(2年)が左足シュートを打ち込むが、流経大柏GK土佐昂清(3年)が立ちはだかる。

 旭川実は16分、大黒柱の庄子も負傷交代するアクシデント。1年半に及ぶ長期離脱から戻ってきたMF工藤葵柊(3年)が中心になって奮闘していたが、流経大柏は数的優位を活かして攻め続ける。

 26分、渡邊の左クロスを塩川が抜群の高さを活かしてヘディングシュート。3-0とすると、28分には田中の右クロスを交代出場MF堀川由幹(2年)が頭で決める。旭川実は36分に3枚替え。FW三上僚太(3年)が連続で決定的なシュートを放ったが、決め切ることができない。逆に流経大柏は41分に堀川がこの日2点目のゴール。旭川実も工藤がゴール前へ飛び出すなど1点を目指したが、相手の堅守を破ることはできなかった。

 流経大柏はFW中村が怪我から復帰するなど、徐々にチーム状況が好転。榎本監督は「苦しんできたけれど動いてきた感じですね。良い方に向かっていると思います。(苦しい時期に)我慢することやできることが増えてきているので、その辺伸びしろがあるかなと思っている」と期待する。

 指揮官も「性格がかなり良い」「マジメ」と賞賛する世代の進撃はこれから。次節・横浜FMユース(神奈川)戦を挟んで始まるインターハイ予選は絶対に負けられない戦いだ。塩川は「マジメで良かったというだけじゃなくて、ちゃんと結果も出せるように」ときっぱり。この日は数的優位を得たことで緩めず、最後まで全力で戦い抜いたことが5-0というスコアに繋がった。

 塩川は「自分たちの代はどんな時もチームのために戦う気持ちや、謙虚にやり続けるチャレンジャー精神とかがある。良くなくても最後粘って同点に追いついたりする。次も続けてやりたいなと思います」。この日のように苦しい時期に身につけてきた力も結果に結びつけ、勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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