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強豪校同士がバチバチの好バトル。米子北vs東福岡は0-0ドロー

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米子北高CB藤原壮志朗(右)と東福岡高FW阿部来紀がゴール前で競り合う

[6.25 高円宮杯プレミアリーグWEST第9節 米子北高 0-0 東福岡高 どらドラパーク米子陸上競技場]

 25日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 WEST第9節で暫定7位・米子北高(鳥取)と同9位・東福岡高(福岡)が対戦し、0-0で引き分けた。

 ともにインターハイ予選を突破し、一週間前はそれぞれ中国大会、九州大会で連戦。19日に各大会の決勝をそれぞれ戦ってきたばかりだった。それでも、この日はリーグ再開初戦での勝点3獲得へ向け、ともにエネルギーのある90分間。激しいバトルの末、勝点1を分け合った。

 開始直後に「全体的に成長していると思うし、流れの中で点が取れてきている」(森重潤也監督)という九州王者・東福岡が左サイドからチャンスを作れば、米子北も6分に右クロスを繋いでフィニッシュ。また、左SB樋渡蓮音(2年)のアイディアある左クロスがゴール前を横切る。

 米子北の鋭いアプローチに対し、東福岡はボールを繋いでMF西田頼主将(3年)らがサイドチェンジ。オープンスペースを活用し、MF吉岡拓海(3年)や左SB秋一星(3年)が攻め上がる。だが、ピッチコンディションを考慮し、東福岡も縦に速い攻防でやり合う回数の増える展開となった。

 ホームの米子北は食いついてきたDFを個で攻略するなど脅威となっていたFW鈴木颯人(2年)と、FW田中太賀(1年)の2トップを軸に縦に速いアタック。カウンターから俊足MF小村日向(3年)、MF田村郁颯(3年)の両翼が一気に前進する。

 一方でU-17日本高校選抜候補右SB梶磨佐志(3年)のくさびのパスが幾度か入り、U-17日本高校選抜MF仲田堅信(3年)の鋭い動きとテクニックやMF柴野惺(2年)の飛び出しを交えた崩し。中村真吾監督も「良い崩しも何回もあった。崩せない訳ではなかった」と振り返ったように、幾度か良い形でゴールへ迫るなど、シュート数を増やしていく。

 対する東福岡は190cmGK笈西櫂大(3年)の好フィードから手数をかけずにクロスへ持ち込むシーンがあったほか、秋のロングスローからCB保科鉄(3年)がヘディングシュート。攻守の入れ替わりが速いゲームで保科や右SB杉山誠夢(3年)、笈西が高さを発揮して守り、西田や10番MF榊原寛太(3年)がボールを拾って素早く攻め返していた。だが、やや冷静さを欠く部分もあり、主導権を握るまでには至らない。なかなかシュートに結びつけることができていなかった。

 それでも、後半は杉山のクロスや秋のロングスローからあわやのシーンも。16分には、右サイドへ抜け出したFW阿部来紀(3年)を起点にMF對馬陸人(3年)が繋ぎ、最後は走り込んだ榊原の強烈な右足シュートがゴールを捉える。また、サイドから仕掛ける回数を増やし、33分には交代出場のFW野田昂希(3年)が決定的な形で榊原の左クロスに飛び込んだ。

 だが、PAなどで守備能力の高さを発揮するCB藤原壮志朗(3年)やサイドに蓋をした樋渡、CB石倉亜連(3年)、GK尾崎巧望(3年)が好守を見せる米子北から1点を奪うことができない。

 一方の米子北もゴール前へボールを入れていたが、GK笈西にハイボールを処理され、保科にロングボールを跳ね返されるなど、ミスなく対応する東福岡のゴールをこじ開けることができない。36分に右中間から田村の放った左足シュートはGK正面。37分には左サイドから1対1で仕掛けた鈴木がDFを外して右足を振り抜くも、ボールはファーポストをヒットした。

 この日はホームの米子北がシュート数14-4と大きく上回った。互いに競るべきところで競り、一歩を出すべきところで一歩を出すなど、守備面では勝負の肝を離すことなく戦っていた印象。その中で米子北はシュートまで持ち込む力をより発揮していた。だが、相手が退場者を出して迎えた終了間際のチャンスも決め切ることができずに0-0で試合終了。両チームともにドロー決着を悔しがっていた。

 東福岡の森重監督は「もう一つやるべきことのクオリティを上げないと」と求める。そして、より技術力を高め、より精神的にもタフになり、土台をしっかりと築くことで「こういうタフなゲームでも勝ち切っていくんじゃないかなと思う」と指摘していた。

 一方の米子北・中村監督は「(選手たちが)まだできると思ってやっているから、それは良いこと。(選手たちの)上手くなりたい、強くなりたいという思いは強い」とコメント。昨年のインターハイ3位、一昨年の同準優勝を見ている世代が「(先輩たちのように)やらないと勝てないというところと、このままじゃダメだと気づき始めているんじゃないか」。高校年代最高峰のリーグ戦で成長を続ける両校。野心を持ってインターハイに臨む2チームはこの日の熱い攻防戦も飛躍への糧にする。

(取材・文 吉田太郎)
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