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集中力切らさず、0-0。「どの相手からも勝点を取る」を掲げる3位・尚志が横浜FMユースとのアウェー戦でも勝点1獲得

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横浜F・マリノスユースが攻め込むも、尚志高はGK角田隆太朗中心に堅い守り

[7.1 高円宮杯プレミアリーグEAST第10節 横浜FMユース 0-0 尚志高 保土ケ谷]
 
 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは1日、第10節1日目を行い、神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場で横浜F・マリノスユース(神奈川)と尚志高(福島)が激突。0-0で引き分けた。

 昇格組ながら3位につける尚志が、アウェーゲームで勝点1を積み重ねた。この日の対戦相手は昨シーズン、リーグ最多の64得点を叩き出して2位に食い込んだ横浜FM。仲村浩二監督は「(相手は現在8位だが、)今日、ウチの方が上位とか関係なく初戦の気持ちで臨んだことで、気持ちが切れなかった」と振り返る。

 尚志は過去2度のプレミアリーグEASTで最下位降格。初の残留、上位進出へ向けて「どの相手からでも勝点を取る」ことを掲げている。この日は、我慢する時間帯の多い試合展開だったものの、U-19日本代表MF神田拓人(3年)が「チームが結構良い状況で、負けも少ないですし、勝ちながら成長することが試合を通してできていると思う」というチームは90分間集中した戦い。強敵から勝点1を奪取した。

 横浜FMは10番MF望月耕平(2年)がU-17日本代表としてAFC U17選手権に参戦中。また、U-19日本代表CB畑野優真主将(3年)が出場停止で主軸MF桑原颯太(3年)も欠く陣容だった。

 だが、前節のライバル・川崎F U-18(神奈川)戦を0-4で終え、GK福井大次郎(3年)が「守備のところ、球際、切り替えのところを意識してチームの雰囲気もよく練習できた」という横浜FMは、切り替えの速い攻守、正確なビルドアップで主導権を握る。

 MF德田佑真(2年)とMF上西遥喜(2年)のダブルボランチなど高い位置での奪い返しに成功。また、尚志の仲村監督が「マリノスさんの回し方を最後まで攻略できなかった」と振り返ったように、横浜FMはU-19日本代表左SB池田春汰(3年)も中に絞る形でビルドアップに参加し、相手を揺さぶる。そして、各選手の的確な立ち位置と配球で尚志の守りを外し、MF飯村太基(3年)とSB三橋拓真(3年)の右サイドが連動してSB背後を強襲。クロスまで持ち込んでいた。

 だが、尚志は左SB白石蓮(3年)が対人守備やインターセプトの部分で健闘。この日は、守りの要であるCB市川和弥(3年)が怪我で先発を外れていたものの、代わって起用された190cmCB渡邉優空主将(3年)とCB高瀬大也(3年)が最後の局面で跳ね返す。

 加えて、仲村監督が「(覚悟を持って取り組み、)人間的な成長が見える。自分の考え方を持ちながらトレーニングしている」と評したGK角田隆太朗(3年)が勇気のある飛び出し。相手選手と激しく交錯した後も果敢なプレーを続け、ゴールを守った。

 尚志はU-19日本代表MF安齋悠人(3年)が左サイドでDFをかわし、エンドライン際まで持ち込むシーンもあったが、突破口である両翼までなかなかボールを繋ぐことができない。一方の横浜FMは畑野に代わってCB起用された舩木大輔(3年)がインターセプトから一気に右サイドを駆け上がり、クロス。ただし、こちらもゴール前で堅い尚志から決定打を放てず、0-0で前半を折り返した。

 尚志は後半開始からU-18日本代表候補FW網代陽勇(3年)を投入。開始直後、左クロスをファーのMF若林来希(3年)が折り返し、MF藤川壮史(3年)と網代が連続でシュートを狙う。

 横浜FMも6分、德田のスルーパスにFW大當侑(3年)が反応。だが、尚志GK角田が飛び出してブロックする。横浜FMは後半も押し込み、サイドからラストパス。25分にはMF白須健斗(2年)の左アーリークロスを大當が頭で合わせる。ボールは右隅を捉えたが、尚志GK角田がファインセーブ。尚志は後半、U-19日本代表のフランス遠征でも守備力を発揮したという神田が中盤での守備を向上させ、交代出場組も運動量をもたらす。

 尚志は後半35分、高瀬のロングフィードから網代がヘディングシュート。オープンになった終盤には若林の縦突破などからゴールを脅かした。だが、横浜FMのDF陣は慌てずにボールを奪い返し、攻め返す。そして、右サイドから相手の守りを切り崩し、飯村のクロスなどでチャンスを作り出した。だが、尚志はCB高瀬が好守を連発。互いに譲らず、スコアレスドローに終わった。

 ホームの横浜FMは優勢に試合を進めたものの、悔しいドロー。木村は「さっきロッカールームでも話していましたけれども、これからクラブユース(選手権)とか大会がある中で、リーグ戦じゃなくてカップ戦になってくると勝ちがフォーカスされると思う。点のところや球際のところ、もっと強く行けると思うのでこだわってやっていきたい」と引き締めた。

 一方の尚志CB渡邉も「(首位の青森)山田、(2位の川崎)フロンターレはこういうところで勝点を落とさない。自分たちはこういう拮抗した試合で(ゴール、勝点3を)取り切る力、自力が足りないと思います」と勝ち切れなかったことを指摘した。強敵から勝点1を獲得した尚志、横浜FMともに満足感は無し。リーグ戦上位、インターハイや日本クラブユース選手権での優勝へ向けて、ともに課題を見つめ直し、レベルアップすることを誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)
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