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後半45+4分に決勝点。成長示した川崎F U-18がU-18の“多摩川クラシコ”を制す

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後半45+4分、決勝点を喜ぶ川崎フロンターレU-18の選手たち

[7.8 高円宮杯プレミアリーグEAST第11節 川崎F U-18 1-0 FC東京U-18 保土ケ谷]

 U-18の“多摩川クラシコ”は、川崎Fが制す――。高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは8日、第11節1日目を行い、2位・川崎フロンターレU-18(神奈川)と8位・FC東京U-18(東京)が激突。注目のライバル対決は、川崎Fが後半アディショナルタイムの決勝点によって1-0で勝利した。

 川崎Fの左SB柴田翔太郎(2年)、FC東京のCB永野修都(2年)、MF佐藤龍之介(2年)と、ともにU17アジアカップで優勝に貢献したU-17日本代表戦士たちも先発。この日は、「(FC東京は)負けてはいけない相手。特に(勝利への)思いは強かったかなと思います」(柴田)という宿敵同士として戦い、熱戦を繰り広げた。

 前半、川崎Fが鋭い奪い返しと正確なパスワークでボールを保持する時間を伸ばしたが、FC東京も佐藤にボールが入ると、攻撃の怖さが増す。DFの鋭いアプローチをいなすかのようにボールキープし、ゴール方向へ。左サイドを個で攻略してラストパスへ持ち込むシーンもあった。

 一方の川崎Fはボールを繋いで押し込み、連係で相手の守りを崩しにかかる。また、左SB柴田が積極的な攻め上がり。初先発のMF岡田泰輝(3年)やU-18日本代表候補FW岡崎寅太郎(3年)のドリブルもアクセントに相手ゴールを目指した。

 だが、FC東京は押し下げられても、永野を中心にPAでの守りが堅い。川崎Fは40分、柴田がカットインから右足シュートを放ったが、この日再三のファインセーブを見せていたU-19日本代表GK小林将天主将(3年)が反応する。

 川崎Fは後半6分、左サイドからドリブルで仕掛けた岡田がPAへ潜り込んでPKを獲得。ベンチの指示で10番MF尾川丈(3年)がキッカーを務めたが、FC東京GK小林が右へ跳んでストップする。今季、ここまで2勝となかなか結果が出ない中で、主将が勝利への強い思いを表現。後半、チームも全体的にボールを取り切る回数を増やしていた。

 川崎Fはチャンスを逸したものの、切り替えて攻撃を継続。前節2得点のMF矢越幹都(2年)が無回転の右足FKやドリブルシュートを打ち込んでいたのをはじめ、次々と枠内へシュートを放っていく。それでも、FC東京はGK小林が好守を連発。また、DF陣も粘り強い。そして、サイド攻撃からFW吉田綺星(3年)がシュートを放つなど攻め返して見せる。

 だが、川崎FもCB林駿佑(1年)や交代出場したU-17日本代表CB土屋櫂大(2年)、中盤で奮闘を続ける尾川が中心となって相手に決定打を打たせない。また、U-19日本代表GK濱崎知康主将(3年)が安定感の高いプレーを継続。サポーター、ベンチ外の選手からも熱い後押しを受ける両チームの戦いは0-0のまま進み、後半アディショナルタイムの1点で決着がついた。

 45+4分、川崎Fは左サイドから柴田がCKを蹴り込む。これが相手オウンゴールを誘い、1-0。柴田が「サポーターの人たちが声を出してくれて、みんなで入ったようなゴールだったので本当に感謝したい」というゴールが決勝点となり、川崎Fが勝点3を獲得した。

 FC東京は昨年、同じ保土ヶ谷公園サッカー場のアウェー戦で川崎Fの優勝を見せつけられている。その悔しさを晴らし、今の自分たちの力を示す一戦でもあった。そして、勝利への執念を感じさせる戦い。奥原崇監督は「今年やった中のゲームでも内容的にも全然悪い内容ではなかったと思う」と評したが、「これが今の自力かなと思います」と敗戦を受け止めていた。

 劇的白星の川崎Fは今季、市立船橋高戦、流通経済大柏高戦、そして、前節の柏U-18戦と3試合で後半終了間際に追いつかれ、引き分けに持ち込まれている。長橋康弘監督は「こういう苦しい試合は当然これからもある訳で、やられてきたことをやれるようにすることが成長だと思います」。リーグ戦で戦う11チームそれぞれから学ぶことがある。その学んだことの一つを表現。試合最終盤に得点を奪い、勝ち切った。

 岡田は「引き分けと勝ちでは全然違うので、勝ち切れて良かったです。(後半に苦しくなると、)前までは蹴ったりしてしまっていたけれど、勝負強さや(最後まで)自分たちのサッカーをできたことが成長を感じるところでした」と頷く。長橋監督も「苦しかったです。本当に良かったです。(FC東京に)負けたくないという気持ちは一週間のトレーニングで出ていたので、シンプルにその気持ちをぶつけるしかないなというところで選手たちがよく戦ってくれたと思います」と讃えた大きな1勝だ。

 成長を示し、勝ち切った川崎Fの成績は6勝4分1敗。首位・青森山田高との勝点差を暫定で1とした。ここでリーグ戦は中断。チームは表現できている力と課題をまた見つめ直し、日本一を狙う日本クラブユース選手権(7月23日開幕)、連覇を懸けたプレミアリーグEASTの後半戦へ向かう。

(取材・文 吉田太郎)
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