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インハイ準Vから選手権日本一へ。桐光学園が1か月ぶりの公式戦で7-0快勝、プリンス関東2部首位浮上

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夏は全国準優勝。桐光学園高の注目MF齋藤俊輔は「インターハイ以上のモノを出さないと」

[9.3 高円宮杯プリンスリーグ関東2部 桐光学園高 7-0 西武台高 桐光学園高校G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東2部は3日、第10節2日目を行い、2位・桐光学園高(神奈川)が4位・西武台高(埼玉)に7-0で快勝。首位へ浮上した。

 PK戦で敗れ、全国2位に終わったインターハイ決勝(8月4日)から1か月。鈴木勝大監督は「ポジティブに繋げてスタートを切ってくれた」と語ったように、桐光学園が会心の再スタートだ。注目MF齋藤俊輔(3年)も「インターハイでやってきたことを継続しつつ、リーグ再開だったので、気を引き締めて入りからやれて、前半から取れて、良い流れに持って来れたと思います」。テーマの無失点に加え、今季最多タイの7ゴールを挙げた。

 序盤は西武台が勢いのある戦い。FW岡響己(3年)が前線で身体を張り、10番MF西村航(3年)の仕掛けなどでゴールを目指す。だが、桐光学園は11分に先制点。インターハイ得点王(他1人)のFW宮下拓弥(3年)が右サイドへ開いてボールを収め、U-18日本代表MF松田悠世(3年)がクロスするようにドリブルで中へ持ち込む。そのまま左足シュートをファーサイドのネットへ突き刺した。

 鮮やかな一撃でリードを奪った桐光学園は、切り替えの速い攻守。相手が攻め切る前にボールを奪い返し、機動力を発揮するFW丸茂晴翔(2年)やスケール感を増した宮下、また齋藤と松田の高体連屈指の両翼が西武台ゴールを脅かす。

 西武台もMF武笠修也主将(3年)のプレースキックなどから反撃し、ゴール前のこぼれ球からMF石井汰一(2年)がシュートを放ったが、桐光学園はGK渡辺勇樹主将(3年)が確実に処理するなど危なげのない守りを続ける。逆に37分、桐光学園は松田のキープから右のポケットを突いた宮下がゴールエリアへラストパス。これを丸茂がスライディングシュートで決め、2-0とした。

 西武台の守屋保監督はオフ・ザ・ボールの動きで差があったことを指摘する。武笠や石井はその部分で対抗していたものの、全体的に準備の部分で差をつけられる形で後半は失速。桐光学園は13分、CB川村優介(3年)の縦パスで宮下が右中間を抜け出し、右足でゴールを破る。

 さらに24分には、松田のラストパスから丸茂が右足で決めて4点目。中盤では守備範囲広く動くMF小西碧波(3年)やMF羽田野紘矢(3年)がセカンドボールの回収や潰しの部分で貢献する。西武台はCB谷口輝(2年)が声を発し続け、攻め返すシーンもあったが、桐光学園は右SB杉野太一(2年)、川村、CB川口泰翔(3年)、左SB加藤竣(3年)の4バックがほぼ隙を見せずに相手の攻撃を封じていた。

 桐光学園は29分、斉藤のFKから宮下が頭でゴール。35分には加藤の身体を張ったプレーからゴール前の宮下が1タッチで合わせてハットトリックを達成する。さらに38分には、宮下がバイシクルシュートを狙ったこぼれを交代出場MF増田遥希(2年)が左足で決めて7点目。最後まで気を緩めず、被シュート3で無失点勝利を達成した。

 西武台は一週間前の練習試合で千葉U-18に2-0で勝利。夏を通して「良い試合もあって、行けるだろうという気持ちになっていたところがあった」と守屋監督は指摘する。指揮官は試合前、夏の取り組みについて「0-3の差がある」と厳しい評価を伝えていたというが、点差をつけられての敗戦。2年生が多いチームの中で3年生が先頭に立って切り替え、悔しい敗戦を糧にできるか注目だ。

 一方、桐光学園の小西は計5試合を戦ったインターハイの収穫について、「ハードワークですね。タレントが多い中で伝えてもやれないという部分もあったけれど、インターハイではより一つになって戦うことを学べたんじゃないかと思います」と振り返る。

 大一番となった尚志高(福島)との準々決勝で会心の戦いを見せるなど、18年以降の5大会で3度目となるインターハイ決勝進出(20年大会は中止)。だが、決勝(対明秀日立高)で0-2から追いついたものの、次の1点を奪えず、PK戦で敗れた。

 怪我のため、インターハイ決勝で途中出場だった齋藤は、「自分たちが足りないものがあったと思いますし、あの連戦で全員がキツイ中で明秀の方が自分たちよりも一つ上回ってやっていたと思いますし、後半良い流れがあったにもかかわらず3点目取れなかったり、明秀がそこで耐えてPKに持っていくというのは凄いと思いますし、あそこで一つ自分が決めることができたらと考えるとまだやるべきことはある」と語る。

 自分たちが足りなかったものを見つめ直し、積み重ね、プリンスリーグ関東1部昇格と選手権日本一へ挑戦。鈴木監督は「他のチームも同じだと思いますが。階段を上るためにこの子たちもここに入学して色々なものを犠牲にしてやっています。この世代のシーズンが終わった時に(インターハイで)優勝できなかったことが良かったと思えるようにしたい」と語り、齋藤は「選手権も連戦だと思うんですけれども、インターハイ以上のものを出さないと冬はどこも仕上がっていると思うので、自分たちもそれ以上にこれからのリーグ戦で積み上げて戦っていきたいです」。夏の北海道で明秀日立の喜ぶ姿を目に焼き付けた桐光学園。その悔しさもエネルギーにして努力を続け、冬の国立で自分たちが日本一に輝く。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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