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[MOM4389]桐光学園MF齋藤俊輔(3年)_思わず「アレは凄い!」と自画自賛のスーペルゴラッソで4強進出の主役をさらう!

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スーパーな先制弾でチームを勝利に導いた桐光学園高MF齋藤俊輔(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 インハイ準々決勝 尚志高 0-1 桐光学園高 カムイの杜公園多目的運動広場A]

 決勝点について尋ねられ、発した第一声が振るっている。「スーパーでしたね。アレは凄い!」。

 ただ、あんな一撃を見せられてしまっては、そんな“自画自賛”にも納得せざるを得ないだろう。桐光学園高(神奈川1)の強烈なサイドアタッカー。MF齋藤俊輔(3年=横浜F・マリノスジュニアユース出身)の「アレは凄い」スーペルゴラッソが、チームを準決勝へと鮮やかに導いた。

 桐光学園が準々決勝で向かい合う相手は、プレミアリーグEASTで3位に付ける尚志高。3回戦では前回王者の前橋育英高を撃破してきた、間違いなく難敵だ。だが、「相手がプレミアだからといってビビらず、いつも通りの自分たちの力を出そうと思っていました」という齋藤の言葉はチームの共通認識。彼らは立ち上がりから、堂々と熱量勝負に挑む。

 衝撃の瞬間は、前半11分にやってくる。桐光学園のアタック。スローインを起点に、右からFW宮下拓弥(3年)が中央へ打ち込んだボールを、FW丸茂晴翔(2年)は確実なポストプレーで、優しく後方へ落とす。

「丸茂からパスが入ってコントロールした時に、『左へ展開しようかな』と思ったんですけど、相手が来ていましたし、サイドバックもまだそんなに上がっていないことはわかっていたので、『右でやるしかないな』という感じで、ファーストタッチで良いところに置けたので、迷わず振りました」。

 齋藤が思い切り良く右足で叩いたボールは、ゴール右スミへ一直線に向かうと、豪快にネットへ突き刺さる。「思い切り振ってくれて、素晴らしいゴールでしたね」とキャプテンのGK渡辺勇樹(3年)が笑えば、「本当に凄いゴールでしたね。その能力は持っている子なので、ああいう形で結果を残してくれたことは彼にとってもいいことですし、今日見てくれた人たちにも強烈な印象が残った一撃じゃないかなと思います」と鈴木勝大監督も称賛の言葉を惜しまない。

「敵が前に立っていましたけど、巻いて入りましたね。アレは凄かったです(笑)。『とにかく凄いな』って。『あんなの入るんだ』って思いました」。それは齋藤自身もそう思わざるを得ないだろう。しばらくは場内もどよめきが収まらなかったのだから。

 そして、その一発はこの試合で唯一のゴールとなり、チームは力強く勝ち切ってみせる。「もう勝てたことが嬉しかったです。たぶんほとんどの人が予想していなかったと思うので、自分たちの力を結果で示せて良かったです。その中でも、点の取り合いになるか、1-0かというところで、先制点は大事だったので、今大会初めて結果でチームを助けられて良かったです」。3試合目にして飛び出した齋藤の今大会初ゴールは、大きなインパクトを見る者に与えたはずだ。

 この試合の前には、“親友”からLINEが届いていたという。「昨日、アツムから『どうせ負けるんだろ』というLINEが来たんです(笑)」。齋藤が名前を挙げた“アツム”とは、横浜F・マリノスユースでプレーするFW大當侑(3年)。ジュニアユース時代の3年間をともに過ごした間柄であり、尚志とはプレミアリーグで対戦しているフォワードだ。

「中学の時はアツムと一緒に、コンビを組んでいたんですけど、とりあえず『勝てばいいんだろ』と返しました(笑)」。横浜FMユースも0-0で引き分けた相手を倒した上に、ゴールまで決めてしまったのだ。その結果を知った“アツム”から来るメッセージを、齋藤が楽しみに待っていることは想像に難くない。

 ただ、ゴール以外のプレーには、必ずしも納得しているわけではなさそうだ。「ゴールは凄かったと思うんですけど、試合全体を見たら『もっとできた』という想いはあるので、ゴールが1つのキッカケになって、より良いパフォーマンスができたらと思います」。チームを率いる鈴木監督も「齋藤と松田(悠世)は今のウチの生命線ですから」と言及しているだけに、まだまだこの1点ぐらいで満足できるはずもない。

 次は国見高と激突する準決勝。少しずつ見えてきた頂点を前に、齋藤はモチベーションを掻き立てられる材料についても、こう語っている。「保護者の方も旭川まで来てくれていますし、ここに来れていないヤツらの分までやらないといけないという想いもありますし、メンバーでも試合に出ていないヤツもいるので、そういう人たちも含めて、チーム全員で戦うという気持ちは切らさずにやっています」。

 11番を背負った左の翼。桐光学園が4年ぶりとなる夏の全国制覇を成し遂げるためには、齋藤がさらに繰り出す「アレは凄い」パフォーマンスが、絶対に欠かせない。

齋藤が繰り出した右足の一振りで勝負が決まった


(取材・文 土屋雅史)
●【特設】高校総体2023

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