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[MOM4432]藤枝明誠FW林賢人(3年)_「いないと困る」「遠野大弥みたい」。同点弾決め、他の選手より走って貢献

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前半32分、藤枝明誠高FW林賢人(3年=バディジュニアユース出身)が右足で同点ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.23 高円宮杯プリンスリーグ東海第13節 藤枝明誠高 3-2 藤枝東高 藤枝総合]

 チームが苦しい時に走り、戦った。藤枝明誠高(静岡)は後半、足を攣らせる選手が続出。4人を入れ替えた後も1人、2人と足を気にする選手がいるような状況だった。その中でFW林賢人(3年=バディジュニアユース出身)は仲間の分までスプリント。その運動量がチームを大いに助けていた。

「自分は走れる方だと思っているので、自分は技術とかテクニックとかあまりないと思っているので、そういうところでチームに貢献して、誰かが辛い時に自分が人より走ってチームに貢献できるかなと思っていつも走っています」

 ピッチで一緒に戦う仲間、そしてスタンドで応援してくれている仲間のために相手にプレスをかけ、攻撃時にはその推進力でボールを前進させた。「自分も苦しんですけれども、出たくても出られない人たちがいるので、その人たちのためにも勝たないといけないし、そういう思いは常に持って試合に臨んでいます」。その強い思いも藤枝ダービーでの勝利、勝点3獲得に繋がった。

 林はこの日、貴重な同点ゴールも決めた。前半32分、FW遠野翔一(3年)のシュートのこぼれ球を拾うと、ゴールに背を向けた状態から右へ反転しながら右足を振り抜く。これが好守を連発していた藤枝東GK藤崎蒼葉(3年)を破った。

 林は前半の飲水後に守備時の立ち位置を変更。相手のビルドアップに上手く制限を掛けて流れを引き寄せていた。その中で決めたファインゴール。「最近は練習で得点を意識していて、前向いて仕掛けるとかシュートを打つというのは意識している」。練習の成果も発揮した今季7得点目によって、藤枝明誠を勢いづけた。

 元浦和FWの松本安司監督は林について、「林は量が凄い。遠野大弥みたい。林が(遠野の)ミニチュア版に見えるんだよ。確かに、ドーンとかいうのは大弥の方があったよ。でも、量だとか相手の背後を取ってどんどん行くというのはね(彼も力がある)。僕は高校2年生から(林を)明誠の9番にしているけれど、僕は絶対にいい加減なやつには9番をつけさせない」と、教え子のFW遠野大弥(現川崎F)の名を上げて説明する。苦しい時に頑張れるアタッカーである林に、昨年から特別な番号である9番をつけさせるなど期待。そのFWは、主将のMF阿部隼士(3年)とともに、「いないと困る」(松本監督)という存在に成長した。

 本人は「自分は運動量のところや前からのプレスや球際の強さはチームでは誰にも負けない自信があるので、そこを見て欲しいです」。トッテナムのファンでMFジェームズ・マディソンのプレーをチェック。前を向く力や攻撃を活性化させる点を学んでいる。

 今後のプリンスリーグ東海や選手権予選は、結果にこだわっていく。チームメートの注目エースFW遠野(遠野大弥のいとこ)に負けない活躍をすることを意識。「確かに遠野は結果を残しているし、注目度が高い中で自分もこのチームを代表している選手だと思わせるようなプレーをしたいし、遠野だけじゃないということを自分も見せたいので結果だけはこだわっています」。仲間のために走り続け、ゴールを連発すること。4年後のプロ入り、松本監督への恩返しを誓う林が、高校生活最後の秋冬を全力で走り抜ける。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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