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神戸弘陵がプリンスリーグ関西2部制覇で4冠達成。選手権は多彩な攻撃に加えて「どの相手とやっても隙なく」戦い、優勝を目指す

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神戸弘陵高は逆転勝ち。MF佐波昂大は攻撃の起点となる動きを見せた

[12.2 高円宮杯プリンスリーグ関西2部第18節 桃山学院高 2-3 神戸弘陵高 J-GREEN堺]

 選手権出場校の神戸弘陵高(兵庫)が4冠を達成した。プリンスリーグ関西2部で前節まで2位の神戸弘陵は、最終節で桃山学院高(大阪)と対戦。0-2の後半に3点を奪い返し、3-2で逆転勝ちした。勝ち点1差の首位・京都共栄高(京都)が大阪産大附高(大阪)と1-1で引き分けたため、神戸弘陵が逆転優勝。県新人戦、インターハイ県予選、選手権県予選に続く、4冠目を獲得している。

 すでに来季の1部昇格を決めていた神戸弘陵はこの日、CB岡未來主将(3年)やリーグ得点王のエースFW馬場悠平(3年)、10番MF北藤朔(3年)ら主軸にこれまで出場時間の少なかった選手を加えたメンバー構成でスタート。だが、3分に桃山学院の大型FW西条将太(3年)に先制点を許すと、その後も西条やMF坂上宗太郎(2年)に仕掛けられるシーンが続く。そして、13分、右CKのこぼれ球を再び西条に決められてしまう。

 神戸弘陵は後方からボールを動かし、サイドを起点にした攻撃で反撃。18分には鋭いドリブルでギャップを突いた北藤がファーポスト直撃の左足シュートを放つ。また、30分には、岡が得意とする左足で対角の好フィード。ここから、右サイドで推進力のある動きを見せていたMF石橋瀬凪(2年)が深く切れ込み、馬場がシュートを打ち込む。

 また、神戸弘陵は「(選手権予選で貴重なゴールを連発しているが、)1点ビハインドや瀬戸際のところで『オレが決めてやる』という気持ちは常にありますし、中学校からの強みではあるのでそこは選手権でも存分に活かせていけると思っています」と語るMF佐波昂大(3年)が、正確な展開や背後へ抜け出す動き。だが、前半は9本のシュートを放つも決め切れずに0-2で終了する。

 それでも、同時刻に始まった京都共栄の試合が接戦となっていたこともあり、逆転優勝を目指して後半開始から3選手を入れ替える。すると、21分、北藤の右CKをCB松井君弥(3年)がニアで合わせて1点差。守備面では、選手権への対策も考えながらプレーする岡が、「後ろが失点しなければ負けないと思う。自分も(桃山学院の)大きい相手の競り合い、対応はもう片方のCBと話しながらやれた。(選手権でも今日のように)自分が負けなかったら相手のチャンスも潰せると思う」と振り返ったように、相手FWに自由を与えない。

 神戸弘陵は夏以降、「(得意とするサイド攻撃だけでなく、)中央からの崩しとの使い分けができるようになって、攻撃のゴールのバリエーションが増えたと思います」(佐波)。相手の運動量も落ちた終盤、内と外を活用した攻撃で相手を苦しめ、セットプレーから再びゴールを奪った。

 後半43分、交代出場DF阪上聖恩(2年)のFKを同じく交代出場のMF藤本達真(2年)が合わせて同点に追いつく。さらに45分、こぼれ球を同じく交代出場のMF中邑蕾羽(2年)が決め、3-2で逆転勝ちした。引き分けた京都共栄を勝点1上回り、優勝。岡は「(優勝を意識するというよりも)『目の前の試合で勝つ』というところで、自分たちの持ち味を出してやり続けたら優勝できた。勝てたことプラス、優勝できたことはみんなのモチベーションにも繋がっていると思う。このまま良い流れで全国大会に行けたら良い」と語った。

 神戸弘陵はインターハイ初戦でV候補の青森山田高(青森)に1-3で敗戦。後半33分まで0-1で食らいつき、追加点を奪われた直後に1点を奪い返したが、惜敗に終わっている。岡が「『山田に負けたらしゃーない』、とは思っていなくて、優勝したかったら山田のような相手とも当たると思うんで、どの相手とやっても隙なくやっていかないといけない」と語ったように、自分たちの目標を達成するためにはプレミアリーグ上位の相手にも必ず勝たなければならないと考えている。

 今年はインターハイで青森山田と対戦したほか、フェスティバルで東福岡高(福岡)や米子北高(鳥取)と戦う機会に恵まれた。強敵相手に自分たちの通用したところや課題を実感し、それを伸ばすことに取り組みながら成長。選手権で有力校の一つに挙げられる神戸弘陵は、貴重な経験を活かして「自分らの代で全国優勝を目指したい」(北藤)。

 選手権はCゾーン。伝統校の仙台育英高(宮城)と初戦で当たるほか、前橋育英高(群馬)と神村学園高(鹿児島)のプレミアリーグ勢や、インターハイ優勝の明秀日立高(茨城)など同じ激戦区に入った。注目DFの岡は「勝った上で(左足など)自分の持ち味を出せたらと思うので、しっかりと後ろから声をかけて引っ張っていって、まず勝ち上がっていきたい」と意気込む。

 また、谷純一監督が「勝負どころで点を取れる選手になってきている」と評する佐波も、「1試合1点はマスト。悔いなく自分たちの力を最大限に発揮して、自分たちが目標にしているのは優勝なんで、そこを見据えて一戦一戦戦っていきたい」と力を込めた。強力アタッカー陣を中心に繰り出す多彩な攻撃に加え、隙のない戦いを続けて目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)



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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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