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主力欠場も危機バネに。仙台ユースが清水ユース相手に夏のクラブユースのリベンジ達成!逆転勝利で2回戦へ

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仙台ユースが逆転勝利で2回戦へ

[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 仙台ユース 3-1 清水ユース エディオンスタジアム広島]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024参入を懸けたプレーオフが8日開幕し、1回戦が行われた。Bブロックのベガルタ仙台ユース(東北、宮城)と清水エスパルスユース(東海、静岡)との一戦は、3-1で仙台ユースが勝利。鹿島アントラーズユース(関東1、茨城)との2回戦(10日)に進出した。

 この2チームは7月に行われた日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会ラウンド16でも対戦していて、その時は終盤両チームにゴールが生まれ、前後半70分では決着がつかず、清水ユースがPK戦で勝利している。

 前半立ち上がりは1年でのプレミアリーグ復帰を目指す清水ユースが攻め立てた。11分相手のミスからボールを奪い、MF太田成美(3年)がゴール前まで進入しシュートを決めて、清水ユースが先制した。

 しかしその後試合を優位に進めたのは仙台ユースだった。キャプテンMF各務剛良(3年)をはじめ、球際に強い守備から、清水ユースDFラインの背後を積極的に狙い、決定機をつくり出していく。そして17分中盤でのボール奪取からパスがつながり、左サイドハーフのMF河野和真(3年)がゴール前へ進入し、ドリブルで仕掛け、相手GKをかわして同点ゴールを決めた。

 さらに39分右サイドで清水ユースのビルドアップのミスから、DFライン背後に抜け出したFW佐々木悠磨(3年)にボールが渡り、佐々木はゴール前へ突進する。「相手のミスからこぼれてきてカウンターという形だったんですけど、自分が決めてチームを勝たせるくらいの気持ちで今日は試合に入っていたので、迷わないで脚を振ったという感じでした」と振り返った通り、迷わず放ったシュートがゴールを突き刺し、仙台ユースが逆転に成功して、2-1と仙台ユースリードで前半を終えた。

 後半も立ち上がりは仙台ユースがペースを握り、後半10分にはボランチMF横山颯大(2年)がゴール前へと進入。FWピドゥ大樹(1年)からパスを受けてシュートを決め、リードを2点に広げた。

 点差を広げられた清水ユースはその後猛攻に転じる。前半44分から途中出場のMF小竹知恩(2年)が果敢に縦に仕掛けクロスを入れ決定機をつくり出す。また、後半から途中出場したMF針生涼太(1年)は宮城県出身で、仙台ジュニアユースのライバルクラブであるFCフォーリクラッセ仙台出身。地元Jクラブのユース相手に果敢に攻め立て決定機をつくり出す。さらにキャプテンDF岩崎海駕(3年)も攻め上がりを見せ、惜しいシュートを放っていくが、立ちはだかったのは仙台ユースGK室井陸杜(2年)。ファインセーブを連発し、清水ユースのゴールを許さず、終盤の猛攻は実らなかった。3-1で仙台ユースが勝利し、夏のリベンジを達成した。

 見事な逆転勝利の仙台ユースだったが、病気や負傷などによるコンディション不良の選手が多く、プリンスリーグ東北で先発出場の多かった主力選手DF高橋昂平(3年)とMF松本琉聖(3年)がベンチスタートで、DF吉田空斗(2年)、MF齋藤俊輔(2年)は欠場。そのためピドゥや、DF一色竜二(2年)、MF松田匠未(1年)といったプリンスリーグ東北出場が全く、もしくはほとんど無い選手を抜擢した。木谷公亮監督は「『誰がいる、誰がいないは関係無い』とずっと言っていたので、出ている選手が何をやれるかが大事です」と信じて起用したという。キャプテンの各務も「普段出ているメンバーがいない分、自分が走って戦って攻守において貢献しようと思っていたので、満足はいっていないですけど、少し良いプレーが出たのかなと思います」と語り、主力複数人欠場が危機バネになり、緊張感を持ってプレーできたことが良い方向に出た。

 仙台ユースは過去5回プレーオフに出場し、今回が6回目の出場だが、過去5回は全てプレミアリーグ参入に失敗している。「ありがちなイベントのように『当たって砕けろ、3年生がラストだから』と言うのではなくて、『きちんとサッカーしよう、しっかりと戦おうよ』とミーティングでも言って入ったので、それをしっかり出してくれたんじゃないかと思います」と普段通りの姿勢で戦い、まずは一つ勝利を引き寄せた。次の鹿島ユース戦に勝てばプレミアリーグ参入となるが、「2つ勝たないと意味が無いというよりは、一戦必勝というところで1年間やってきているので、まず今日勝ったことをしっかりと喜んで、自信にして、また明後日新鮮な気持ちでその試合に勝つためにやりたいと思います」と、普段から選手たちに求める「一戦必勝」の姿勢で挑む。

 一方の清水ユースだが、悲願の1年でのプレミアリーグ復帰は達成できなかった。後半は13本のシュートを放つなど決定機はつくったが、エースFW田中侍賢(3年)の欠場も響き、決定力不足に泣いた。ただ、この試合には1年生も多く出場しており、楽しみな選手は多い。こうした可能性のある選手たちの力をさらに伸ばすことが、来季求められている。

(取材・文 小林健志)

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小林健志
Text by 小林健志

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