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U-17W杯で躍動の日章学園FW高岡伶颯が抜群の動き。体感したことを選手権での目標達成に繋げる

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前半31分、日章学園高のU-17日本代表FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)が

[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 京都U-18 4-3 日章学園高 東広島運動公園陸上競技場]

 世界で躍動したストライカーが、プレミアリーグリーグプレーオフでも抜群の存在感を示した。日章学園高のU-17日本代表FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は、前半31分にペナルティアーク外側から左足ミドル。豪快なシュートをゴールネットに突き刺した。U-17ワールドカップでのゴールに続く衝撃的な一撃。本人は「普通です」と首を振ったが、会場をどよめかせるような“ゴラッソ”だった。

 観衆や関係者を驚かせたのはゴールだけではない。フィフティ・フィフティに満たないような状況でのロングボールを収め、個の力でシュートまで持ち込んだ。スピードと馬力のあるドリブルは簡単には止まらず、GKへのプレッシングも脅威に。1タッチのパス精度も発揮した。

 後半には正確な右足FKでチームの3点目も演出。爆発的な動きと精度も見せた高岡はついては、対戦した京都U-18の選手も「やっぱ、ちゃうな」と身体能力やボールさばきを驚いていた。

 だが、チームは初のプレミアリーグプレーオフで2-0から逆転負け。「(世界を経験した)僕がどんだけ落とし込んでも分からない部分っていうのはあるので、 選手権前にこうやって、プレミアリーグ参入戦という形で、強いチームとやれたっていうのは、本当に良い経験なのかなっていう風に思いました」と語った。

 そして、「2点決めても追いつかれて、最終的に逆転っていう形で終わるって想定もしてなかった。プリンスリーグとか県じゃあり得ないので。(プレミアリーグプレーオフに来るチームは)こうやってひっくり返す力のあるチームばっかりで、選手権も本当に何があるかわからないトーナメント戦なので、 何があっても良いように、この京都サンガと戦った試合を思い出しながら選手権を戦えばいいなと思います」とこの経験を選手権につなげることを誓った。

 U-17ワールドカップで高岡は、予選リーグでU-17日本代表の全4得点をマーク。決勝トーナメント進出の立役者となった。高岡は2023年に入ってから初の代表入り。U17アジアカップの1得点やインターハイ予選敗退の悔しさから、シュート練習などを重ねた成果を発揮した。この冬、注目度が一気に上昇したが、慢心は全く見られない。

 U-17ワールドカップでは、アルゼンチンの10番MFクラウディオ エチェベリやスペインの9番FWマルク・ギウのような突き抜けた選手と戦った。原啓太監督は「(4得点を決めたが、)上には上がいる。将来ヨーロッパ行きたいんだったら、あのレベルでやらないといけない。ああいう選手に負けないようにしないといけない。(もっと力があれば)ジョーカー的な役割じゃなくて、スタートであのスペイン戦は出てると思うぞ。力が足りないっていうことかもしれないな」とより成長することを求めたという。

 それでも、経験を重ねながら成長し、自信をつけていることも確か。原監督もこの日のプレーについて「(京都U-18の)プロの内定者を相手にしても、1人で2人ぐらいぶち抜くシーンなんかを見ると色々ワールドカップで経験して帰ってきて、良くなってるなという風に思うので、彼の特徴を活かしながら選手権を戦いたいなと思います」と認めていた。担任でもあるという指揮官によると、教室での高岡は大人しいというが、サッカーになると情熱的な「180度変わって」(原監督)プレー。代表チームから持ち帰ったことを惜しみなく伝え、チームをレベルアップさせようとしている。

 日章学園が今季の目標として掲げてきたプレミアリーグ昇格と選手権ベスト4以上、日本一。目標の一つを実現することはできなかったが、敗戦を引きずるような選手でもない。選手権の主役候補が、この日からさらに成長した姿を見せつけて日章学園の目標を実現させる。

(取材・文 吉田太郎)

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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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