beacon

[MOM4469]日章学園FW高岡伶颯(2年)_6月3日からの進化。U-17W杯戦士が「想像以上」「高校レベルを逸脱」の動きで2年連続決勝ハット

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半4分、日章学園高のU-17日本代表FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)が先制ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.28 選手権宮崎県予選決勝 日章学園高 6-1 宮崎日大高 ユニスタ]

 選手権出場を懸けた宮崎県予選決勝で2年連続のハットトリック達成。日章学園高のU-17日本代表FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は“彼らしい”泥臭さや攻守両面で躍動できるところを表現し、後半ラストプレーでこの日3得点目を叩き出した。

 前半4分に先制点を決め、その後もDFとの駆け引きや最前線からのプレッシングを繰り返す。クリアのようなボールも圧巻のスプリント力で追いつき、チャンスになりかけていた。6、7月のU-17アジアカップから体重を2kg増量。165cmと小柄だが、コンタクト能力でも違いを見せるFWは、ファウルも増えてしまっていたものの、競り合いで幾度も相手DFを上回っていた。

 後半には、ファウル覚悟で止めようとしてきたDFをねじ伏せるように剥がし、さらにタックルに来たDFもかわして一気に前進。「あそこは自分の武器」と振り返るように馬力、スピードで左サイドを突破したこのシーンは、80分間で最も会場が盛り上がったような瞬間だった。また、落ち着いたボールコントロールからシュート、スルーパスを連発。本人は気づいていなかったそうだが、特に後半はボールを持つたびにスタンドが沸くような雰囲気だった。

 日章学園の原啓太監督は、「会場とか、周りも動かせるくらいの選手になりつつあるので。試合前もスカウトの方に、『僕、今日3点取ります』と言っていたので、大したもんだなと」と微笑み、対戦した宮崎日大高の南光太監督も「想像以上。高校レベルを逸脱している。簡単に止められるレベルではなく、(彼の存在によって)自然とラインが下がっていた」と驚いていた。

左サイドでDFのタックルをかわす

 忘れられない6月3日の敗戦。日章学園は宮崎日大に1-2で敗れ、インターハイ出場を逃した。高岡は無得点に封じられて敗戦。「ただ、サッカーをしているだけだったので。今は6月3日よりはサッカーを知った」。この日は変わらないゴールへの執着心を見せた一方、意図的にスペースを作り出したり、良い状態の選手を活用する動きも。「代表でやっている分、ちょっと余裕を持ってやった」というFWは受け方やボールを持った際にも工夫し、相手の守りを切り崩していた。

 そして、得点力の部分での成長も証明。U-17アジアカップでU-17日本代表のアジア制覇に貢献したが、チャンスで決め切れず1得点に終わったことを本当に悔しがっていた。「その決定力は(U-17日本代表監督の)森山さんにも凄く言われてきましたし、原監督にも言われてきたので『やるしかないな』と世界を想定しながら大きい選手相手に自主練してきたことが得点になったと思います」。“6月3日”やU-17アジアカップからの進化を表現できたことを喜んだ。

 ただし、この活躍でも「まだまだ世界で戦いたいので。今日の試合は運動量やもっと泥臭く戦う姿勢が足りなかった」と満足しない向上心が、成長の原動力だ。「あの時に苦しい思いしておいて良かったなと思えるような夏にしたい」と宣言し、この夏は人一倍の努力。原監督が「メンタリティも素晴らしい」と賞賛する才能は、この日からさらに自分を成長させて11月10日開幕のU-17ワールドカップや選手権全国大会へ向かう。

「これからワールドカップに懸ける思いをもっと強く持って、ハットトリックして良い形に入れると思う。選手権の目標は10ゴール。一人で左サイドを駆け上がったり、泥臭さだったり魅力的なプレーを。泥臭く戦うプレーをして、観客に見てもらって、評価してもらいたいです」。

 この日、満足こそしていなかったものの、3得点でインパクトを残せたことを自己評価。「代表に入るだけじゃダメなので、高岡だな、というところを日本中に広めていきたいと思っていたので、それを考えたら今日の試合は良かったんじゃないかと思います」。U-17ワールドカップや選手権でもインパクトのある活躍をしてのけ、この秋、冬で「高岡伶颯」の名を日本中に広める。

後半40+3分、この日3得点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2023
吉田太郎
Text by 吉田太郎

TOP