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[MOM4557]鹿島ユースMF小倉幸成(3年)_40番に相応しいパフォーマンスで主役に! ハーフタイムには小笠原満男氏から助言も

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2ゴールの活躍を見せたMF小倉幸成(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.8 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ1回戦 鹿島ユース 5-1 瀬戸内高 バルコムBMW広島総合グランド]

 鹿島アントラーズのレジェンドである小笠原満男氏(現、鹿島アカデミーテクニカルアドバイザー)が現役時代に背負った40番は鹿島アントラーズユースにとって大きな意味を持つ。今年、MF下田栄祐(現、いわきFC)がエース番号を受け継いだのは、主将を務めるMF小倉幸成(3年)。瀬戸内高との一戦でも、40番に相応しいパフォーマンスを披露した。

「ボールロストが多く、最初は上手く試合に入れなかった」と振り返った通り、序盤は良さを出せたとは言い難い。先制点を許したPKも自らのボールロストで与えたピンチからだった。大事な一戦でのミスはメンタル的なダメージを受けてもおかしくないが、動じない気持ちの強さは小倉の武器でもある。「キャプテンをやっているのでそこで下を向いたら、チームが下がっていく一方になる。自分は上を向いていこうと思っていた」。

 前半は瀬戸内のFW新井悠河(3年)に常に警戒され、簡単にはボールを引き出せない状況でもあったが、「自分がどんどん受けないとチームのリズムが作れないので、工夫しながらやっていました」とマークを上手く剥がしてボールを受ける回数を増やした。ハーフタイムにはベンチに入っていた小笠原氏に「相手の視点をずらせば良い」、「自分一人で全部を完結するのではなく、仲間を使いながらどんどん前に出て行け」などとアドバイスも授かったという。

 そうした前向きな姿勢が後半になって実を結ぶ。的確な散らしでリズムを作りながら、左右両足から長いボールを繰り出し、攻撃の流れを生み出した小倉は後半13分にチームメイトが奪ったPKを決めてチーム3点目をマークする。続く15分には連続ゴールのチャンス。左クロスをファーのMF三沢大和(3年)が折り返すと、後方からダイレクトシュートを叩き込んだ。先制点を許したものの、終わってみれば5得点。大勝における小倉の貢献度は高かった。

 元々は守備が売りの選手だったが、今季はプリンスリーグ関東1部で3位となる10得点をマーク。柳沢敦監督も「守備的な選手でボールを奪う所が彼の特徴だと思うのですが、今年に入ってゴール前に飛び出していく回数が増えた」と目を細める。

 攻守ともに貢献できる選手へと進化を遂げたのには、理由がある。「代表やプロになれていない今、結果をあげて自分の名前を残していかなければいけないと思ったから。点が獲れるし、守備もできる選手がやっぱり上に上がっていくと思う」。トップチームで活躍し、フル代表にも選ばれたMF佐野海舟の存在が格好のお手本になっているという。

 次戦、仙台ユースに勝てば5年ぶりのプレミア復帰が決まる。「プレミア昇格は簡単ではないと思うけど、これからも簡単ではない試合、勝たなければいけない試合はあるはず。あまりプレッシャーとは捉えず、1試合として捉えて良い結果を残したい。自分としても次のステージでしっかりやって行くために締めくくりの試合として勝ちたい」。攻守にわたる活躍で主役となった男は、冷静に次の試合を見据えている。

(取材・文 森田将義)
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森田将義
Text by 森田将義

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