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青森山田の2年生DF小沼蒼珠「誰よりも努力して、誰よりも苦労して飛躍する一年に」。U-17から“個人昇格”も

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小沼蒼珠(青森山田高2年=三菱養和SC調布ジュニアユース出身)は選抜チームで「誰よりも努力」

[1.21 練習試合 U-17日本高校選抜候補 6-3 日本体育大]

「この1年、誰よりも努力して、誰よりも苦労して、飛躍する一年にしたいなと思っています」

 青森山田高の左SBとして選手権とプレミアリーグの2冠。選手権でDF小沼蒼珠(2年=三菱養和SC調布ジュニアユース出身)は、強度の高い守備と運動量、そしてロングスローでも注目を浴びた。決勝の5日後には新シーズンへ向けた活動を開始。雪の中でずっと「走っていました」というDFは、20日からU-17日本高校選抜候補の活動に参加している。

「ずっと雪だったんで。ボール触れて嬉しいです」と笑顔。そして「個人として、上に上がりたいって気持ちは凄くありますし、ここで満足するんじゃなくて、帰ったらチームの活動もあるんで、個人昇格も狙いつつ、ここでもしっかり吸収できるものをしっかり吸収して、キャプテンシーを持ちながら、自分が引っ張っていこうかなって思いでやってます」と決意を語った。
 
 21日の練習試合(40分×3本)は1本目に右SBとして出場。声でチームを引き締め、守備面などで貢献した。一方でFKを与えてしまったこと、クロスの本数を増やせなかったことを反省。「まずは勝てたことが嬉しいんですけど、自分の良さももっと出せたかなと思います」と満足はしていなかった。

 この経験を青森山田での新シーズンに繋げる。「今、青森でみんな頑張ってやっている。(高校選抜の)みんなとコミュニケーション取りながら、自分のチームに『こういった選手いるよ』だとか、『こんな風にやったよ』っていうプラスのところは持って帰って、逆に俺たちの方がいいっていう部分も絶対あるんで、そこはプラスに捉えてチームの自信に繋げていけたらいいなって思ってます」と語った。

 選手権の反響の大きさを実感している。「凄いです。みんなから『おめでとう』とか言われて、『やっぱ選手権って凄いんだな』って感じると同時に、来年は凄く注目される立場だと思います」。特にレギュラーとして日本一を経験した小沼が注目されることは必至。だからこそ、心に決めていることがある。

「自分は結構緊張するタイプなんで、その緊張をほぐすためにも、こういった毎日の積み重ねだったり、苦しいことをやれば絶対自分の自信に繋がると自分は思ってるんで、誰よりも努力して、誰よりも自信つけて、来年挑みたいなって思います」。三菱養和SC調布ジュニアユース時代にU-15日本代表候補にも選出されているDFは、成長するために厳しい競争、日常のある青森山田へ進学。一つ一つ積み重ね、強豪校のレギュラーとして日本一を勝ち取った。

 24年はチームリーダーの一人として青森山田を引っ張るという役割もある。「キャプテンマークを巻くのは、(谷川)勇獅だと思うんですけど、巻かないキャプテンもいてもいいと思いますし、やっぱ(芝田)玲さんも『ピッチ上の監督』って(正木昌宣)監督に言われてたと思うんで、そういったところを意識しながら、それプラス、自分はやっぱポジティブなところだったり、明るさっていうのはできると思うんで、プレーも見せつつ、声とかチームにいい影響をもたらすように、チーム全体に発信していきたい」。発信するためには仲間からの信頼も必要。そのための努力も欠かさない。

「今年(2年時の1年間は調子の)、アップダウンが激しかった。春は怪我で出れなくて、夏は途中からみたいな感じで、秋ぐらいに割と出番を掴めたって感じなんで、今年は安定させつつも、飛躍の1年にしたいなってのは思っています。『もっとできるんだぞ』とか、『もっと小沼蒼珠っていう名前を日本だけじゃなくて、世界にも代表活動を通じて伝えたいな』って思ってますし、プレミアも凄いリーグですけど、高校年代だけじゃまだまだ満足してはいられない。もっと上に行きたいなっていうのはあるんで、この1年、誰よりも努力して、誰よりも苦労して、飛躍する1年にしたいなと思っています」

 合宿3日目は、MF嶋本悠大(大津高2年)とともに日本高校選抜候補の練習試合に参加。“個人昇格”を果たしたDFは、東京国際大との練習試合で左SBと右SBを務め、守備面に加えて好パスや攻守でのスプリントも見せた。そして、U-17日本高校選抜候補の練習試合では投げなかったロングスローも連発。高校選抜の活動でも「誰よりも努力して、誰よりも苦労して」個人や、3冠に挑戦する青森山田の目標を達成する。 

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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