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悔しさをバネに成長を続ける2年生FW高岡伶颯(日章学園)。日本高校選抜選考合宿に全力で臨み、雨中でインパクトある動き

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日章学園高の2年生FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は大学生相手に1ゴール

[1.21 練習試合 日本高校選抜候補 4-1 日本体育大]

 下を向いている暇は、ない。成長に貪欲な2年生ストライカーが、日本高校選抜選考合宿でインパクトのある動きを見せている。FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は宮崎県高校新人戦を戦う日章学園高(宮崎)を離れ、初日(20日)から日本高校選抜選考合宿に参加。初日のハーフコートゲームでは抜け出しからのゴールや胸トラップからのボレーシュートを決め、この日は大学生からゴールを奪った。

 25分×4本の練習試合の2本目に左サイドハーフとして出場。「どんな形でも点を決めるのがエースストライカーだと思うので、そこはどのポジションでも結果を残すことは本当に重視しています」と語る高岡は、5分にMF杉本英誉(青森山田高3年)の柔らかいクロスから頭で決めた。

 高岡は登録身長165cm、62kgと小柄。だが、昨年11月のU-17ワールドカップでもヘディングシュートを決めているFWは抜群のバネを活かし、競り合ったDFの頭上からシュートを打ち込んで見せた。

 また、悪条件のピッチでより輝くのが高岡だ。この日は前日からの雨で水が浮き出るようなピッチコンディション。重いピッチに苦労する選手が多い中、高岡は身体を張ってボールをキープし、守備でもスプリントを連発して見せる。左サイドから相手CBやGKまでプレッシングに行き、その攻撃を少しでも乱そうとしていた。ずば抜けた馬力、スプリント力。そして、最後の一歩まで足を踏み出す姿勢を代表チームや日章学園でのプレー同様に披露していた。

「本当にこういう自分の得意なコンディションの芝というか。雨の日こそ、足も重くなったりして走れない選手があらわになる中で、 自分がこうやって戦うっていうのは、ほんとに1つ評価してもらえるところなのかなと。だから、そこは(コンディション関係なく)全力でっていう風に思いました」

 選考合宿メンバー38人中35人が年上の3年生。だが、学年は関係ない。「ほんとに学年などを気にしてたら始まんないので、そこは自分の力をどれだけ発揮できるか。手加減したら終わりという風に思ってるので、自分を最大限に出すっていう意味では、ここで今、意識してやっています」。常に全力でプレーすることで自分をまた成長させようとしている。

 昨秋は選手権予選決勝で2年連続となるハットトリック。U-17ワールドカップではU-17日本代表の全5得点中4得点をマークした。迎えた選手権は、大会の主役候補に。大きな注目の中で臨んだが、初戦で徹底マークされ、無得点のまま初戦敗退に終わってしまった。

「やれるって思ってたのが、徹底したマークだったり、自分はほんとに罠にハマってしまったなという風に思うので、今年はぶち抜ける力というのをつけて、また来年の選手権に出たいと思います」

 高岡は昨年、インターハイ予選敗退や1得点に終わったU17アジアカップでの悔しさを糧に進化。選手権予選やU-17ワールドカップでの大活躍に結びつけた。公立の三股町立三股中(宮崎)でプレーしていた中学時代も、同世代のタレントたちの活躍を刺激に目指してきた成長。努力を欠かさず、壁を一つ一つ乗り越えてきた才能は選手権の悔しさをさらなる飛躍のきっかけにするはずだ。

「選手権で何もできなかったという、ほんとに反省や課題が見つかった中でも、下を向いてる暇はないという風に自分でも思っていて。だからこそ、この新年初の選抜(の活動)で自分の課題を克服したり、また見つけられるような高校生選抜にしたいなという風に思っています」

 日章学園では、新主将に就任。プレー面だけでなく、私生活からチームを引っ張っていく意気込みだ。より強いチームにするため、チームにより強度を求めているところ。「小さいところからっていう風にはなりますが、新チームはそういうところから戦っていきたいなと思っています。(個人としては、)全部の大会で優勝させられる選手に。今、自分ができることを最大限に今年はやっていこうかなと思っています」。自分の成長のため、重圧や注目されることを歓迎。自分に期待し、また楽しみながら次の壁を超える。

2本目5分、ヘディングシュートを決める

チームメートの祝福に応える

(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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