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目標は「去年を超そう」。前回準優勝の遠野が公立校で唯一東北新人大会準決勝進出

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後半16分、遠野高MF馬場大瀬主将(10番)が決勝ゴール

[1.28 東北高校新人大会準々決勝 遠野高 2-1 八戸学院野辺地西高 Jヴィレッジ]

 28日、第23回 東北高等学校新人サッカー選手権大会準々決勝がJヴィレッジ(福島)で行われ、遠野高(岩手1)が2-1で八戸学院野辺地西高(青森2)に勝利。2大会連続の準決勝進出を決めた。

 新たな景色を見せてくれた先輩超えにチャレンジする。遠野は23年の東北新人大会で尚志高(福島)を破るなど初の決勝進出、準優勝。夏の東北選手権では尚志や青森山田高(青森)を破って19年ぶり5回目の優勝を果たした。インターハイは市立船橋高(千葉)、選手権は大津高(熊本)とプレミアリーグ勢の前に初戦敗退を喫したものの、公立の伝統校は夏冬連続で全国大会にも出場。その経験値は大きい。

 県新人戦に続いて今回の東北新人大会も指揮を執る工藤竜也部長は、「(その影響は)大きいです。見えない景色を後輩たちに見せてくれたんで」と3年生たちに感謝する。地元の遠野市立遠野中出身の選手が多く、今年のメンバーは中学時代に東北大会を経験したことのない選手が大半。今大会はウォーミングアップで青森山田高や聖和学園高(宮城)の姿を見て、緊張するようなスタートだったという。

 それでも、「(去年の経験がなければ、)多分、もっと舞い上がっていたというか。だからそこは今日(準々決勝)のアップなんかも落ち着いて割とできていたので、日に日に成長してるかなと。でも、それは全国のベースがあったから」と工藤部長。3年生の大学進学組は現在もグラウンドに出て後輩とともにトレーニングしているという。新10番のMF馬場大瀬主将(2年)やFW照井颯人(2年)、CB菊池晃太(2年)という3年生と一緒に全国を経験した選手たちを中心に、今大会も準決勝へ駒を進めた。

 この日の前半は強力2トップを擁する八戸学院野辺地西にペースを握られ、1点ビハインドでの折返し。相手の縦に速いサッカーに合わせてしまっていた。だが、前半30分にFW宇夫方崇太(1年)を投入して流れを変えに行ったチームは、後半1分にMF小倉悠慎(2年)のゴールで同点に追いつく。

 後半は落ち着いてボールを繋ぎ、サイド攻撃。狭いスペースへのパスを通す馬場やMF今淵雄太郎(2年)、左SB福田心(2年)を軸にボールを動かすと、16分にはPA右角の位置でFKを獲得する。馬場が5枚の人壁の右側から巻いた右足FKを決めて逆転。リードを守り切り、2-1で勝利した。

 馬場は「今日、野辺地さんはバチンっていうか、球際のところが強い。そこで負けないことと、『来るからにはそれを上手く剥がせ』っていう風に先生に言われてて、それが上手くできて。自分たちのやりたいパスサッカーっていうのが展開できたかなっていう風に思います」と頷く。新チームは選手権敗退後にスタートしたばかり。当初はやりたいことがバラバラだったというが、声を掛け合いながら準備してきたことを東北大会で表現している。

 今大会は元日本代表で、Jリーグ平塚(現湘南)監督を務め、現在は部活指導員として遠野をサポートする古前田充さんがコーチとしてベンチ入り。選手だけでなく、コーチ陣も声の掛け方などを学ぶ大会だ。馬場は「今日も言われましたけれど、勝ってる状況の回し方、負けてる状況の回し方といったゲームの組み立て方っていうのは良く言われています」。助言を逆転勝ちに結びつけ、公立校で唯一大会最終日を戦う。

 目標は昨年超えだ。馬場は「(去年)自分もスタメンとして出れて、(経験者が)何人かいるんで、練習から去年の強度を保とうという風にやってますし この大会もですけど、去年を超そうっていう目標が自分たちにあるので、ここで勝って満足してる訳じゃないですし、また次も勝ちたいなって思います」。まずは準決勝の帝京安積高(福島)戦に集中。勝って、まずは先輩たちの成績に並ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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