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[新人戦]成果は競争力の向上。東山が京都橘を3-1で下し、京都制覇

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東山高が京都制覇

[2.4 京都府高校新人大会決勝 京都橘高 1-3 東山高 たけびしスタジアム京都]

 令和5年度京都府高等学校サッカー新人大会の決勝が4日に行なわれ、京都橘高東山高が対戦。FW小西凌介(2年)の先制点を皮切りに得点を重ねた東山が3-1で勝利した。

 今年の東山が目指すのは、22年度の選手権であと一歩の所まで迫った日本一のタイトル。目標に向かって一歩ずつ着実に前進していこうと考えている。だからこそ、1つめのタイトルを懸けた一戦がライバルである京都橘との対戦となっても、特別視はしなかった。

「相手どうこうではなく、自分たちが今までやってきたことをこのピッチで表現しようと話していた」。MF辻綸太郎(2年)の言葉通り、今年の代の特徴である雰囲気の良さを出すためにウォーミングアップから上級生を中心に声を出した。そして、試合に入ると最初の見せ場は前半3分。DF津崎翔也(2年)、小西と繋いでDF上山泰智(1年)がシュートを放つ。これは相手の守備陣に阻まれたが、こぼれ球を小西が押し込んだ。

 幸先の良いスタートを切った東山の流れは以降も続く。今大会、出場機会を重ねるMF雪本迅之助(1年)と前日に負傷が出た影響で急きょスタメンに抜擢されたMF野田凰心(1年)のダブルボランチが、試合の鍵となったセカンドボールを確実に回収。FW宮地陸翔(2年)と増井那月(2年)の2トップに入れてくる京都橘の攻撃に対しても、上山と津崎のCBコンビがチャレンジ&カバーを徹底し、隙を与えない。14分には相手にインターセプトされたボールをFW山下ハル(2年)が素早く奪い返してゴールを狙うなど虎視眈々と2点目を狙いに行った。

 追い掛ける展開を強いられた京都橘も前半途中から陣容をコンパクトに保つことでDF陣が競り勝つ場面が増加。マイボールにしてからは宮地を起点にサイドのスペースを突いて反撃に出ると後半7分にはMF吉野歩夢(2年)のパスから、左サイドのMF谷田伎倖杜(2年)がクロス。ゴール前にこぼれたボールを「結果に拘ってチームを勝たせようと思っていた」と振り返る宮地が押し込み、試合を振り出しに戻した。

 追い付かれた東山だが、選手に焦りの色は見られない。「去年の選手権予選決勝に出ていた山下ハルや沖村大也が『大丈夫』と声を掛けてくれたおかげで、チーム全体で切り替えようと思えた。2人が積極的に話してくれたので、落ち着いた試合ができたと思う」(辻)。

 東山は後半9分、今大会で好調を維持するFW吉田航太朗(2年)を入れて攻撃の活性化を計る。すると、13分には相手ゴール前でFKを獲得。雪本がゴール前に浮き球を入れると、吉田が上手く頭で合わせて再びリードを奪った。さらに20分には、野田の絶妙なパスから山下がゴール前へ抜け出し、GKとの1対1を冷静に決めて、3-1で勝利した。

 全国制覇を狙う東山が選手権に向けて取り組むのは、選手層の厚みを増す作業だ。主力に怪我人が出てもチーム力を落とさないためだけでなく、選手の成長を促すためにも競争力を高めなければならない。スタメンに立つ11人だけでなく、戦力となる選手を一人でも多く育てるためにも、新人戦ではできるだけ多くの選手に出場機会が与えられたという。

 急な出番にもかかわらず随所で攻撃センスの高さを見せた野田や、今季に入ってから出場機会が少なかったうっぷんを晴らした山下など得たチャンスでアピールに成功した選手は大勢いる。チームの軸として期待されながら、今大会は怪我で欠場となったDF佐々谷敏仁(2年)や、MF善積甲知(1年)ですら復帰後に気が抜けない状態は生まれつつあると言えるだろう。

「これから競争が激しくなるのは(今大会の)成果かなと思う。昨年みたいにPK戦での勝利ではなく、ちゃんと結果も出してくれたのも良かった。勝って課題をしっかり作っていける」。福重監督の言葉通り、東山は競争力を更なる力に変えながら、また一歩ずつ全国の頂点に向かって進んでいく。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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