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近畿大会準決勝、決勝で計11発。東山は対戦相手をより圧倒し、目標を達成するチームへ

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決勝で6発快勝。東山高が近畿王者に

[2.20近畿高校選手権決勝 東山高 6-1 近大新宮高 紀三井寺公園陸上競技場]

 東山が近畿制覇! 第76回近畿高等学校サッカー選手権大会決勝が23日に和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で行われ、東山高(京都1)が夏開催されていた21年度以来2度目の優勝を果たした。初優勝を狙う近大新宮高(和歌山3)と対戦した東山は、FW山下ハル(2年)の3得点など6-1で勝利。5-1の準決勝(対草津東高)に続く快勝で、参加16校の頂点に立った。

 東山が元気、試合内容でも対戦相手を凌駕。4月の本格シーズン開幕へ向けて弾みをつけた。試合開始からわずか40秒ほどで先制点。左サイドから崩しにかかると、ゴール前のこぼれ球を山下が右足で蹴り込んだ。山下が「もう試合前から、入りから圧倒してっていうのをチームで言ってたんで、しっかりそれが実行できたので良かったです」という会心の得点だった。

 一方、出場2度目の近大新宮は、約2時間前に県内トーナメント戦で一度も勝ったことのないという初芝橋本高(和歌山2)を破って決勝進出。その決勝も立ち上がりの10分、15分間を凌ぎたいところだったが、塩崎統夫監督は「やっぱり心の中に、まだ足りないものがあったんかなと思います」と残念がる。

 心の隙、また緊張もあり、相手の強度、スピード感の呑まれる形となった立ち上がり。だが、技術力、判断力の強化に取り組んできたチームはサポートの距離間を縮め、1タッチを交えたパス交換で局面を打開するなど攻め返して見せる。そして、15分には相手のビルドアップのミスを突いたMF西世愛(2年)が決定的な右足シュート。また、CB和田尽主将(2年)やCB垣内伊織(2年)を中心とした守備陣がよく踏ん張っていた。

 だが、東山は縦に速い攻撃に加え、センスの高い動きを見せるMF野田凰心(1年)とキック精度の高いMF雪本迅之助(1年)の配球などからサイド攻撃。24分、左SB沖村大也(2年)と左SH井上慧(2年)のコンビで左サイドを切り崩すと、マイナスのラストパスをニアのFW小西凌介(2年)が1タッチで合わせて追加点を挙げた。

 東山は左に加え、精力的な動きを見せるSH辻綸太郎主将(2年)とSB坪内瑛久(2年)の右サイドからもゴール前のシーンを作り出す。そして、35分、左サイドでボールを持った山下がカットインから右足シュート。鮮やかなコントールショットを決め、3-0で前半を終えた。

 東山はピッチ内外で自分たちを鼓舞する声。辻は「声を出すっていうのは、チームの基準だったり、自分たちの代の良さなんで、そういうところではこの近畿大会でも良さっていう部分は出したかなと思います」と頷く。また、課題としていた試合中の声がけ、修正も実践。チームリーダーはその点も前向きに捉えていた。

 東山は後半も、昨年から主軸を担うCB上山泰智(1年)とFWから転向組のCB津崎翔也(2年)の両DFが守備能力の高さを発揮してチームを引き締める。そして、9分、山下が沖村のパスでDF背後へ抜け出し、ハットトリック達成。近大新宮は苦しい展開となったが、MF宮本夏輝(2年)やMF住川宗正(2年)が係わりながらボールを繫いでゴールを目指す。

 そして、最前線のFW弓場蒼太(2年)が積極的な仕掛けを連発。だが、東山DFは際の強度が高く、GK徳田光希(2年)の守るゴールを脅かすことができない。逆に、交代出場組もエネルギーを持ってプレーする東山は32分、FW青山透吾(1年)のドリブル突破から津崎が5点目のゴール。さらに34分、MF澤田陽人(2年)が右サイドを打開する。最後は、FW吉田航太朗(2年)がクロスを1タッチで合わせて6点目を挙げた。

 近大新宮は初の決勝で悔しい6失点。だが、諦めずに攻め続け、相手の堅守をこじ開けた。35+3分、右スローインから弓場が中へ持ち込んでスルーパス。FW村上諒(1年)のシュートの跳ね返りをMF大谷侑誠(1年)が右足でゴールへねじ込む。見事なゴールにスタンドも大盛り上がり。塩崎監督も全員で挙げた1点を讃えていた。
 
 東山は6-1で快勝。準決勝、決勝で計11得点を挙げて強さを見せつけた。ただし、課題も。福重良一監督に代わって指揮を執った中原大亮コーチは、「準決、決勝も失点してるんで、その辺はプリンス(リーグ関西2部)とかインターハイ、選手権に向けて課題かなと。しっかり無失点で終われるようなチームになること。それは(福重)監督が常に言ってるんですけど、それができなかったのは課題かなと思います」と指摘する。

 選手たちは府大会、地域大会でも常に「圧倒するぞ」と声を掛け合い、複数得点と無失点を目指してきた。今大会で出た課題を改善し、次へ。辻は「新人大会(近畿選手権)は、ベンチに入らなかったメンバーとかがサポートしてくれてたんで、その選手たちともチームの競争を高めて、より日本一に近づけるように。日頃の練習から『日本一』っていう言葉を言いながら成長していきたいと思います」。近畿王者は目標達成のために、対戦相手をより圧倒するようなチームになる。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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