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今秋の「国スポ」優勝へ弾み。U-16静岡選抜がU-16東京選抜に3発勝利

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U-16静岡選抜が勝利。中盤で活躍したMF小關陽生(浜松開誠館中、右)とゲーム主将のCB細谷蒼太(富士市立高)がハイタッチ

[3.3 ヤングサッカーフェスティバル U-16静岡県選抜 3-1 U-16東京都選抜 草薙陸]

 3日、第39回静岡県ヤングサッカーフェスティバルU-16男子の部でU-16静岡県選抜とU-16東京都選抜が対戦。3-1でU-16静岡県選抜が勝った。

 2024年、「国民体育大会」の名称が「国民スポーツ大会」へ変更されて初めての本大会が佐賀県で実施される。そのサッカー少年男子の部(U-16)で日本一を狙う静岡と東京が激突。地元・静岡が一度追いつかれながらも突き放し、「国スポ」優勝へ弾みをつけた。

 前日も練習試合で対戦した両チーム。その練習試合を1-0で制している静岡は、GK内田康楠(清水ジュニアユース)、右SB佐野輝典(沼津U18)、ゲーム主将のCB細谷蒼太(富士市立高)、CB安本桜亮(清水ジュニアユース)、左SB鈴木翔湧(浜松開誠館中)、中盤は杉山琥二郎(清水ジュニアユース)と小關陽生(浜松開誠館中)のダブルボランチ、右SH泉孝太郎(藤枝東高)、左SH針生涼太(清水ユース)、トップ下が西岡健斗(磐田U-15)、1トップに河合航希(磐田U-18)が入った。

 一方の東京は、GK宋楽陶(関東一高)、右SB西澤航星(駒澤大高)、CB田中理久(FC東京U-15深川)、CB田中遥大(FC東京U-15深川)、左SB長崎亘佑(川崎F U-15)、中盤の底の位置に今井宏亮(東京Vユース)、その前方に友松祐貴(FC東京U-15深川)と舘美駿(修徳中)、右SH小林瞭介(横浜FMジュニアユース)、左SH木下勝正(川崎F U-15)、1トップにヘンリー公太(多摩大目黒高)が入った。

 序盤、東京は右サイドから仕掛けてチャンス。SB西澤のオーバーラップや舘美の潜り込む動きからゴール前のシーンを創出した。10番MF友松のドリブルが止まらず、183cmFWヘンリーのボールキープなども交えて先制点を狙う。

 対する静岡は、鈴木啓史監督(裾野高)が「攻撃も守備もアグレッシブに行こうっていうところは、いつも言っています」というように、中盤で存在感のある動きを見せた小關やCB細谷、CB安本が出足の鋭いディフェンスで攻撃に結びつける。

 そして、前回国体でゴールを決めている10番MF泉や西岡、河合らテクニカルなアタッカー陣が個性を発揮。杉山の右クロスなどでチャンスを作ると、21分に先制点を奪った。相手陣内へ押し込み、右タッチライン際からCB細谷がロングクロス。これが相手CBの頭上を越えてファーサイドの針生へ届く。そして、針生が左足ダイレクトで叩くと、ボールは逆サイドのゴールネットに突き刺さった。

 細谷は「ここ最近、東京選抜に勝ってなかったっていうのを聞いて、やっぱ僕たちの代で勝たないといけないなとと思ったので、前半からもう前にガツガツ行って、先制点と取ろうっていう意識でやっていました」。その言葉通りに静岡が先制した。

 東京は決して悪い流れではなかったものの、一瞬の隙を突かれる形で失点。逆にチャンスをモノにした静岡は、針生の左足シュートや泉の非常に鋭いドリブル突破から右SB佐野がシュートへ持ち込むなど、畳み掛けようとする。

 だが、東京は田中遥、田中理の両CBを中心に凌ぐ。その東京はハーフタイムに長崎、今井、小林、ヘンリーに代えてDF畠山晃(三菱養和SCユース)、MF松元蓮旺(横浜FMジュニアユース)、MF杉山まはろ(東京Vユース)、FW山田将弘(東京Vユース)を投入。静岡も内田、佐野、安本、杉山、針生をGK松浦迅ビエラ(浜松開誠館中)、DF藤田葵翔(浜松開誠館中)、DF真弓将(浜松開誠館高)、MF大石然一郎(藤枝明誠高)、DF望月蒼太(清水ジュニアユース)と入れ替えた。

 東京は登録162cmと小柄な舘美が存在感のある動き。狭いスペースでもボールをロストせずに、オープンスペースへのパスも通していた。その舘美や友松のチャンスメークから反撃。12分に木下とMF古宮一聖(ラルクヴェール)を入れ替えた東京は18分、同点に追いつく。相手を押し込むと、右サイドでセカンドボールを拾った舘美が中へ仕掛ける動きから右足アウトサイドでスルーパス。交代出場で迫力のある動きを見せていた山田が右足ダイレクトで決めた。

 だが、静岡は直後の19分、左サイドの鈴木から泉、西岡と繋ぎ、PAへ飛び出した鈴木が逆サイドのネットへ左足シュートを突き刺す。東京の小野貴裕監督(関東一高)は「後半、ちょっとオープンな展開が多くなっちゃって、2失点目が早かった。もうちょっとこっちのゲームに来るまでの時間があれば」と残念がる。

 この後、東京は友松に代えて河合に代えてDF粟屋拓洋(三菱養和巣鴨ジュニアユース)を投入。またGK宋とGK林亮太(FC多摩)を交代した。一方の静岡は河合とFW中山聖那(藤枝明誠高)を交代し、鈴木、西岡をDF藤田一毅(静岡学園中)、MF原田音生(FC桜が丘ジュニアユース)と入れ替えた。

 静岡は後半も小關らが強度の高い守備。攻撃から守備の切り替えが速く、DF陣の身体を張った守備やGK松浦の守備範囲の広い動きも活かして2点目を許さない。迎えた27分、敵陣での奪い返しから藤田の右クロスから相手オウンゴールを誘って3-1。このまま逃げ切り、19年以来となる白星を挙げた。敗れた東京だが、力を発揮した選手が多く、前向きな内容だった。今回、U-16日本代表活動で不在だった選手も複数。小野監督は「根気強くやらないといけない」と語り、ここから競争を経て選手層を厚くしていく考えだ。

 一方、静岡の鈴木監督は流れの悪い序盤から修正するなど、「(選手たちが)主体的にゲームに取り組めたところもあって、良かったと思います。東京さんも有力なクラブの有力な選手たちなんで、凄く良いチームだと思いますけど。それで勝ったのはほんとに静岡の選手、ポテンシャルあるなっていう風に感じています」と頷く。各選手がハードワークを徹底。っそして、個、グループで得点できる力を表現し、勝利した。

 静岡のキャプテンマークを巻いた細谷は、「今日、ここで東京に勝てて、静岡のサッカーがレベル上がってるっていうのを皆さんに知ってもらって良かったと思います。この勢いで国スポでも勝って終われるようにしたいと思ってます」。トレセンリーグや練習会を通じてチーム力を向上させ、国スポ優勝を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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