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選手権8強・昌平高新監督に玉田圭司氏が就任!アジア、世界で躍動したストライカーが高校サッカー部の指揮官に

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高校サッカーの強豪、昌平高の新監督に元日本代表FW玉田圭司氏就任が決定

 アジア、世界で活躍したレフティーストライカーが、高校サッカー部の指揮を執る――。9日、第102回全国高校選手権8強の昌平高(埼玉)が、元日本代表FW玉田圭司氏の新監督就任を発表した。村松明人前監督は昌平のヘッドコーチとして、習志野高(千葉)時代のチームメートでもある玉田氏をサポート。また、村松氏は系列の育成組織で、強豪ジュニアユースクラブのFC LAVIDA監督を継続することになっている。

 玉田氏は日本代表として2006、2010年のワールドカップに出場し、2006年大会ではブラジルから鮮烈な先制ゴール。また、2004年のアジアカップ準決勝、決勝でゴールを決めて日本代表のアジア制覇に貢献したほか、柏や名古屋、C大阪、長崎で活躍し、Jリーグ通算133ゴールを記録している。

 2021年シーズンを最後に現役引退。指導者を志す玉田氏は昨年4月、長年培ってきた特別なテクニックやアイディア、スペシャリティの部分を期待され、藤島崇之元監督、村松ヘッドコーチ、関隆倫コーチ(元札幌)、菅野拓真コーチ(元千葉)、宮島慶太郎ヘッドオブスカウト(前千葉スカウト)と習志野時代のチームメートたちが指導する昌平のスペシャルコーチに就任した。昨年は月に一週間ほど昌平を訪れ、トレーニング、公式戦でアドバイス。そして、今年2月に監督就任の打診を受けたという。

 昌平は埼玉の新興勢力だ。FC LAVIDAとの中高6年育成によって2016、2018、2022年のインターハイで3位。また、選手権でも2019、2020、2023年度大会でベスト8に食い込んでいる。加えて、2023年から“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグに参戦。毎年のようにJリーガーや年代別日本代表選手を輩出し、育成チームとしても注目を集めている。

 さらなる進化を目指す昌平からの打診。玉田氏は「昌平高校を1年間、コーチとして指導して、その中で昌平高校の良さや自分の考えていることと一致することが結構多かったので。監督に関しては凄く興味があるし、(他のコーチ陣が)自分のことを認めてくれていた部分もあるだろうし、その話があった時はめちゃくちゃ嬉しかったです」と振り返る。

 ただし、多忙な玉田氏はすでにスケジュールが決まっていた部分も。当初は即答を避けたものの、関係各所への調整を行い、監督生活をスタートすることを決断した。今後はより責任のある立場。また、かつてのワールドカップ戦士が強豪校の監督に就任するということで、大きな注目を集めるのは間違いない。

 それでも、玉田氏はとても前向きだ。「もちろん初めてのことなんで、もちろんプレッシャーみたいなものは凄くありますけれども、選手の時も感じながらやってきたから、久々にそういうものが出てくるのって逆に楽しみですよね。監督と言っても、間違いももちろんあると思う。成長していきたい」。今年は平日も、土日祝日も、基本的にはフルタイムで昌平を指導予定。3月に監督としての指導をスタートした新指揮官は、選手とともにサッカーを楽しみながら、成長すること、結果を残すことにこだわっていく。

「勝利にももちろんこだわりますけれども、プレーの質などに僕はフォーカスしていきたいなというのがあるし、結果が全てではないと思っているんですよ。この先に繋がる何か。もちろん、高校でサッカーを辞める子もいるだろうし、プロを目指す、大学でサッカーをするっていう子もいると思うので、そういった子たちの成長の場であっても欲しいなと思います」。サッカープレーヤーだけでなく、社会に出て活躍する人間の育成を目指していく。

 昨年、昌平を指導した玉田氏は、「(昌平の)一人ひとりの技術とかは僕は高校の中でも高い方だと思います」と分析。その一方、まだ自分たちの能力を理解できていない部分、出し切れていない部分があると感じている。「まだやれるのに自分たちで難しくしてしまったり。『これ無理』とか、『これできない』とか自分たちで決めてしまっていると思うので、そういうのを自分たちで気づいて、それを行動に移せるような環境を作ってあげたいです」。そして、頭を使うことの大切さを強調した。

「サッカーって自分の中では、ある程度頭の中でやるものだと思っているので、本能でやる部分ももちろん大事だと思いますけれども、ある程度自分たちが頭を使いながらサッカーをするということも必要になってくると思っている」。自身は高校時代にその力を身につけられず、プロ入り後、活躍するまでに時間を擁した。だからこそ、「高校時代、もう少しこうしていればというのもあったので、自分の教訓みたいなものもあるからそういうのも教えてあげたい」という思いがある。

 昨年のインターハイは埼玉県予選で敗退。日本一を目指した選手権も準々決勝で敗れている。「負けるような試合は負けるような戦い方をしている。苦手意識とかあるでしょうし、そういう癖みたいなものもなくしてあげたいです」。いきなりすべてを克服することは難しい。それでも、選手たちの将来のために、テクニック、判断力の特長を持つチームのできることもより増やしていく。

 目標は日本一と個人、チームの成長だ。「もちろん、やるからには日本一を目指しますけれども、色々なことにこだわって、やっぱりお客さんや親御さんが見ていてサッカー楽しいなとか、ここに預けて良かったなと思ってもらえるようなサッカーや人間の成長というものは見せたいですね」。玉田氏自身も挑戦の一年。昌平ではコーチ陣から声がけのタイミング、言葉の選び方などを学んでいるという。昌平とともに指導者として成長を遂げ、大きなインパクトを残す。

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