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大津が近江に3-2で撃ち勝つ。台頭中のMF畑拓海が強豪対決でも絶妙なパスとポジショニング

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大津高MF畑拓海は強効果的なパスとポジショニングで勝利に貢献

[3.13 サニックス杯予選リーグ 近江高 2-3 大津高グローバルアリーナ]

 台頭中のボランチが強豪対決で躍動した。サニックス杯国際ユースサッカー大会2024(福岡)が13日に開幕し、選手権準優勝の近江高(滋賀)とプレミアリーグ勢の大津高(熊本)が対戦。大津が3-2で競り勝った。

 大津は2月の九州高校新人大会で準優勝。近江の前田高孝監督も「しっかり止めるし、上手いですよね」と評したように、昨年から先発半数を残す大津はミスが少なく、MF畑拓海(2年)とMF兼松将(2年)のダブルボランチやU-17日本高校選抜MF嶋本悠大(2年)を経由する形でボールを前進させる。そして、畑とのワンツーでMF舛井悠悟(2年)が右サイドを抜け出したほか、ショートカウンターなどからゴールに迫った。

 対する近江は、FW山本諒(2年)やMF廣瀬脩斗(2年)が欠場して1年生8人が先発したものの健闘。強度の部分で食い下がり、MF中江大我(1年)を中心に狭い局面を打開する上手さも光った。だが、大津は攻撃から守備への切り替えの速さや細かな精度、高さで差を生み出していく。

 中でも目立っていたのが、167cm、64kgのボランチ・畑だ。九州新人大会後に数人のチームメイトとともにJ1クラブへの練習参加を経験。「やっぱりプロの強度っていうのを体感して、それが試合中の落ち着きだったり、余裕っていうのに現れてるかなと思います。判断のところとオフの準備のところっていうのは、凄く良いお手本を見ることができたなと思っています」。ピッチを俯瞰しているかのようなポジショニングと、オープンスペースへの効果的なパス。“今までの大津にはいないタイプ”と評されるMFは積極的に前へ出る兼松をサポートしながら、武器でもあるスピード、運動量を攻守で発揮してチームに流れをもたらしていた。

 その大津は前半25分、嶋本の右CKから兼松がゴール右隅へ先制ヘッドを決めた。ミスから迎えたピンチをGK坊野雄大(2年)のビッグセーブで凌いだ大津は31分、左SB大神優斗(2年)からパスを受けた兼松がスルーパス。これで嶋本が抜け出し、2-0と突き放した。

 近江も後半2分、攻守に推進力のある動きを見せていたMF松山大納(1年)がPKを獲得。これを自ら決めて1点差とする。だが、両SBがPAに顔を出すなど押し込む大津は、7分に大神の左クロスのこぼれをFW山下景司(2年)が頭で決めた。

 大津は後半、押し込む時間を増やしてクロスまで持ち込むものの、それを跳ね返されるなど攻撃の終わり方が課題に。嶋本や畑の決定的なラストパスが通るも、決め切ることができない。逆に近江MF福本怜功(2年)に追撃ゴールを許し、あわや同点のピンチをCB五嶋夏生主将(2年)のカバーリングに救われた。

 大津は3-2で勝利。五嶋や嶋本ら昨年の経験者に加え、新戦力たちも台頭し、高いレベルでスタートを切れている印象だ。だが、山城朋大監督は「だからこそ、いかにこれから伸びていくかっていうことを考えていかなきゃいけない。(プレミアリーグでは)個人個人で戦えるってことには、今年はちょっと勝負したいなと思っています」と語る。

 JFAアカデミー熊本宇城出身の畑は、FC KAJITSU U-15(鹿児島)から大津へ進学し、今冬の新人戦などで台頭してきた選手だ。新シーズンへ向けて、「個人としては、やっぱりチームで1番ハードワークして、守備でも、攻撃でも常に顔出せる選手になって、苦しい時にチームを救えるような選手を目指して頑張っています。(リーグ戦で)試合に出続けるのはもちろんですけど、やっぱり勝ちを目指して。(プレミアリーグ)ファイナルまで目指してやってるんで、 そこはシーズン通して頑張っていきたいです」と意気込んだ。“今までの大津にはいないタイプ”のMFが、チームを救えるような選手になって勝利に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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