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[新人戦]新チームの目標は2度目の選手権制覇。岡山学芸館が瀬戸内に逆転勝ちし、中国大会を制す

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岡山学芸館高が2度目の中国高校新人大会制覇

[3.17 中国高校新人大会決勝 瀬戸内高 2-3 岡山学芸館高 Balcom BMW広島総合グランド]

 第16回中国高等学校サッカー新人大会は17日に決勝を行い、瀬戸内高(広島1)と岡山学芸館高(岡山1)が対戦。MF近藤綾真(1年)の同点ゴールから得点を重ねた岡山学芸館が3-2で勝利し、6年ぶり2回目の優勝を果たした。

 試合は開始わずか20秒で動く。キックオフのボールを岡山学芸館のDFが問題なく処理して、GKへのバックパスを選択したが、パスの乱れを瀬戸内のFW伊藤翔輝(2年)がカット。そのままがら空きとなっていたゴールにシュートを決めた。

 キックオフと共に追い掛ける展開を強いられ、岡山学芸館の高原良明監督はこう振り返る。「“入りを間違えるなよ”と言っていたにも関わらず、コミュニケーション不足での失点だった。ただ、時間も早かったので1点は仕方ない。いつも通りやろうという所からスタート。時間もたっぷりあるし、勝負になるだろうなとは思っていました」。

 今大会、攻撃をけん引してきたFW香西健心(2年)は準決勝で今大会2枚目のイエローカードを貰ったため、この日は出場停止だった。右サイドから果敢な仕掛けを見せていたMF万代大和(1年)をトップ下に置いて穴埋めを試みたが、上手く行かないと判断すると前半20分には選手交代で万代を本来の右サイドに配置転換。左サイドのMF池上大慈(2年)と共にポイントを作り、サイド攻撃を引き出していく。

 狙いが見事にハマり、前半24分には右サイドを思い切りよく上がったDF岸昂希(1年)が右CKを獲得。ゴール前に上がったクロスをニアの近藤がバックヘッドで合わせて、同点に追いついた。28分にはMF青川凌大(1年)の左クロスを相手DFが弾くと、こぼれ球をFW太田修次郎(2年)が頭で押し込み、逆転して前半を終えた。

 さらに後半10分には、今大会、初戦から躍動を続ける万代が見せる。右サイドでドリブルを仕掛けて前進すると、PAでは池上とのワンツーでゴール前に侵入。ラストは冷静に右足シュートを突き刺した。「良い形でワンツーから切り返していくのがアイツの良さ」と高原監督が評する通り、万代にとっては十八番の形で得点を奪い、リードを2点差に広げた。

「あれだけファールをしていたら、リズムが作れない。うちの未熟度が出た試合。気持ちは分かるのですが、したたかさや今までの取り組みで岡山学芸館が一枚上でした。予測がなかったし、本来のちゃんとしたポジションを取れていなかった。攻撃も守備も今日はファーストポジションが取れていなかった」。田中健二郎監督の言葉通り、後手を踏む対応によって苦戦を強いられた瀬戸内だが、このままでは終われない。

 途中出場でスピードを見せつけたFW武田直大(2年)らがサイドから反撃の機会を伺うと、14分には左サイドからDF森下昇太(1年)が上げた低いクロスがゴール前を抜けたが、スライディングで反応したMF保井彩玖(2年)はオフサイドに終わる。21分にも左から見せ場を作り、保井がカットインからシュート。GKがこぼしたボールを伊藤が押し込み、1点差に詰め寄ったが、反撃は及ばず3-2で岡山学芸館が勝利した。

 岡山学芸館にとって中国新人大会のタイトルは、MF永田一真(現・J3八戸)が在籍していた2017年度以来2度目。今大会は前日にスペイン遠征から帰ってきたばかりとあって、コンディションが整わず苦しい戦いを強いられたが、跳ね除けるだけの攻撃力を示し、栄冠を引き寄せた。

「コンディションもあまり良くない中だったので追う形のゲームが多かったのですが、そこからしっかり逆転できたことは彼らの自信に繋がっているんじゃないかと思います」と話すのは高原監督だ。「チームとしてもう1回全国制覇したい」と岸が意気込む通り、選手がターゲットにしているのは2度目の選手権優勝。目標に向かって最高のスタートになったことは間違いない。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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