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[MOM4663]広島ユースFW井上愛簾(3年)_前日はJ1でベンチ入り。後半に持ち味取り戻し、1G2Aの活躍

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後半15分、サンフレッチェ広島ユースのFW井上愛簾が先制ゴール

[4.14 プレミアリーグWEST第2節 岡山U-18 0-3 広島ユース 政田サッカー場(人工芝)]

 今季はキャンプからトップチームに帯同し、今月1日には一足早くプロ契約を締結。同7日に行なわれたJ1第7節の湘南ベルマーレ戦で、サンフレッチェ広島でのJ1最年少出場記録を更新した。サンフレッチェ広島ユースのFW井上愛簾(3年)は、“Jリーガー”として挑んだ岡山U-18(岡山)との一戦で1得点2アシストと全得点に絡んだ。

 格の違いを見せつける形となったが、状態は万全だったとは言い難い。前日に行なわれたトップチームのアビスパ福岡戦では出場機会がなかったもののMF中島洋太朗(3年)とともにベンチ入り。先輩たちが新幹線で広島まで戻る中、中島と共に岡山まで移動し、ユースのチームメイトが前泊している宿に合流したが、本人は「移動の疲れはあったのですが、そんなのは言い訳にできない」と口にする。

 ユースに合流するのはトップチームがオフの時だけ。今週は火曜日に一度ユースで練習したとはいえ、「ぶっつけ本番」(野田知監督)に近い状態で周りと息を合わすのは簡単ではない。前半は「(岡山U-18)はプレミアに上がってきたチームなので、みんな勝たなければという考えがあり、少しやりづらかった」と振り返る。

 本人としても気負いが空回りしていた部分もある。「今までトップチームでやっていたので、ユースの試合に来たからには絶対点が取りたかった。みんなからも期待されていると思うので、取らなければいけないという感覚があった」。今季はずっとトップチームでプレーしてきたため、ユースでプレーすると自然とプレーに余裕が生まれる。フィジカル的にもそう簡単には負けないため、ボールを持ちすぎてしまった結果、決定機まで持ち込めず前半はシュート0本で終わった。

 そうした心理状況を野田監督は見逃さない。ハーフタイムには「点が取りたいオーラが出すぎだ」と冗談を交えながら、「味方を上手く使おうと背負ってプレーしようとし過ぎていたけど、それはオマエの特徴ではない。オマエは受けて裁いて、背後のスペースに走ってナンボの選手だ」と指摘。「野田さんに言われて、その通りだと思った」と話す井上は後半に入ってから本来の持ち味を取り戻していく。

 最初の見せ場が訪れたのは後半15分。中央でボールを持ったMF橋本日向(3年)のパスが左サイドのMF長沼聖明(2年)に渡ると、井上は「広島ユースは3-4-3なのでワイドにスペースがある。(長沼は)仕掛けられる選手でもあるので、クロスが上がると信じて入っていった」とゴール前に走りこむ。DFにかすめて少しボールは逸れたが、冷静にコントロールして放ったシュートがゴールネットを揺らした。

 24分にはオフサイドとなったが、中島のスルーパスから絶妙な抜け出しを披露するなど先制点以降も積極的にゴールを狙うと38分にはMF桝谷歩希(3年)のミドルシュートをおぜん立て。45+4分にはスルーパスでMF小林志紋(2年)の得点を引き出すなど全得点に名を連ね、エースとしての意地を見せた。

 プロデビューも果たし、充実した日々を過ごしているが、本人は現状に満足していない。「プロデビューの記録を残せた嬉しさはありますが、試合に出たのは1分なので悔しい気持ちもある。これからは5分でも10分でも時間を増やしていって、自分がボールに触れる回数を増えして、自分のプレーをみんなに見てもらいたい。練習でどんどんアピールし続けて、監督に継続して使ってもらえるように頑張りたい」。トップチームであっても、ユースでもあっても与えられたチャンスをきっちり物にして、井上愛簾という名を轟かせる。

(取材・文 森田将義)

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