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上手さと勝利をどん欲に追求。浜名に逆転勝ちの藤枝東、プリンスリーグ東海で開幕3連勝

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逆転弾を喜ぶ藤枝東高の選手たち

[4.20 プリンスリーグ東海第3節 藤枝東高 2-1 浜名高 藤枝東高G]
 
 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024東海は20日に第3節を行い、首位の藤枝東高(静岡)と昇格組の浜名高(静岡)が対戦。FW湯山大輔(3年)の2ゴールによって藤枝東が2-1で勝利した。

「最近で一番課題が出た。ここまでできないゲームはなかった」。小林公平監督が口にした通り、藤枝東にとって決して満足のいく試合内容だったとは言えない。

 試合の序盤は、「先週のジュビロ戦は相手の方が必死にやっていたので、そこをとにかく強調して今週は練習してきた。入りから100%で行けるように練習してきた」と内藤康貴監督が話す浜名のペース。「相手のことはよく分かっている。背後を常に狙おうと考えていた」(内藤監督)との狙いが見事にハマり、背後へ上手く飛び出したFW津田廉大(3年)が開始わずか30秒でゴールネットを揺らし、幸先の良いスタートを切った。

 先制点以降も浜名は「今のうちには欠かせない存在」と指揮官が評するMF縣大翔(3年)を中心に人とボールが動きながらゲームをコントロール。右サイドのMF川嶋琉之亮(3年)やMF野澤康佑(3年)も中盤で存在感を見せる。前半22分には左サイドでボールを持ったMF鈴木士道(2年)がDF裏へとボールを入れると、抜け出した津田がループシュートを狙ったが、追加点には至らない。

 追いかける展開を強いられた藤枝東は、立ち上がりから思い通りの攻撃が繰り出せない。原因について主将のDF村上樹(3年)はこう話す。「しっかりボールを大事にして、全員で運んでゴール前で仕留める形を作りたかったのですが、攻撃が単発に終わるというか“FWが一人で決めてくれ”みたいな攻撃が多かった」。

 それでも、23分には右サイドを上がったDF井上凱晴(2年)のパスから湯山が同点弾を叩き込む。前半終了間際の45分にもゴール前でスローインを受けた湯山が絶妙なターンからゴールネットを揺らし、藤枝東が前半のうちに逆転まで持ち込んだ。

 ボールを保持する時間が短かった前半の反省を生かし、後半からの藤枝東はトップ下の小浦京之助(3年)がボールに触る回数が増加。交代で入った左サイドMF小島荘司(3年)のプレーも効果的で、DF逢坂峻(3年)ら後方の選手の攻撃参加も増えていく。

 後半7分には、右サイドから中に入った井上が湯山からのリターンパスをもらってシュート。16分には、スピードを活かして右を抜け出したMF小池海人(3年)のパスから、MF栁川結飛(3年)のシュートは上手くミートせず3点目は奪えない。29分には、浜名の反撃を食らい、川嶋にフリーでゴール前に抜け出されたが、シュートはGK宮崎真心(2年)が好セーブ。藤枝東が2-1のまま試合を終えた。

「勝ったのは良かったのですが、何もできなかったと感じた部分があるので内容は良くなかった。勝てた気分ではない」。村上の言葉通り、内容面では不満が残る藤枝東だったが、開幕から5試合白星がなかった昨年とは違い、好スタートを切れていることは大きい。

 これまでの藤枝東は良い内容のサッカーをしながらも点を決めることができず、涙を飲む試合が多かったが、今年は違う。「スタイルは例年通りなのですが、選手の特性、それぞれの個性生かすような余白や自由度を例年よりは与えている。ポジションをしっかり取って、相手をコントロールするだけだと、相手が崩れないので流動性や前への推進力を出したい」。そう話すのは小林監督。現時点では上手く行かない試合も多いが、点を取るために上手さのプラスアルファを求めていることが、開幕からのスタートダッシュに繋がっている。

 選手たちも結果に飢えている点も大きい。選手権予選は3年連続準優勝で終わり、今年の3年生は一度も全国大会の舞台に立てていない。今年は学校が創立100周年を迎えることもあって、チーム全員のモチベーションは高いという。「今年こそは自分たちが全国に出て、優勝を取りに行くんだと一人ひとりが責任を持っている」。村上が意気込む通り、上手さと勝利をどん欲に追求していく。

(取材・文 森田将義)

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森田将義
Text by 森田将義

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