[練習試合]選考合宿最終日の高校選抜候補は市船・和泉先制ゴールも専修大に逆転負け
[2.13 練習試合 日本高校選抜候補1-2専修大 時之栖スポーツセンター]
第90回全国高校サッカー選手権の優秀選手を中心に結成される日本高校選抜の選考合宿(静岡)は最終日の13日、全日本大学選手権王者の専修大と練習試合(30分3本)を行った。1本目19分にMF寺尾俊祐(四日市中央工3年)の右クロスからFW和泉竜司(市立船橋3年)が先制ゴールを決めたものの、3本目に逆転を許し、1-2で敗戦。チームはこの後34名からまず21名まで絞られ、3月3日に国立競技場で行われるFUJI XEROX SUPER CUP2012「NEXT GENERATION MATCH U-18Jリーグ選抜vs日本高校サッカー選抜」などを経てから欧州遠征を行う日本高校選抜18名が決定する。
「コンセプトは学校教育。(合宿最後のミーティングで高校選抜は)『部活の日本代表だよ』と言うつもり」と山下正人監督(駒場高)。指揮官が技術はもちろん「コミュニケーション能力や引っ張れる子とか、周りとどう関わっているかを見た」と人間性も評価対象としたという選考合宿では、スタッフ陣の想像以上のインパクトを残した選手もいたようだ。そして最終アピールの場となる最終日はこれまでの紅白戦と変わり、インカレ王者との対外試合。清水エスパルスMF白崎凌兵(山梨学院3年)とアルビレックス新潟FW鈴木武蔵(桐生一3年)が欠場した高校選抜候補に対し、選抜組など主力数人を欠いていた専修大だが、それでもインカレ決勝に出場したSB北爪健吾(1年=前橋育英)やMF星野有亮(1年=静岡学園)、MF東大樹(1年=成立学園)といった期待の選手たちが並ぶメンバー。ただ1本目にリードを奪ったのは高校選抜候補だった。
4-4-2システムのGKが山田修平(山梨学院3年)で4バックが右から佐保昂兵衛(大分3年)、新井一耀(清水商3年)、久保飛翔(済美3年)、帷智行(市立西宮3年)。國吉祐介(四日市中央工3年)と山田真史(奈良育英3年)のダブルボランチ、右MFが寺尾で左が高校選手権得点王の浅野拓磨(四日市中央工2年)。そして2トップに菊池将太(浦和東3年)と和泉を配置した高校選抜候補が試合の主導権を握った。
國吉や16分から交代出場したMF差波優人(青森山田3年)がインターセプトからドリブル&スルーパスでチャンスメーク。果敢にPAへ飛び出してくる浅野のスピードも活かして押し込むと19分、鮮やかなサイド攻撃で先制点をもぎ取った。交代出場の左MF後藤寛太(市立西宮3年)が右サイドへ展開すると寺尾がアーリークロス。ニアサイドで潰れ役となった菊池の背後へ走り込んだ和泉がスライディングシュートでゴールへと押し込んだ。さらに21分には新井のフィードから佐保が右サイドを抜け出し、そのクロスに後藤寛が合わせる。ワンツーや相手をボールを引き付けてからスルーするなど、好連係を見せた日本高校選抜はその後も差波が積極的にシュートまで持ち込み、和泉の右足ミドルや強引にDFを振り切った寺尾の決定的な左足シュートが相手ゴールを襲う。久保や和泉を中心によく声も出ていて帷らディフェンスラインも安定。國吉が中盤で存在感を発揮するなど、それぞれが短い出場時間の中で持ち味を出して1本目を終了した。
ただメンバー全員が入れ替わった2本目の選手たちは上手く試合に入ることができなかった。声が少なかったこともあってか連係が取れずに自陣や中盤でのミスが続発。パスの出し手と受け手とのタイミングが合わず、また相手のプレッシャーの速さと正確なパスワークもあって苦しい30分間となった。MF右高静真(國學院久我山3年)が単発で仕掛ける場面やフィジカルに優れたMF磐瀬剛(市立船橋1年)が中盤で相手ボールをカットする場面もあったが、全体的に守備に追われる時間帯が続いた。14分にサイドチェンジから左サイドでボールを受けたFW刈谷聖哉(近大附3年)のスルーパスにMF山岸祐也(尚志3年)が反応した決定機も相手GKの好守にあい、無得点。専大がシュート精度を欠いたために傷口を広げられることはなかったものの、ほとんど攻めることができず選手たちが首をひねるような場面が何度も見られた。
3本目も局面での強さを発揮したMF遠藤維也(清水商3年)や相手のプレッシャーをワンタッチでかわすMF難波祐輔(市立西宮3年)、左SB芦田成利(立命館宇治3年)の対人の強さとオーバーラップなど時折光るプレーも見られたが、ゴールにはつながらない。逆に8分、一瞬の隙を突かれて専修大SB舘坂信也(1年=桐光学園)の左ロングスローからFW田口広也(1年=桐光学園)に強引に押し込まれて同点。20分には芦田のパスから個人技でPAまで持ち込んだ浅野が右足シュートを放ち、23分にはMF田村翔太(四日市中央工2年)のヒールパスで中央突破した浅野のスルーパスから遠藤が決定的な右足シュートを撃ち込む。ただシュート精度を欠いた高校選抜候補は勝ち越すことができず、逆に終了間際の30分、専修大の東に左サイドを破られると、その折り返しをMF河津良一(2年=作陽)に押し込まれて決勝点を献上。1-2で逆転負けを喫した。
今回の練習試合はメンバー選考が目的だったために、チームの決め事は伝えられていなかった。個人がやるべきことをやったかどうかの勝負でもあった。だが、次回は違う。選考合宿を突破した選手たちがU-18Jリーグ選抜に勝つことだけを目指して、より一丸となって「ライバル」たちと戦う。
(取材・文 吉田太郎)
第90回全国高校サッカー選手権の優秀選手を中心に結成される日本高校選抜の選考合宿(静岡)は最終日の13日、全日本大学選手権王者の専修大と練習試合(30分3本)を行った。1本目19分にMF寺尾俊祐(四日市中央工3年)の右クロスからFW和泉竜司(市立船橋3年)が先制ゴールを決めたものの、3本目に逆転を許し、1-2で敗戦。チームはこの後34名からまず21名まで絞られ、3月3日に国立競技場で行われるFUJI XEROX SUPER CUP2012「NEXT GENERATION MATCH U-18Jリーグ選抜vs日本高校サッカー選抜」などを経てから欧州遠征を行う日本高校選抜18名が決定する。
「コンセプトは学校教育。(合宿最後のミーティングで高校選抜は)『部活の日本代表だよ』と言うつもり」と山下正人監督(駒場高)。指揮官が技術はもちろん「コミュニケーション能力や引っ張れる子とか、周りとどう関わっているかを見た」と人間性も評価対象としたという選考合宿では、スタッフ陣の想像以上のインパクトを残した選手もいたようだ。そして最終アピールの場となる最終日はこれまでの紅白戦と変わり、インカレ王者との対外試合。清水エスパルスMF白崎凌兵(山梨学院3年)とアルビレックス新潟FW鈴木武蔵(桐生一3年)が欠場した高校選抜候補に対し、選抜組など主力数人を欠いていた専修大だが、それでもインカレ決勝に出場したSB北爪健吾(1年=前橋育英)やMF星野有亮(1年=静岡学園)、MF東大樹(1年=成立学園)といった期待の選手たちが並ぶメンバー。ただ1本目にリードを奪ったのは高校選抜候補だった。
4-4-2システムのGKが山田修平(山梨学院3年)で4バックが右から佐保昂兵衛(大分3年)、新井一耀(清水商3年)、久保飛翔(済美3年)、帷智行(市立西宮3年)。國吉祐介(四日市中央工3年)と山田真史(奈良育英3年)のダブルボランチ、右MFが寺尾で左が高校選手権得点王の浅野拓磨(四日市中央工2年)。そして2トップに菊池将太(浦和東3年)と和泉を配置した高校選抜候補が試合の主導権を握った。
國吉や16分から交代出場したMF差波優人(青森山田3年)がインターセプトからドリブル&スルーパスでチャンスメーク。果敢にPAへ飛び出してくる浅野のスピードも活かして押し込むと19分、鮮やかなサイド攻撃で先制点をもぎ取った。交代出場の左MF後藤寛太(市立西宮3年)が右サイドへ展開すると寺尾がアーリークロス。ニアサイドで潰れ役となった菊池の背後へ走り込んだ和泉がスライディングシュートでゴールへと押し込んだ。さらに21分には新井のフィードから佐保が右サイドを抜け出し、そのクロスに後藤寛が合わせる。ワンツーや相手をボールを引き付けてからスルーするなど、好連係を見せた日本高校選抜はその後も差波が積極的にシュートまで持ち込み、和泉の右足ミドルや強引にDFを振り切った寺尾の決定的な左足シュートが相手ゴールを襲う。久保や和泉を中心によく声も出ていて帷らディフェンスラインも安定。國吉が中盤で存在感を発揮するなど、それぞれが短い出場時間の中で持ち味を出して1本目を終了した。
ただメンバー全員が入れ替わった2本目の選手たちは上手く試合に入ることができなかった。声が少なかったこともあってか連係が取れずに自陣や中盤でのミスが続発。パスの出し手と受け手とのタイミングが合わず、また相手のプレッシャーの速さと正確なパスワークもあって苦しい30分間となった。MF右高静真(國學院久我山3年)が単発で仕掛ける場面やフィジカルに優れたMF磐瀬剛(市立船橋1年)が中盤で相手ボールをカットする場面もあったが、全体的に守備に追われる時間帯が続いた。14分にサイドチェンジから左サイドでボールを受けたFW刈谷聖哉(近大附3年)のスルーパスにMF山岸祐也(尚志3年)が反応した決定機も相手GKの好守にあい、無得点。専大がシュート精度を欠いたために傷口を広げられることはなかったものの、ほとんど攻めることができず選手たちが首をひねるような場面が何度も見られた。
3本目も局面での強さを発揮したMF遠藤維也(清水商3年)や相手のプレッシャーをワンタッチでかわすMF難波祐輔(市立西宮3年)、左SB芦田成利(立命館宇治3年)の対人の強さとオーバーラップなど時折光るプレーも見られたが、ゴールにはつながらない。逆に8分、一瞬の隙を突かれて専修大SB舘坂信也(1年=桐光学園)の左ロングスローからFW田口広也(1年=桐光学園)に強引に押し込まれて同点。20分には芦田のパスから個人技でPAまで持ち込んだ浅野が右足シュートを放ち、23分にはMF田村翔太(四日市中央工2年)のヒールパスで中央突破した浅野のスルーパスから遠藤が決定的な右足シュートを撃ち込む。ただシュート精度を欠いた高校選抜候補は勝ち越すことができず、逆に終了間際の30分、専修大の東に左サイドを破られると、その折り返しをMF河津良一(2年=作陽)に押し込まれて決勝点を献上。1-2で逆転負けを喫した。
今回の練習試合はメンバー選考が目的だったために、チームの決め事は伝えられていなかった。個人がやるべきことをやったかどうかの勝負でもあった。だが、次回は違う。選考合宿を突破した選手たちがU-18Jリーグ選抜に勝つことだけを目指して、より一丸となって「ライバル」たちと戦う。
(取材・文 吉田太郎)