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[イギョラ杯]「技術は昨年以上」國學院久我山が3戦15発の東京朝鮮にPK勝利

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[3.20 イギョラ杯準決勝 東京朝鮮高1-1(PK3-5)國學院久我山 東京朝鮮高G]

 20日、第22回2012国際親善ユースサッカーイギョラカップ準決勝で東京朝鮮高(東京)と國學院久我山高(東京)が激突。1-1からのPK戦の末、5-3で國學院久我山が勝利した。

 予選リーグ3試合で15得点をたたき出した東京朝鮮に対し、國學院久我山は予選リーグで昨年のプレミアリーグイースト優勝のコンサドーレ札幌U-18をPK戦で下すなどこちらも3連勝で準決勝進出。東京の強豪同士の戦いは互いが持ち味を出し合う展開となった。

 東京朝鮮の迫力は準決勝でも変わらない。キム・デセン、ハン・ヨンジュンの高速2トップ中心にドリブルで抜群の切れ味を見せていた10番MFユ・チファン、MFパク・スンヒョク、そして右SBリ・テギらの攻撃力を活かして國學院久我山を押し込んだ。また中盤の潰し役、MFパク・リュンテが鋭く相手ボールを奪い取る。

 立ち上がりから積極的にシュートを放ったチームは31分にリ・テギの右クロスからキム・デセンが決定的なヘディングシュート。35分には右サイドでインターセプトしたキム・デセンがドリブルで右サイドを切り裂き、最後はファーサイドでフリーだったMFコ・チャンギが右足シュートを放った。
 
 東京朝鮮高出身で同校を率いた経歴も持つ國學院久我山・李済華監督は「サッカーのハート、会場の雰囲気・・・結果だけがウチのゲームであとは朝鮮高校の試合だった」と振り返る内容。ただ久我山は決定機の数こそ大きく下回っていたが、技術で東京朝鮮を振り回す。U-17日本代表のMF渡辺夏彦は不在だったものの、バルセロナスタイルのパスサッカーは今年も健在だ。全国高校選手権開幕戦でゴールを決めているFW富樫佑太やMF山内貴史、そして李監督が「ボールを取られないことを理解している。プレーに対して彼に言うことはない」と絶賛する160cmFW小田寛貴らが正確なボールコントロールとパスで果敢に距離を詰めてくる東京朝鮮の体力を削り取っていく。修学旅行や試験明けでまだまだ慌ててボールを失う場面も多かったが、それでも技術で東京朝鮮のスピード・パワーに対抗。試合終盤には相手を失速させていた。

 左サイドのドリブラー、MF佐藤敦郎のドリブル突破もアクセントに攻める久我山は後半5分、右サイドでMF平野佑一からのパスを受けた富樫が縦へ切り込んでから右足を一閃。ファインショットをゴール左隅へ突き刺した。ただ東京朝鮮もスーパーゴールで同点に追いつく。15分、パク・スンヒョクが右サイドへ展開するとユ・チファンが縦へ切れ込んでクロス。これをハン・ヨンジュンが圧巻の右足ジャンピングボレーでゴールへ叩き込んだ。

 士気上がる東京朝鮮はさらに19分にキム・デセン、20分にユ・チファンが決定的なシュートを連発。だが久我山はGK山本幸汰がビッグセーブを連発して勝ち越しを許さず、PK戦へ持ち込んだ。PK戦では東京朝鮮の1人目、ユ・チファンが失敗。久我山1人目のCB巽豪から5人目のSB許瑛俊まで5選手全てが決めて5-3で競り勝った。

 選手権では富樫、渡辺、平野の技巧派1年生トリオが存在感を示したが、久我山は同じ1年生の小田や2年生にもまだまだ技術の高い選手がいる。ゲーム主将を務めた巽は「技術は昨年より高いと思う。でもまだまだ甘さがある。失点した後呑まれてしまって、流れを変えられなかった」と反省。小田は「前半から当てられてボールを失っていた。もうチョット前でボールに絡んで攻撃したかった。(今年のチームも)ゴール前のイメージとか崩しとか見て欲しいです」。他の強豪と比べて明らか小柄な選手が多い中でも、技術で相手を上回ることはできる。昨年もパスサッカーでインパクトを残した久我山だが全国大会は16強敗退。苦手だったPK戦で連勝するなど勝負強さも身につけつつあるチームは今年、それを全国制覇することで証明するつもりだ。

[写真]前線で技術の高さを披露した久我山FW小田(左)
(取材・文 吉田太郎)

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