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[選手権予選]東海大仰星、豪雨の決戦を制して8年ぶり全国切符:大阪

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[11.17 全国高校選手権大阪府大会決勝 東海大仰星1-0近大附 長居第2]

 第91回全国高校サッカー選手権の大阪府大会決勝戦が17日に長居第2陸上競技場で行われ、東海大仰星が1-0で近大附を下し、8年ぶり4回目の全国大会出場を決めた。

 試合は、激しい雨の中で行われた。序盤は、ともに守備ラインの裏へ抜けるルーズボールの勢いに慌てる場面が目立った。東海大仰星はロングボールを前線に当てて、セカンドボールからの展開を狙った。吉薗航と日下部孝将の2トップが前線でボールを引き出し、右サイドから中央へ入り込むMF萬雄大や、ボランチから駆け上がる1年生MF江郷下奨が絡んでチャンスメーク。対する近大付は3-5-2の布陣で人数をかけた中盤からの打開で対抗。2シャドーの一角となった苺谷光将が敵陣を乱し、前線の大西峻太や左サイドの下田義起とのショートパスの交換からシュートチャンスを狙った。

 前半は近大付がやや優勢に立ったが、後半に入ると東海大仰星の積極性が目立った。ロングシュートを次々に放ち、こぼれ球になだれ込むように波状攻撃を展開。それでも近大付が少しずつペースを奪い返していったが、東海大仰星は13分に生まれたビッグチャンスを一発でものにした。押し込まれた展開から自陣でパスを受けた左MF田中翔がマークをかわして長距離スルーパス。濡れたピッチで加速した球にFW日下部が追いつき、マーカーとフォローに来た相手との間に入り込んでボールを受けると、前に出てきたGKをかわすようにシュートを決めて先制点をもぎ取った。水たまりでボールが止まるなど雨足が強まった終盤は、近大付も選手交代でFW金蔵和仁らを投入し3トップに変更。迫力のあるパワープレーを敢行し、38分には相手のクリアを拾った途中出場のMF舞光太郎がボレーシュートを狙うなど反撃に出たが、体を投げ打ってパスやシュートを止める東海大仰星の守備を崩すことはできなかった。

 勝った東海大仰星の中務雅之監督は、就任2年目。現役のときには成し遂げられなかった全国切符獲得を母校にもたらした。「うちは土のグラウンドで、ラグビー部と半々で使っている状況。最近は中学生もハード(練習環境)面を重視しているので、正直に言えば『うちに来てほしい』と最初に声をかけたいレベルの子どもたちは獲得できていない。そういう中で、来てくれた子をどう勝たせるかを常に考えてきた。今年のストロングポイントは集団でやり続けられるところ。今日は、全国大会に行くんだという気持ちを選手がしっかり持ってやってくれた」と、強豪ひしめく大阪予選を見事に勝ち抜いた教え子たちを称えた。

 主将の萬は「信じられない気持ち。試合前から先制点で流れをつかもうと言っていた。(日下部の)得点が決まったときは、嬉しくて一瞬涙が出そうになった。やってくれると信じていた」と喜ぶと、「昨年度の決勝戦(市立船橋対四日市中央工)を見て、自分もあのピッチに立ちたいと思った。新チームの立ち上げから国立を目標にやって来た。国立に行って、勝って優勝することが目標」と次なる夢への旅立ちに目を輝かせた。

(取材・文 平野貴也)
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