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[選手権]2大会前の準Vチームと「空気は似ている」 四中工が16強入り

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[1.2 全国高校選手権2回戦 帝京三0-2四日市中央工 等々力]

 第92回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行った。等々力陸上競技場の第1試合では四日市中央工(三重)が帝京三(山梨)に2-0で快勝し、2大会ぶりの16強入り。3日の3回戦では桐光学園(神奈川)と対戦する。

 序盤は互いに決定機をつくれない一進一退の攻防が続いた。四日市中央工は前半7分、FW井手川純(3年)の横パスからMF木下史也(1年)が左足ミドルを狙うが、GK安田亘佑(3年)がセーブ。帝京三は同15分、左CKの場面でゴール前の選手全員がゴールライン上にスタートポジションを取るトリックプレーを見せたが、MF土屋守(2年)のキックに合わせたFW豊川直人(3年)のヘディングシュートはゴール左へ外れた。

 前半20分を過ぎると、四日市中央工の樋口士郎監督から「シュート、増やせ!」と指示が飛ぶなど、両チームともになかなかフィニッシュまで持ち込めないこう着状態となった。四日市中央工は前半33分、DF大辻竜也(3年)の左CKをDF坂圭祐主将(3年)がヘディングで叩きつけるが、大きくワンバウンドしたボールはゴール上へ。惜しくも枠を捉え切れなかったが、前半終了間際の38分、ついに均衡を破る。中央からドリブルで仕掛けたMF森島司(1年)が左に流れながら左足でクロス。ここに飛び込んだのがFW小林颯(1年)だ。豪快なダイビングヘッドでゴールネットを揺らし、待望の先制点を奪った。

「前半は苦しかったけど、終了間際のゴールで気持ちが楽になった。あれがすべて」。守備の要であるキャプテンの坂が感謝した一撃。後半に入ると、1点ビハインドの帝京三が反撃に出るが、四日市中央工の守備陣もゴール前で体を張り、集中力を切らさない。すると後半14分、小林から縦パスを受けた井手川がドリブルでDFを振り切り、PA内右に流れながら体をひねって右足を振り抜いた。クロス性のボールはGKの頭上を越え、そのままゴールへ。2-0とリードを広げると、その後の帝京三の攻撃にもGK高田勝至(2年)が好セーブを見せるなど粘り強く対応し、そのまま完封勝利を飾った。

 FW浅野拓磨(現・広島)とFW田村翔太(現・湘南)の強力2トップを擁し、2人が2年生だった前々回大会では準優勝に輝いた四中工。「今年は去年までのような2トップではないが、チームの一体感を大事にしている」と話す樋口監督は昨年8月、就任後初めてという全体合宿を茨城の波崎で行った。「全部員で砂浜を走ったり、そういう合宿をやったことはあったけど、コンセプトの確認だったり戦術的な合宿を全員でやったのは初めてだった」。通常であればAチームの25~30人で行うところを、学年もAチームもBチームも関係なく、部員111人全員で合宿を張った。「セカンドチームが県リーグで優勝したり、チーム全体で盛り上がっていこうという雰囲気ができた」。夏の総体では県予選で敗退したチームにあらためて一体感が生まれ、6年連続の全国選手権出場を成し遂げた。

 準優勝した2年前のチームと比べ、「3年生が守備をがんばって、1、2年生が攻撃でのびのび戦う。そういう空気は似ている」と指摘した樋口監督。「選手権では一戦一戦、ビックリするぐらい成長する。まだまだ伸び幅を持っているチームだと思う」。3回戦の相手は桐光学園に決まった。前回大会の初戦となった2回戦で2-4の完敗を喫した因縁の相手だ。坂は「1年越しのリベンジ。公式戦であれだけ完敗したのは初めてだったし、本当に悔しかった。個人的にも強い決意で臨みたい」と力を込めていた。

(取材・文 西山紘平)

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