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[選手権]ロングスローからの一発!!履正社が徳島市立下し、初出場校唯一の3回戦へ

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[1.2 全国高校選手権2回戦 徳島市立0-1履正社 ニッパ球]

 第92回全国高校サッカー選手権は2日、各地で2回戦を行い、ニッパツ三ツ沢球技場の第2試合では徳島市立(徳島)と初出場で初戦突破した履正社(大阪)が対戦した。後半34分にロングスローのこぼれ球からMF林大地(1年)が決めたゴールが決勝点となり、履正社が1-0で勝利した。初出場校で唯一、3回戦へ駒を進めた履正社は、あす3日に行われる3回戦で青森山田高(青森)と戦う。

 履正社の平野直樹監督が「お互いが我慢の試合だった」と話した通りの試合展開だったが、履正社の一つのセットプレーが勝敗を分けた。

 0-0で迎えた後半34分、左サイドからDF小川明(2年)が力いっぱい投げたロングスロー。ゴール正面のFW福田啓二(3年)が頭で後方へ逸らすと、最後は林が右足で押し込んだ。「ちょうど自分の前に来て、たまたま足に当たった。ラッキーだった」と林はいうが、初戦ではアシストの活躍をみせた1年生MFがこの日は決勝点を決めた。均衡した状況でのゴール。まさに林が「ワンプレーで状況が変わるのが高校サッカーだと思う」と話すとおりの結果となった。

 この日の履正社は徳島市立のブロックを崩そうと、サイドを起点に敵陣へ攻め込むプランだった。しかし平野監督が「サイドからゲームメイクをできればと思っていたが、途中でプランが狂った」と話したように、2列目左サイドで先発したMF牧野寛太(1年)の負傷交代により、ゲームプランは大きく狂った。前半7分、牧野が早くも足を痛めてしまう。ピッチ外に出るも、一度はすぐに戻り、プレーを続けていたが前半21分に負傷交代した。

 すると、その後は徳島市立がペースをつかむ。守備陣が奮闘をみせ、ブロックを形成してボールを奪取すると、前線のFW大西致誠(2年)へつなぐカウンターサッカーを繰り広げる。しかし、シュートで終わることができずに得点にはつながらない。前半に2本のシュートを放った大西だったが、ゴールネットは揺らせなかった。0-0のまま、前半を折り返した。

 後半に入り、徳島市立の運動量が落ち始めると徐々に流れは履正社へ。ボールポゼッションで上回りながらも、チャンスをつくれなかった前半から一転、サイドを起点に決定機を迎えた。セカンドボールを拾い、相手陣内へ果敢に仕掛ける。すると後半34分にセットプレーを獲得。このサイドスローインから値千金の決勝点が生まれた。

 試合後、徳島市立の河野博幸監督は「後半にルーズになって運動量が減った。前半の戦い方を80分間やり通す力がなかった。『我慢と辛抱』とずっと言ってきたのだが……」と唇を噛んだ。パスをつなぎ、前線に枚数をかけて戦ってきた初戦から一転、自陣に引いてブロックをつくる戦い方を選択した。前半はそれが功を奏していたが、最後までは続かずに敗戦となった。

 勝利した履正社の平野監督は3回戦進出にも、浮かれた言葉は一つもなく、「全国で勝つのは本当に大変だというのが分かった」と初出場での全国2勝目を噛みしめた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 片岡涼)
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